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ユーフォリアスポーツ科学研究所 (EIS) 第6回定期情報交換会 開催報告

ユーフォリアスポーツ科学研究所(EIS)は、事業を通じてユーフォリアが得たスポーツ科学領域における知見およびデータを、ONE TAP SPORTSの機能向上、エビデンスに基づくスポーツ科学の知見の普及、スポーツ界でのデータ活用促進を進めるため、外部研究者の皆さまとともに研究開発を行っていくための組織です。

EISでは年に数回「定期情報交換会」を開催しています。EIS研究員の皆様や外部の研究員・スポーツ関係者の皆様、お取引先企業の方をお招きし、各EIS研究員の取り組み・知見の紹介、情報・先行事例の提供等を行っています。

今回は、先月末に行われた最新のEIS情報交換会の様子をお届けします!

第6回となる情報交換会では「女性アスリートの健康を科学する」をテーマに、30名を超える参加者の皆様にお集まりいただき、活発な議論が行われました。

スポーツ科学やONE TAP SPORTSに関心がある方、同分野に関連する研究をされている先生方、学生の方、企業のご担当者の方など、様々な年代・所属の方が参加されていますカジュアルに情報交換・交流できる場としてオープンに開催している会もありますので、もしご興味がある方がおられましたら、弊社ウェブサイトよりお問い合わせ下さい。

第6回EIS情報交換会の概要
日時:2024年3月29日 (金) 18:00-21:00
場所:株式会社ユーフォリア (東京都千代田区六番町5−5 飯田ビル 2F)
今回のテーマ:「女性アスリートの健康を科学する」

セッション概要

【ご挨拶】
◼︎株式会社ユーフォリア 代表取締役Co-CEO 橋口寛
『ユーフォリアスポーツ科学研究所 (EIS)第6回 定期情報交換会 開催のご挨拶』

【第1部:情報交換会】
◼︎日本体育大学児童スポーツ教育学部/ユーフォリアスポーツ科学研究所 須永 美歌子
『性差を考慮したコンディショニング法の開発をめざして』

◼︎株式会社ユーフォリア/ユーフォリアスポーツ科学研究所 山中美和子
『女性アスリートの月経周期と外傷・障害発生との関連性検討』

◼︎医療法人野球医学 ベースボール&スポーツクリニック/ユーフォリアスポーツ科学研究所 馬見塚尚孝
『野球医学×女性アスリート』

【第2部:懇親会】
◼︎株式会社ユーフォリア R&Dセンター センター長 田中孝
『ユーフォリアR&Dセンター・ユーフォリアスポーツ科学研究所の取り組み』

オープニング

情報交換会の冒頭では、弊社橋口より皆様へご挨拶をさせていただきました。これまでのEISの取り組みや、ユーフォリアの事業全体像について参加者の皆様へご紹介させていただきました。

弊社代表取締役・橋口よりご挨拶

第1部:情報交換会

第1部の情報交換会では、EIS研究員の3名の先生方から「女性アスリート」をテーマとした研究や臨床現場での取り組みについてご紹介いただきました。

まず一人目の須永先生からは、「性差を考慮したコンディショニング法の開発をめざして」として、主に須永先生の研究室で取り組まれた研究成果のご紹介や、様々な性差に関する研究の情報提供を行っていただきました。

須永先生の研究室では、”性差を考慮したコンディショニング法の開発”をテーマに、女性を対象とした数多くの研究に取り組んでおられます。今回の情報交換会では、主に須永先生の研究室から発表された、月経周期が疲労困憊までの高強度間欠運動中の筋グリコーゲン利用に与える影響に関する研究や、月経周期が食欲調節ホルモンに与える影響に関する研究、また最近ご発表された有酸素運動がトランスジェンダー男性の動脈スティフネスに与える影響に関する研究についてご紹介いただきました。
※リンクをクリックするとPubMedから論文にアクセスできます。

須永美歌子先生「性差を考慮したコンディショニング法の開発をめざして」

次に、ユーフォリアスポーツ科学研究所研究員の山中からは、「女性アスリートの月経周期と外傷・障害発生との関連性検証」というテーマで発表を行いました。こちらの研究成果は、ユーフォリアが実施した300名程度の大学生年代以上の球技系の女性アスリートを対象としておよそ1年間の追跡を行った研究(以下の記事参照)の速報となります。

これまでも女性アスリートの月経周期と外傷・障害発生に関する調査はいくつか報告されておりましたが、300人もの規模のアスリートを縦断的に追跡する手法をとったものは世界でも稀であり、女性アスリートを対象とした研究や女性アスリートのサポートを行う上で非常に貴重な知見です。

今回発表した研究は、今後学術誌への投稿を予定しているほか、ユーフォリアが持つONE TAP SPORTSをはじめとした様々なプロダクトへの応用を検討しておりますので、ぜひこちらのnoteもフォローしていただき、続報にご期待ください。

山中美和子「女性アスリートの月経周期と外傷・障害発生との関連性検討」

そして馬見塚先生からは、女性アスリートに焦点を当てた「野球医学×女性アスリート」をテーマに、その取り組みについてご紹介いただきました。馬見塚先生は、武蔵小杉にあるベースボール&スポーツクリニックの理事長を務められ、ご専門は整形外科ですが、貧血などの内科的な問題、女性アスリートならではの問題へのアプローチなども含め、幅広い視点から総合的にアスリートの診療に携わっておられます。

今回のご発表では、女性アスリートへのピルの処方や、栄養不足の評価における採血検査、MRIを用いた子宮や卵巣の評価など、実際にクリニックの診療で行われている取り組みについてお話いただきました。

月経に伴う症状や体調の変化が競技にどのような影響を及ぼすかを十分に理解し、婦人科系疾患に関する診断や治療と、競技スポーツにおけるパフォーマンス向上までシームレスにサポートしてもらえる医療機関は全国をみてもそう多くはなく、大変貴重な知見をご共有いただけました。

馬見塚尚孝先生「野球医学×女性アスリート」

第2部:懇親会

第2部の懇親会では、お酒やピザなどの軽食を片手に、EIS研究員の先生方、参加者の皆様、そしてユーフォリア社員が交流を楽しみました。
各テーブルでは、参加者同士、研究や今後の取り組みに関して活発なディスカッションが行われていました。実はここからが本番だ、という人もいるとかいないとか…

スタンディング形式でカジュアルに交流できる懇親会
「バーカウンターがあるオフィス」が自慢です!

懇親会の途中では、株式会社ユーフォリアR&Dセンター・センター長の田中より「R&Dセンターの活動とEISの目指す未来」についてご紹介をさせていただくお時間もいただきました。

ユーフォリアのR&DセンターとEIS、2つの組織が協力し研究成果を生み出してゆくことで、スポーツ科学に裏打ちされた様々なプロダクト・サービスを通じて、社会課題やスポーツ界の課題解決を目指しています。

R&Dセンター長・田中「R&Dセンターの活動とEISの目指す未来」

また、隣接したスペースにユーフォリアが取り扱うさまざまなスポーツテック・デバイスを展示するコーナーも設けました。
今や科学的根拠に基づいたコンディショニングやトレーニングを行うためには、計測機器やウエアラブルデバイスの活用は欠かせません。今回の情報交換会に参加された皆様にも、様々なデバイスを実際に手に取って試していただきながら、弊社社員より機器のご紹介もさせていただきました。

ユーフォリアでは、こういったイベント時以外でも四ツ谷オフィスにて「Euphoria Sportstech Showroom」を常設しております。完全予約制となりますが、どなたでも無料で最新のスポーツテック・デバイスをご覧になっていただけますので、お近くに来られる際などはぜひお気軽にお越しください。上記リンクより、弊社ウェブサイトからご予約いただけます。

スポーツテック・デバイス展示スペース

まとめ

第6回EIS情報交換会は「女性アスリートの健康を科学する」をテーマに3名の先生方に最新の科学的知見や臨床現場での取り組みをご紹介いただきました。

女性特有の問題に悩んでいるアスリートは少なくなく、そしてアスリート自身・指導者含め、スポーツ界全体での正しい知識とその理解が進んでいるとはまだまだ言えない状況です。今回の情報交換会を通じ、参加者の皆様は情報をアップデートすることができたのではないでしょうか。

また、この情報交換会をきっかけに、多くの研究者、企業の方々が新たにつながる良い機会をご提供できたかと思います。今後も、”異なる専門領域の知見の交差点となる場”を目指し、定期的に情報交換会を開催していきますので、少しでもご興味を持たれましたらぜひご参加いただけますよう、一同心よりお待ちしております。

第6回EIS情報交換会 ご参加の皆様と

◆運営担当者のつぶやき
第6回EIS情報交換会の運営を担当させていただきました。今回はこれまでで最も参加者の多い会になりました。運営として至らぬ点もあったかと思いますが、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
「女性アスリートの健康を科学する」という、非常に難しい、しかし非常に重要なテーマの最新知見を学ぶことができ、私自身もユーフォリアの社内研究員として、管理栄養士として大変勉強になりました。お忙しい中、当日ご発表いただいた先生方に心より感謝申し上げます。
次回は7月頃の開催を予定しております。ぜひご参加いただけたら嬉しいです。 (株式会社ユーフォリアR&Dセンター 飯澤拓樹)


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