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羨望の輝き #毎日ネタ出し71日目

【タイトル】

羨望の輝き

【あらすじ】

これは一匹の名前のない犬の物語。

その犬は、なぜ自分が生まれてきたのか分かりませんでした。気づいたときには、母親も兄弟も周りにはいません。透明なガラスケースの中に入れられて、たくさんの人間たちがこっちをジロジロと見てきます。

そんなある日、その犬はガラスケースから出ることになりました。急に小さな箱に入れられて、どこかへ運ばれているみたい。犬は不安でたまりません。ようやく箱が空いたと思ったら、見慣れない家の中にいました。

そこから檻に入れられて生活することに。しばらくは穏やかな日々を過ごしました。ご飯も飲み物も与えられ、暖かい家の中で寝ることが出来る。そして、何より自分の名前を呼んでくれる人がいることに、その犬は生きる喜びを感じていました。

「僕はここで幸せに生きるために生まれてきたんだ」

そう思ったのも束の間、その幸せは急になくなってしまいます。

いつも通り檻の中で寝ていると、誰かが言い争っている声が聞こえました。それから数分後、知らないおじさんが犬が入っている檻を持ち上げ、どこかに持っていきます。いつもご飯をくれたり、名前を呼んでくれていた女の人が泣いているのを横目で見ることができました。

そしてそれから車に乗せられ、どこかに連れていかれます。到着したのは、見たことのない林の中。そのおじさんは犬を檻ごとそこに置くと、そのまま振り返らず車で去っていきました。

犬は何が起こったのか分かりません。急に寒くて暗い林の中に置いていかれ、どうすることも出来ずにいました。幸い、檻の柵は開いていたので、周りの様子を見ることは出来ましたが、ここがどこか、どうやって家に帰ればいいのか全くわかりませんでした。

その晩は寒さに震えながら檻の中で寝ました。

それから数日経っても、誰も迎えにきてくれません。水溜りを見つけたので、何とか水を飲むことは出来ましたが、食べ物は何もありません。もう、体力も限界です。

檻の中に横たわり、動くことが出来なくなりました。

もう、誰も犬のことを呼ぶ人はいません。誰も触ってくれたり、ご飯を食べさせてくれたりしません。いつしかその犬は、自分が何て呼ばれていたのか、名前を忘れてしまいました。

そして、自分がなぜ生まれてきたのかわからなくなってしまいました。もう目を開けるのも疲れてしまい、犬はゆっくり眠につきます。

しかし、瞼を閉じたあと、眩さを感じ目を少しだけ開けました。そこには人間の姿が見えます。でも目がかすんでしまい、誰なのかわかりません。

ただただ眩い光を感じていました。

果たしてこの光は犬にとってどのような意味をもたらすのか。そして犬は再び生きる意味を見つけることは出来るのか。

止まりかけていた時計の針が再び動き始めました。

色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!