自分の好きな事と勇気と楽観
去年亡くなった母(君の祖母)は数学が好きだった。私が子供の時、できない数学の宿題でうんうんいってると、いそいそと私の部屋にやってきては一緒に考えて、それでもできない時にも「やっと解けたあ」といって朝赤い目で私を起こしにやって来たこともあった。ひとりで台所で夜中に解いていたんだろうと思う。高校生の時には数学クラブにいたという母は、家の事情で大学にはいかれず農家+自営業の父に嫁いで、母の数学好きは終わった。もしずっと好きな事ができていたら、もしかしたら、もしかしたら、母の数学の才能は開花したのかもしれない。
私も数学や物理が好きで、ちょっと難しそうな問題が出されると、根拠もないのになぜか「(私なら)できる!」と思ってしまって急に頭が働き出すような気さえしたのに(高校までの事です)、歴史や国語や英語なんかは「ああ、ダメ、嫌い。これはわからない」と瞬時に思ってしまい、どろろっと頭が重くなって動きがとまる音が聞こえたような気持ちすらした。
凡人というか普通の人というか特別な才能がないと自分が思ってる人(私も含めて多分ほとんどでは?)ほど、自分の好きな事をするべきだと思う。自分の好きな事をしている時は、なんだか自分でも思ってもみなかった能力が顔をだして、これが自分なのかと思うほどの事ができる時がないですか。
そして、嫌いだと”自分が思っている”事は、どんなに頑張っても、自分は馬鹿になったのかと思うほどで出来なくて、無能だと落ち込む事ないですか。
だから、自分の好きな事をして欲しい。自分が好きだと思える仕事を見つけてほしい。
もちろんどんなに好きな事をしていても、やっぱりくじける時があるだろうし、自信喪失に落ち込む時もある。そんな時に心に留めておいておいて欲しいと思う言葉がある。
今までの人生で、私がいつもいつも繰り返し自分に言い続けてきたのは、この藤原正彦先生の言葉だ。だから君が大学にいく時に藤原先生の本を渡したよね。何度もなんども言ってるから「またかあ」と思うだろうけど。
できるだけ自分のやりたい事を、自分が心から好きだと思う事を、勇気と楽観をもってやってほしい。それが、君がもって生まれた能力を、どんな能力を持って生まれたかわからないと思うけど、その能力が活かせる一番の方法だと思うから。
ちなみにこの年になっても母ちゃんは自分自身にも毎日言い続けてます。