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30日間の革命 #革命編 171日

 高橋の話により、学生たちは一気に革命へと動き出した。次々にその場で立ち上がる学生たち。ついには、半分以上の学生が立ち上がっていた。高橋はその様子を見て、再び話しを始めた。

 「最後に1言だけ言わせてくれ。……自分自身の意志で行動しなさい。他人に任せてちゃダメなんだ。そして、変わることを恐れるな。……俺が言えることはそれだけだ。色々失礼なことを言ってすまなかった。後はお前たち一人ひとりが考えて、責任を持って行動してくれ」

 高橋はそう言うと、その場で頭を下げてステージ前から去っていった。加賀は再び頭を下げる。そう、高橋のこの行動は加賀からお願いされたことであった。

 加賀が文化祭前に行った2つの策のうちの1つが高橋を協力者にすることだった。馬場との交渉の後、加賀は高橋の元を訪れ革命に協力して欲しいと頼みに行っていた。ただ、その時高橋は協力するとは明言しなかった。

 「お前はお前が思うように行動しなさい。俺はそれを見届け、自分自身が思ったやるべきことをやる。それは、革命に協力することになるかもしれないし、反対することにもなるかもしれない。だから俺のことは気にせず、まずはお前がやるべきことをやりなさい」

 とだけ加賀に言っていたのだった。高橋は、革命に賛同する訳でも、反対する訳でもなく、ただただ学生たちに問いたかった。今の行動が、自分自身の意志によるものなのか。もしそうでなければ、革命は反対するつもりだった。しかし、自らの意志で立ち上がる学生たちを見て、彼らにこの結末を任せたいと思った。どうなるかは分からないし、自分自身の立場も危うくなることは分かっていた。ただ、この後、彼らが起こす行動を見守ろうと高橋は思ったのだった。

 会場では半数以上の学生が立ち上がり、革命へ賛同の意志を示している。がしかし、それでも半数だ。残りの学生たちは今だ戸惑っているような素振りを見せていた。加賀はその様子を見て考えた。半数以上の賛同を得たから、このまま革命へと強行するのか。それとも残り半分の学生たちも何とか説得するべきなのか。ここの決断を誤れば、せっかく高橋が起こしてくれた革命への波を止めてしまうことになる。その判断は加賀にかかっていた。教師たちも次々に立ち上がる学生たちを見て、再びざわめき始めている。森下たちに目を向ければ、すぐにでも動き出せるような準備も出来ていた。

 (どうする。今動くべきか、それとももう少し待つべきか。……どうする)

 加賀は判断を迫られていた。

▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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