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地下のライブハウス

はじめまして

この一文から始めさせていただきます。

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ライブハウスが好きだ。クラブが好きとかそういうことではない。そもそもクラブというものには行ったことがない。

大学生の時から音楽自体はずっと好きで、ライブにもよく行っていた。そのころは、早めにチケットを取らないと後方からしか見れないような人気アーティストのライブばかり行っていた。

ライブハウスに行くようになったのは偶然だった。大学生の時、いつものようにSNSを眺めていた。その時は午後2時頃だったと思う。人気と呼ぶには程遠いが、ラジオで聴いて好きになったアーティストがいた。そのアーティストのSNSを見ていたら、電車ですぐの所で今日ライブをすると言うのだ。しかも、対バンのアーティストも頻繁に聴くアーティストだった。これは行くしかないと思い、すぐにチケットを取って駆けつけた。

基本的に箱がパンパンに埋まってるライブしか見てこなかった私は中の様子を見て驚愕した。全然人がいない。遅れてきても余裕で最前列を取れてしまうほどだ。いままで見たことないものだった。

スカスカの状態で始まったライブ。出演アーティストは4組。お目当てのアーティストはトップバッターだった。アーティストが煽るがオーディエンスがあまり盛り上がらない。私にとって異様な光景が広がっていた。

いままで行ってきたライブはそのアーティストだけを見に行くもので、そのアーティストのファンばかりが集まる場所だった。しかし、ライブハウスは違う。お目当てのアーティスト以外はその前座にしか見ていない客が一定数いる。

そんなことも当時の私は知らないまま、ライブは進んで行った。ライブパフォーマンスをしても響かない客層がいる。それはしょうがないことだ。人間誰しも好みというものは存在する。それでも100人に1人でも届く人がいれば歌う。それは人気かどうか、地下かどうかなど関係なく共通の事なのだろう。

その日のライブは不思議な感覚のまま過ぎていった。3番目に出てくるアーティストのことはよく知らなかった。見たことも聞いたこともないアーティストだったから、ドリンクでも飲みながら後ろでゆっくり聴くことにした。ギターが鳴り、声が聴こえた瞬間に一気に惹き込まれた。私にとっての運命の出会いだった。

元々、ギター弾き語りの女声ボーカルが好きな傾向にある。miwa、さユり、片平里菜、大原櫻子などなど挙げていったらキリがない。そのため、小さい体でギターをかき鳴らし、力強く歌う彼女は前提条件の時点で、自分の広すぎるストライクゾーンには入っていた。

惹かれる理由は様々あるのだろう。毒々しく深みのある歌詞、語るような叫ぶような訴えかけるような歌い方、低音や巻舌のようなその人独特の歌い方。最近YouTubeのコメントで「真骨頂である高音がいい」というようなコメントがあった。3年近く聴いていて分からないのはどうかしているが、キンキンとうるさい高音ではなく、スッと入ってくる高音だと理解してほしい。ごちゃごちゃ語っているものの、結局のところ本能的に好きなのだろう。

地下のライブハウスで演奏するような人達は基本的に物販の時に自ら手売りすることが多い。それも人気アーティストとの違いと言える。直接のため、普通に会話出来てしまう。何度も通っていれば覚えられることだってある。見ているとそれが目的になっている人もいるように感じる。

なにはともあれ距離感が近いのは比較的いい事の方が多いだろう。実際好きなアーティストに覚えてもらえるのは嬉しいものだ。私も最近覚えてもらった。こっちはマスクしてるのによく覚えているなとは思う。

地下で活動する人たちはYouTubeのチャンネルを持っていても登録者が1万人もいないことがほとんどだ。5000超えれば多い方、1000未満もざらにある。しかし、結局それはただの数字でしかないのだということを最近分かってきた。

世の中には投稿して1日で100万再生するアーティストもいる。一方、地下のライブハウスで活動する人達は1日経って100再生ぐらいが当たり前だ。世の中的に見たら不人気で、魅力がないものに感じるのかもしれない。そもそも多くの人の目に止まる機会が圧倒的に少ない。しかし、世間的に知られていなくてもいい歌は沢山ある。

多くの人が知らなくても、国民的アーティストでなくても、自分にとっての特別になっている。それだけでいい気がしている。地下のライブハウスで沢山の人がいなくても、自分は確かにその人の歌が聴きたくてライブハウスに行く。それでいいのだ。

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手の届く範囲にいるあなたが

幸せでいることを願います

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