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エスプレッソとドリップ珈琲のプロセスウィンドウ

エスプレッソエンジニアのマークです。

今回はエスプレッソとドリップの抽出しやすさについて紹介します。
前回では、抽出の違いとしてエスプレッソは高圧抽出、ドリップは重力投下と説明しました。

エスプレッソ抽出は難しい?


最近開いたエスプレッソ抽出会で、初めてエスプレッソマシンを触った方にこんな言葉をいただいた。

「思ったよりエスプレッソ抽出は繊細で敏感」

どうやら、同じ透過式のドリップより、合格レベルの幅が狭いと感じたらしい。

特に、エスプレッソは粉の粒度やドーシング(投入・入れる珈琲粉)量によって、はっきりと美味しい・不味いが判断できる。
*ここでは飲めるか飲めないかのレベルの意味。

今回使用したグラインダー(コマンダンテ)とVaria VS3のダイヤルを極限まで細挽きの方に振って調節する必要があったのも背景にあったかと思う。

この点、ドリップは言い換えれば粒度調節や投入量に関しては鈍感で抽出後のドリンクには大きな影響を与えない。

ドリップはこの2つのパラメタに関しては、調整できる領域が広く、容易なコントロールでソコソコのドリンクが作れるということ。

エスプレッソのプロセスウィンドウ


以下、今回の質問をもとに模式図にしてみた。

Fig1. ドリップとエスプレッソのプロセスウィンドウの


今回はプロセスウィンドウ(加工窓口)という形で表現した。ドリップの加工窓口(紺色の領域)の方がエスプレッソ(茶色の領域)より大きいのは、粒度やドーシング量に幅が効くという意味。最近は厳密にコントロールされた手法も多いが、飲めないレベルでない。

一方、エスプレッソはその領域から外れると、Under extraction (抽出不足/青い領域)や Over extraction(過抽出/赤い領域)になり、飲めるレベルのドリンクにならない。つまり、この領域から外れるとクソ不味いのだ。

このエスプレッソの窓口が小さいが故に、粒度を調整するグラインダーやドーシング(投入量)の慣れがないと難しく感じる。
よって、珈琲豆をコロコロ変えるカフェや、やたらに豆の種類が多いカフェの場合、それぞれの豆に応じてグラインダーを変えたり、ダイヤル調整が必要になるため、非常にコントロールが難しくなる。

抽出不足と過抽出


今回は趣旨から外れるので詳しくは触れないが、Fig1にあるように抽出不足や過抽出だと基本的には以下の特徴が際立ってわかる。

抽出不足:クレマが薄く重厚感がない。酸っぱい事が多く、苦味も際立つ。抽出圧は低い(7、8気圧以下)
過抽出:渋み、苦味が強烈。舌がすぐ乾きやすい(ドライ)。抽出圧が高すぎ(10気圧以上) 。

Fig2. 左から、抽出不足 - 最適 - 過抽出

まとめ


今回は2つのパラメタ(粒度、ドーシング)の話だったが、必ずしもエスプレッソが難しいといわけではないかと思う。

他にも、湯温や豆の経時変化(時間パラメタ)、豆の配合比等のたくさんの因子が影響してくるけど、追々説明したいと思ってる。

特にカフェでのグラインダーのダイヤル調節は毎日行なったりする必要があり、経時変化の影響は厄介だ。抽出不足や過抽出で提供するのはご法度だ。

今日はここまでにします。

次回お楽しみに!



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