【読書】思考停止した現代社会を切る/「バカの壁」から
日本人なら誰も?が知っている養老孟子先生が今から20年前に書いた大ベストセラー、知る人ぞ知る「バカの壁」をサクッと読みまとめてみた。
記事要約
450万部も売れた戦後日本の歴代ベストセラー代5位、いろんな賞を受賞。有名すぎて、読んだことはなくても知らない人はいないはず?
本書のテーマは、人が物事をどう理解する/しないの仕組み。理解対象が数学であれ哲学であれ、一定程度理解はするがそれ以上はわからなくなる。そこに「バカの壁」が存在するという。
バカの壁という視点は面白いと思った。結局数学者であっても数学がすべてわかるわけではない、という線引きはわかりやすい。が新書であるが故、物足りず、読みごたえもあまりないように感じてしまうのも確か。
1.本の紹介
本のタイトルは「バカの壁」(2003年刊行)で、450万部も売れた戦後日本の歴代ベストセラー代5位、いろんな賞を受賞。有名すぎて、読んだことはなくても知らない人はいないじゃないかと思うくらい名が知られた本。
著者はもちろん養老孟子(1937-)。医者の家に生まれ、東大医学部卒で、東大医学部助教授を経て同大学解剖学部教授に(医者としての道は、医療行為中にミスしかけることが重なり途中で断念したか何か)。なお、1995年、57歳で東大教授を早期退官後も、作家と並行して様々な組織の会長やら理事、各種著名な賞の選考委員を務める。
ちなみに養老先生の数多いお言葉はYou Tubeに行く簡単に見つかるのでここでは割愛。
2.本の概要
本書のテーマは、人が物事をどう理解する/しないの仕組み。理解対象が数学であれ哲学であれ、一定程度理解はするがそれ以上はわからなくなる。数学が得意な学生であっても、数学者であっても、数学がすべてわかるわけではない。どこかで思考停止に陥る。これを「バカの壁」と著者は読んでいる(と思う)。逆に言えば「バカの壁」は誰にでもあるということ。
ただ問題は、世の中には知りたくないことに耳をかさない人間がいること。そして、そういう人に限って、自分の理解が絶対的に正しいと思い込んでいる事。これをそのまま広げていくと原理主義的につながるという。
といった切り口から世の中の様々な問題や偏見、誤った共通認識に関して会話口調で、著者自身の独自見解を展開していく内容となっている。その対象は、脳の仕組みであったり、地球温暖化を巡る科学的事実と科学的推論であったり、個性を伸ばせという欺瞞を孕む昨今の教育方針であったり。
あまりにとりとめもないので、ここで概要としてまとめるのを断念。
3.感想
バカの壁という視点は面白いと思った。結局数学者であっても数学がすべてわかるわけではない、という線引きはわかりやすいし、どこまで理解すべきか自分で線引きしてしまうというのもそうなのだろう。
そして線引きするということは、これ以上先は私には理解不能と認めること。問題なのはそれすらわからずにすべてをわかった気になっている連中で、そういうやつはけしからんという、養老先生の小言が感じられる一冊。
あと、所々刺さる言葉、金言とでもいうのか、そういったものが本書全体に散りばめられいる。あくまで著者の長年の経験から出てくる言葉だったり見解なので、なんの根拠もなく言いはなっているところもあるが、それでも人生経験豊富な著者が言うこと、共感は出きるし、なるほどなあとも思わせてくれる。
ただ正直、全体を通して私としては物足りない感があった。まあ、新書なので、他の本に比べれば見劣りするというか、物足りなく感じてしまうのは当たり前なのかもしれない。何かを主張するうえでの根拠も薄いし、出典もない。養老先生のファンならそうなんだ!と言って信じるのだろうが、それなりに懐疑的な視点を持って読書を進めがちな私からすると、薄っぺらい論理というか感想というか小言に聞こえてしまう部分も多々ある。
ただまあ、新書の利点もあって、それはモノの数時間で全て読めてしまうので、あまり気負わずサクッと目を通す上ではいい本だと思うし、おそらく養老先生自身もそう考えているのではないかと邪推している。
最後に一言
なお本記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。この概要記事がきっかけとなり、この本に興味を持っていただけたら幸いに思います。
あわせて他の記事もご覧いただけたら幸いに思います。
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