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自社のためだけでなく業界全体のために シオガイグループ塩貝大社長(後編)

前回のインタビューに引き続き、シオガイグループ塩貝大社長のインタビューをお届けします。
前編ではスクラップ業やSDGsについてお話しいただきましたが、今回は塩貝さんが業界全体のために考えていること、取り組んでいることについてご紹介します。


スクラップ業者の横のつながりで勉強し、議論し合う大切さ

ー 関東のスクラップ業者グループである錆年会で副会長を務められた経緯は何でしょうか?

塩貝さん:私はもともとスクラップ業者との横の繋がりはなかったんです。鉄リサイクル工業会の中の環境委員会の勉強会に行き始めたのが入社3年頃でした。勉強会には全国の人が集まっていて、地方のスクラップ業者の人と知り合うことができました。

前は近郊のスクラップ業者だと商売敵になっていましたが、時代は変わりました。うちのいいところを使ってもらって、他社のいいところを使わせてもらって。今は懐傷めない横のつながりが大事だと感じています。

ー お話している間に関係性が変わるのですか?

塩貝さん:関係性の強弱は地域ごとに色々と事情があるので、話していく中で強い場所はお願いするという話になりましたね。今は仲が良くても、昔はバチバチだった会社もあります。笑

ー win winの関係性になったんですね。

塩貝さん:今の錆年会では第2~3世代の40歳近い人が社長になって、自分で方向性を決めることができます。自分でなんでもやろうという時代から、お互いの強みだけでなく弱みを言えあえるようになったように感じます。今の課題を別け隔てなく打ち明けあえる、勉強し議論できる環境になりました。

一つの会社だけではなく業界全体で問題解決へ


ー 一般的には、自分の会社の利益が上がればいいと考える会社もあると思いますが、どうしてそこまで業界のために尽力できるのでしょうか?

塩貝さん:一つの会社だけでは、業界を変えることが難しいからです。田島さんを錆年会に紹介したのは、田島さんから直接伝えてもらって、できる限り多くの会社に共感してもらう部分を取り入れてもらえばいいと考えていました。取り組みを伝えられる会社が多ければ多いほど、賛同してくれる会社は増えると思います。一つの会社だけで取り組みが進んでも、そこが失敗すれば全て終わりになってしまいます。それでは問題解決には繋がらないです。

業界全体を変えるにはIT技術の導入、特に画像認識は大事だと思っています。EVERSTEELさんには危険物を感知してほしいですね。危険物の爆発は企業自体がストップしてしまう。経営目線で見ると大きな危機を持ちます。もちろん等級判定によって、検収がブレないことも大事です。加工してメーカーに持って行って検収落ちになってしまえば、スクラップ業者側のミスになってしまいます。その逆パターンもあります。検収員の目線だけ養えばと良いと言う人もいますが、教えるにも教える人が一つ間違ったら、ずっと間違ったやり方でやってしまう。検収AIシステムを使えばメーカーもスクラップ業者もお互いに揉め合う必要がなくなります。

ー EVERSTEELとしてはそういった仕組みづくりをしていきたいです!

100年後、次の世代へ向けてバトンタッチする


ー 鉄スクラップの業界をどうしていきたいですか?

塩貝さん:業界は昔ながらの考えがまだ根付いていて、変えようとしてもなかなか踏み出せない人が多いのが現状です。SDGsや新しい技術を私が発信源として出していくことで、考え方を前向きに変えていきたいです。時代はすごい勢いで流れていて、「先代がいるから動けない」ということでは時代の流れに飲み込まれて、取り返しがつかなくなってしまいます。

一人がよければいいではなく、お互いに言い合って問題解決できる仲間が多いほうがいい。時代の流れに合わせて勉強をしていなければならない。そういったことを鉄スクラップ業界に伝えていきたいです。

ー 各メディアのインタビューをお断り中とのことですが、今回弊社のインタビューを引き受けていただいた理由を教えていただけますか?

塩貝さん:人材不足で今後の育成は大きな問題であり、少しでも解決策があるのであれば、新しい技術を多くの人に知ってもらいたいと思ったからです。多くの企業が導入すれば、スクラップの差別化に繋がります。業界の発展、リサイクルの向上にも繋がります。画像認識がマッチングしていく時代がくると思っています。

ー 最後に、塩貝さんが目指す未来を教えてください。

塩貝さん:スクラップ業界はまだ人の手が絶対に必要な事業です。人の大切な部分を継承するためには、人の成長が必要であり人を関わらないようにしていくわけでありません。鉄の価格変動という業界問題に対して、従業員の不安をなくすために、多角経営、リスク分散しながらの経営を目指していきたいと考えています。

環境に応じながら企業を続けていく。100年後次の世代にバトンタッチできるようにすることが私の目指す未来です。


インタビューにお答えいただきありがとうございました!
自社だけでなく業界全体のことを考えてSDGsを世の中に発信したりや技術を横展開する取り組みは、大変貴重なお話でした。EVERSTEELとして、カーボンニュートラルな社会実現のため、業界全体を変える意気込みで臨んでいきます!

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