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30日間の革命 #革命編 43日目

  思いかけず橋田から勇気をもらった加賀。そのまま自宅へこっそりと戻り、再びベッドへと横たわった。さっきまでのモヤモヤも少し晴れていることに自分自身も驚いていた。そして、そのまま眠りへとついた。

 翌日、生徒会室では文化祭へ向けた打ち合わせが行われていた。文化祭実行委員会を中心として生徒会での準備や当日の動きを確認していた。

 「ということで、例年通り前日に体育館を準備をして、後はもう当日を迎えるという流れになると思います」

 文化祭実行委員長の棚橋未希が打ち合わせの中で当日までの流れを説明した。

 「ありがとうございます。生徒会長、何か気になることはありますか?」

 この打ち合わせを仕切っている生徒会副会長の仙波は、最後に馬場へと伺いを立てた。

 「そうですね。問題ないと思います。何だかんだで私にとっては初めての文化祭です。皆さんにとっては例年通りかもしれませんが、我々1年生は大変楽しみにしているものなので、大いに盛り上げていきましょう」

 馬場は1年生で生徒会長に就任したため、まだ学校行事を全て経験していない。そのため、仙波が各会を取り仕切り、最終的な判断を生徒会長の馬場が行うという流れとなっていた。

 「では皆さん、文化祭もだんだんと迫ってきました。楽しみながらも安全第一でトラブルが起きないように、我々生徒会が中心となって動き、文化祭を成功させましょう」

 仙波が会の締めようとした時、馬場が手を挙げた。

 「あ、最後に1つだけ。文化祭ということで、もしかしたら浮かれてしまう学生たちもいるかもしれません。この学校の文化祭は、他校とは違う伝統あるものだと聞いています。私もその伝統をしっかりと守りたいって考えているので、何か”不穏な動き”を感じたら、ぜひ教えてくださいね」

 と最後に付け加え会を締めた。馬場は敢えて”不穏な動き”と表現したが、会に参加した全員が坂本たちのことを指していることを察した。馬場としても、敢えて具体的な名前を挙げないことで、生徒会メンバーへ釘を刺したつもりだった。恐らく次に坂本たちが仕掛けてくるとしたら、生徒会の内部に内通者を作ることだと予測していたからだ。

 「次はどんな手でくるかな? 先生の勧誘に失敗したから結構焦ってるんじゃないかな」

 打ち合わせが終わったあと、馬場は仙波へと話しかけた。

 「さあどうかしら。私も混乱させる要素は与えたから、案外内部から壊れていくのかもしれないわね」

 仙波は書類をまとめながら答えた。

 「何それ? 気になるんだけど」

 「大したことじゃないわ。ちょっと加賀君を揺さぶってみただけだよ」

 「そっか。まあ、その辺は任せるけど。あとは向こうが切羽詰まって、無理やりにでも革命を起こそうとやけになってなければいいけどね。本当にクーデーターでも起こされちゃ、結構厄介だからね」

 「そうね。文化祭当日に立てこもられても困るからね。まああの坂本さんたちなら、そんな行動を起こすとは考えにくいけど。万が一のことを考えて、先生たちにもしっかりと動いてもらえるようにしておきましょう」

 「了解。いよいよ最終決戦って感じがしてきたね。楽しみだよ」

馬場たちが生徒会室で話しているとき、文化祭実行委員長の棚橋は屋上へと向かっていた。そして屋上で棚橋を待っていたのは坂本と森下だった。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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