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多様性の社会で生きていくヒントが、ラグビーにある

ラグビーには、ほかのスポーツにはない、本質的な魅力がある?

 2019年のラグビーワールドカップ日本大会は、多くの人が会場に詰め掛け、観客動員数が128万人を超えました。無料のファンゾーンにもたくさんのファンが訪れ、老若男女問わず、選手たちに熱い声援を送ってくれました。

 大会が予想をはるかに超えて盛り上がったのは、Japanチームの大躍進があったから。しかし、日本戦以外の試合にもたくさんの観客が詰めかけたのは、ラグビーが持つ本質的な魅力に、多くの人が気づいたからではないかと思っています。

 たとえば、台風の影響で中止になった試合では、その試合に出るはずだった選手たちが、いち早くボランティアとして被災地に駆けつけるといった感動的なエピソードもありました。そうしたことも、ラグビーの本質的な魅力を形づくる一つの要因だったと思います。

ラグビーは多様性を認め、ワンチームになる…まさに”実社会”に近いスポーツ

 そんなラグビーの特徴の一つに「多様性」というキーワードがあります。Japanチームが実際にそうでしたが、国籍や人種を超えて「ワンチーム」として戦う彼らの姿は、まさに多様性の象徴でした。ただし、それだけではラグビーの持つ多様性を表すには充分ではありません。

 野球でもサッカーでも、トップレベルのチームには各国から選手が集まっていて、それはラグビーも変わらない。では、ラグビーの多様性は一体どこに特徴があるのでしょう。

どんな個性も活かせるではなく、活きる!
それが、ラグビーというスポーツ。

 ラグビーではポジションごとに求められる役割が異なるため、どこか一つ得意なところがあれば、足が遅かろうが、体が小さかろうが、パスが苦手だろうが、活躍できる場所がちゃんとあり、それが独自の多様性を生み出しています。自分の得意な面を最大限活かしてチームに貢献し、逆に自分の不得意な面は仲間が全力でフォローする――これこそがラグビーの大きな魅力であり、多様性の原点なのです。

 スポーツの中では、かなり特殊かもしれません。でも、これって”実社会の在り様”にかなり近い面があると思いませんか? ある意味、企業活動やさまざまなコミュニティーの「縮図」のような存在がラグビーだと言えるかもしれません。

 そうであれば、一般の方にも学ぶべき点が多いのではないか、多様性の時代を生きていくために、「ラグビーに学ぶ」という視点があってもいいのではないか……そう考えています。

コントロールできないウイルスは、子育てのよう

 今、世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるっています。

 昨年のワールドカップで手応えを得たラグビーも、オリンピックの延期が決まったことで、「さらなるファン獲得を!」という意気込みに水を差された形です。でも、私は今回のコロナ禍をこんなふうに考えています。

 人類は生態系の頂点に立ち、何もかも自分たちでコントロールできると信じてきた。しかし、それはただの慢心に過ぎなかったと教えられた。そして、ふと目を身近に転じれば、多くの親がわが子をコントロールできると信じている。でも、それはまさに今回のコロナと同じことなのではないだろうかと。

 ウイルスは、人類よりもずっと昔から存在し、今も形を変えながら生き続けています。彼らは相手を変えようとするのではなく、自らが外部環境に適応して変化することで、強く生き続けてきたのです。

 私は子育ても同じだと思いました。子どもをどう変えようかと考えるのではなく、親自身が変わる必要があると思うし、子どもに学ばせるのではなく、子どもとともに学ぶという姿勢こそが、本当の意味でよりよい変化をもたらしてくれるのではないでしょうか。そして、ゲームの状況によって自身をその都度変化させることを強く求められるラグビーは、その手本になるものだと確信したのです。

子育て論の第一人者もコメントと対談を!

 花まる学習会を主催する高濱正伸さんが、対談だけでなく、ラグビーの視点について子育て、親子関係の視点からコメントをくださいました。
高濱さんも”ラグビーに心を奪われたお一人”だそうです。どうして心奪われたのか、ラグビーの根底にある”あり方を大事にするスポーツ”という点、”オフザフィールドで伸びる”という点について、大いに納得してくださいました。

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世界がI(私)からWe(私たち)への過渡期!

 世界は今、この災禍を克服するために手を取り合っています。I(私)ではなく、We(私たち)で物事を考えている。これは「ワンチーム」の精神そのものです。

ー『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶオフ•ザ•フィールドの子育て 』はじめにより

―中竹竜二(Ryuji Nakatake)

株式会社チームボックス代表取締役
日本ラグビーフットボール協会理事
1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。
2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2014年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。
2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟 副理事長 など。著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』(CCCメディアハウス)など多数。

2020年、あらゆる個性が活きるラグビーから子育てを考える、
『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ
 オフ•ザ•フィールドの子育て 』を執筆。

◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆
本書では、「多様性」というキーワードに着目し、それを独自に育んできたラグビーに学ぶことで、子どもたちに多様性を身につけてもらえる、子育てをよりよくできるのではないかと考えました。

教えてくれるのは、「コーチのコーチ」をしてきた“教え方のプロ"である中竹竜二氏
さらに、花まる学習会を主宰する高濱正伸先生から、著者の考えに対して、
「子育て」や「学び」の観点から、適宜コメントを入れていただきました。
また、巻末にはお二人の対談を掲載し、ラグビーに学ぶことの意義についてご紹介しています。

改めて「ワンチーム」という言葉の意味や、ラグビーが大事にしてきた「オフ・ザ・フィールド」という考え方を知ることで、わが子の個性をどのように活かしたらよいかを考えるきっかけとし、わが子が実際に輝ける場所を親子で一緒に見つけてほしいと思います。

“サンドウィッチマン推薦! "
ラグビーがなかったら、いまの俺たちはいなかったと思う。
「中竹さん、ラグビーから学んだことは、今に活きています! 」



想いを込めて作った書籍を応援してもらうことに繋がり、大変嬉しく思います。 また本が売れなくなっているというこの時代に、少しでも皆様にお伝えしたいという気持ちの糧になります。