人間なんて〇〇だから―Side D―
人間なんて、所詮は別々の生き物で。
同じような境遇、同じような経験、同じような立場
共通項を持っていたって、同じ人間にはならない。
誰もが違う考え方を持っていて、
誰もが違うことに魅かれ、
誰もが違うことに怒りや悲しみを覚えて。
自分の物差しこそ正義。
思い通りにならないなら排除すればいい。
理解を示さないというなら攻撃だって厭わない。
従わないなら屈服させるまで。
誰もが違う人間。
自分という人間は自分しかいないから、
他者を全て理解することなど出来ない。
そんなこと言われなくなって知っている。
それでも、守るためには、生きるためには仕方がない。
違う人間だから仕方がないとわかっているはずなのに。
だからこそ、憎しみ、蔑み、嫌悪し、勝手な憶測で相手を判断することで
自分を守って生きている。
報われない行為かも知れない。
いつか自分が標的になるかも知れない。
それでも、他者への恐怖と孤独が個々の人間を狂わせる。
きっと、今もどこかで、誰かが誰かを傷付けている。
きっと、今もどこかで、誰かが誰かに泣かされている。