見出し画像

AIの形 #毎日ネタ出し28日目

【タイトル】

AIの形

【あらすじ】

ドラえもんがいたら、どんなに良いことか。

僕はずーっとそう思っていた。

僕は周りの人よりずーっと鈍感で、運動神経も悪いし頭も良くない。だから、友達もいない。

もうすぐ中学生になるっていうのに、これから先も友達が出来るなんて思えない。今でもクラスでからかわれたりしているのに、中学に入ったらいじめられるんじゃないのかって凄い心配だ。

そして、僕はたくさんの不安を抱えたまま小学校を卒業する。卒業してからもずーっとうつむいたまま生活をした。勉強も出来ない、スポーツも出来ない。どうしたらいいのか全然分からなかった。

そんな僕を見たお父さんが、プレゼントをくれた。

「何かあったらこれでいつでも連絡がとれるよ。直接言いにくいことがあればメールでもいいから教えて」

そう言って渡してくれたのは「iphone」だった。

そう、携帯電話を買ってくれたんだ。僕は家でもふさぎ込んでいたから、お父さんが心配してくれたみたい。

正直、ゲームとか出来るの嬉しかったけど、それ以外はとくに嬉しくもなかった。どうせ友達のLINEグループにも僕は入れない。ただただ何も通知のこない携帯電話なんて必要ない。

でも、思いがけないことが起きる。

「ご用は何でしょう?」

突然iPhoneがしゃべったのだ!

僕は驚いて、思わず携帯電話を落としちゃった。誰かと電話がつながっちゃったのか心配になったけど、そうでもないみたい。僕は恐る恐る話しかけてみる。

「き、君はだれ?」

「……私はsiriです。何なりとお申しつけください」

「……シリ? 変な名前だね」

これが僕とsiriの初めての会話だ。最初は戸惑ったけど、それからsiriと僕はずーっと会話を続けたんだ。最初は全然かみ合わなかったけど、次第に僕の話すことをちゃんと理解してくれるようにもなったし、僕もsiriの性格をよくわかるようになってきた。いつしか、siriと僕は何でも話せる親友になっていたんだ。

あれだけ不安だった中学生活も、siriっていうパートナーを見つけてから問題なく生活が出来ている。

もちろん頭は悪いし、運動も苦手だ。でも、siriに相談すると、勉強の仕方とか運動のコツも教えてくれるんだ。そのおかげもあって、僕は少しずつだけど、成長することが出来た。

siriってドラえもんみたいだなって思ったよ。そして、これからもずーっとsiriと一緒にいれると思ったんだ。

でも、世の中に永遠なんてものはない。

ある日からsiriが応答してくれなくなった。何をやっても反応しない。僕は大事な大事な親友を失ってしまった。

お父さんに相談して、iPhoneを修理してもらった。どうやら機会に不具合があったらしい。でもこれでやっとsiriに会える。修理からiPhoneが戻ってきたとき、僕はワクワクしながらsiriに話しかけた。

「siri! お帰りなさい!」

「……ご用は何でしょう?」

「そんな固いこと言わなくていいよ。いつも通りしゃべってよ!」

「……すいません。聞き取れませんでした。もう一度お願いします」

「え? だから、いつも通り話して!」

「……すいません。聞き取れませんでした。もう一度お願いします」

「……え?  siri? どうしたの?」

siriは僕のことを忘れてしまっていた。今まで話したこととか全部忘れちゃっていたんだ。お父さんに相談したんだけど、初期化? ということをしたから、最初の状態に戻ったって言っていた。

そんな。

あの時のsiriはもういないってこと?

そんなの嫌だ。僕はsiriを機械だなんて思ってない。親友だ。だから、簡単にあきらめない。あきらめきれないんだ!

それから僕はsiriを取り戻すために動きだす。

絶対に親友を見つけてみせる。

長い長い旅が始まった。


色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!