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サービスコラム 第1~4章

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第1章 サービスの本質 第2章 サービスの勘違い 第3章 マーケティングされたサービス 第4章 2種類のコンセプトを作る
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05.失敗する3つのコンセプト

05.失敗する3つのコンセプト



コンセプトを決めるときにやってはいけないことが3つある。
間違った視点で決まってしまったコンセプトを、その後もサービスに反映したまま提供してしまうと、様々な問題を生んでしまうことになる。

ひとつ目は、

ということである。

たとえば、「お客様の笑顔を喜びにする」という決定はコンセプトにならない。
なぜなら、お客の笑顔も喜びもそれぞれの人によって生まれる状態が違い、かつ笑顔であることとサービ

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04.コンセプトを固める3つの方法

04.コンセプトを固める3つの方法



「1.今あるものをさらに良くする」

アメリカの航空会社サウス・ウエスト航空が、「今あるものをさらに良くする」という考え方のヒントを与えてくれる。

サウス・ウエスト航空の基本コンセプトは「航空会社」であって「飛行機を飛ばすことで人を移動させること」である。

個別コンセプトは「型破り」「楽しく」「従業員第一」などがある。
従業員が物入れからパフォーマンスたっぷりに登場することが許されている。

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03.コンセプトのスタートライン

03.コンセプトのスタートライン



サービスコンセプトの出発点は2つある。

ひとつはマーケティングリサーチからスタートすることで、シャネルの「女性の解放」が当時の女性の服に対するニーズを捉え、その思いを反映したように、あらかじめマーケティングされるサービスを意識して作る。

しかしそれだけで選んでしまうと、単なる妥協のサービス選びとなってしまう。

そこで、サービスコンセプトを作る立場にいる人の夢やわがまま、思い込みがもうひと

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02.サービスコンセプトと経営理念は違う?

02.サービスコンセプトと経営理念は違う?



サービスコンセプトは、よく経営理念と混同される。

両者の違いは単純で、サービスコンセプトは事業の中でサービス部分のあり方を決める。経営理念は事業全体としての方向性を決める。

サービスコンセプトには、サービスに関わる3つの役割を持つ。
サービスを作る前のコンセプトは

で、サービスはコンセプトによって作られる。
サービス運営時は

になる。
細かい決まりごとや、接客の役割を決めるときにコンセ

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01.シャネルのコンセプト

01.シャネルのコンセプト



●基本コンセプトと個別コンセプト
高級ブランドでありファッションブランドとして有名なシャネルには、創業者のガブリエル(ココ)・シャネルが、帽子のデザイナーとしてパリに1号店を出店したときから、2種類のコンセプトを持っていた。

ひとつは、ファッションブランドという言葉に代表されるように「ファッション」というジャンルを示すもので

という。

もうひとつは「女性の服の解放」「黒・白・ベージュを基

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05.完璧なサービスの作り方

05.完璧なサービスの作り方



お客の声に耳を傾け、マーケティングされていれば、その声に応えるサービスを作ります。
サービス作りには、2種類のコンセプトを決め、4つのステップを踏む必要があります。

せっかくマーケティングに成功していても、ただの思い込みやこだわりでサービスを作ってしまうと、そのサービスはうまく働きません。
売上げや顧客満足に力を注がなくても、「買ってもらい」「満足してくれる」サービスの作り方を順番に見ていき

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04.マーケティングするサービスへ

04.マーケティングするサービスへ



これがマーケティングされたサービスである。

そしてマーケティングされたサービスを提供する事業は、おもしろいことにマーケティング→サービスの順が逆転し、サービス→マーケティングの図式が生まれる。

たとえばミッキーマウスはディズニーランドのシンボルでありながら、最も初期の古いキャラクター商品でもある。
ディズニーランドはミッキーが住む夢の国というコンセプトで作られたサービスとして、知名度も完成

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03.マーケティングとサービスは対立するのか

03.マーケティングとサービスは対立するのか



マーケティングは100%お客主導、サービスは100%事業主導というと、では接点や妥協点がないように思うかもしれない。
しかしそんなことはない。

まず、物事の順番がある。
マーケティングによってお客の声に耳を傾けることからはじまり、それを満たすサービスが用意されるのなら、マーケティングとサービスはお互いを補ってうまく働いてくれる。

この順番を逆にしてしまうと、サービスの不備をマーケティング(

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02.予想はしない。声を読む

02.予想はしない。声を読む



ネット上の掲示板、ブログ、一歩進んでお客の声を集めるサイトを作り、あるいはサイト管理者にあって話を聞くことができたとして、そこに

それはあくまで表面上の意見でしかない。

マーケティングを行うとき、私たちは心理学者やベテランのカウンセラーのように、相手の奥底に眠っているものを読まなくてはならない。
でなければ表面上のニーズに応えるサービスを用意してしまい、いざ新サービスがスタートしても思った

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01.サービスからはじめる自己満足な人たち

01.サービスからはじめる自己満足な人たち



新企画や新事業、起業を行うときに、こだわりのサービスがお客に受け入れてもらえると考えている人は多い。
マーケティングされていないこの手のサービスは、たまたまお客の求めるものに一致していればうまくいくかもしれないが、ほとんどの場合は失敗する。

サービスから事業をはじめてしまうと、販売促進によってお客候補軍をせかせかと集め、集まったお客の背中をぐいぐいと押して売らなくてはならなくなる。
しかも、

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07.サービスは顧客満足を不要にする

07.サービスは顧客満足を不要にする



完全なサービスはお客に喜んでもらおうとしなくてもお客が喜んでくれる、というと大きな反発があるかもしれない。

その証拠にリッツ・カールトンなどのラグジュアリーホテルでは、お客に満足してもらうための心配りが優れているなどという具体的な反論も出るかもしれない。
しかしそれでも完全なサービスは、完全なマーケティングが販売促進を必要としないように、顧客満足を呼び起こす行為を必要としなくなる。

それは

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06.サービスと接客の根本的な違い

06.サービスと接客の根本的な違い



サービスと接客の違いは、マーケティングと販売促進の違いに似ている。
どちらも理論的な説明がなければ何が違うか見分けにくいというところも似ているし、仕事や業務が重複するところがあるということも似ている。

サービスは提供すると決めたものを提供する。
接客はサービスとお客の間を取り持つ。
サービスは提供すると決めたことの約束を守り、
接客は両者の間を取り持つ中立の立場で、ニーズを一致させる。
した

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05.良いサービスだと思われているすばらしい接客

05.良いサービスだと思われているすばらしい接客



「最近満足や感動したサービスを3つ思い出してください」

この質問をすると、ほとんど決まった傾向の答えが出る。
たとえば「どこどこの旅館で大変親切にしてもらった」や「有名レストランでドッキリ誕生日ケーキを振る舞ってくれた」など、必ず接客が関わる答えが出る。
そういった答えが出るように質問をアレンジしているので、結果は当然このような答えになる。

そして次に、「身近にある必要不可欠なサービスを3

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04.マーケティングは販売促進を不要にする

04.マーケティングは販売促進を不要にする



マーケティングは、はじめからお客に支持されるものを用意する。
しかもお客が買いやすいように工夫する。

販売促進ではお客の支持云々は関係なく、売るために工夫を凝らす。
そのためにお客に売りやすいように努力する。
お客の支持は売るために必要な時だけ考えられる。

つまり、マーケティングが成功していれば、売る努力を行わなくてもお客が買ってくれるので、販売促進活動は不要ということになる。

多くの人

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