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脳でしか食べられない話

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記事一覧

脳でしか食べられない話(1)

全てのはじまりにして、10年が経った今もなお私を苦しめている病は13歳の時になった拒食症だった。

中学生になって、初めての係決めで「学級委員長」になった。偏差値そこそこの私立中学に合格して、クラスではみんなに「委員長」と呼ばれた。成績はつねに学年5位に入るくらいには良かった。部活は、合唱部に入った。関東地区ではかなりの強豪校だったが、母親譲りの歌唱力と、外国人の父親譲りの日本人離れした音域の広さ

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脳でしか食べられない話(2)

(1)の続きです。

摂食障害を克服していないことに私も気づいていなかったとは言ったものの、実は、色んなものを食べるようになって体重が増えても「根本的なものが治っていないな」ということは当時の私もなんとなく自覚していた。ガリガリに痩せると周りが大騒ぎするからしばらくは大人しくしておくけれど、痩せたくなればまたいつでも戻れるという保険のようなものとして、私は「それ」を胸の奥にしまい込んでしまった。

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脳でしか食べられない話(3)

前回の記事から大分日が空いてしまいましたが、本年内に完結させたかったので。

前回の記事

過食嘔吐が親にバレた日、私は母に会社を休ませられて母が作ったカツの卵とじとご飯150g、マカロニサラダを食べさせられた。今年の3月25日の話だ。

私は糖質が怖かった。今思うと何がそんなに恐ろしかったのか分からないが、炭水化物を多く含むものは血糖値が上がりやすいものが多く、兎にも角にも太ると思っていた。論理

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