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06.サービスと接客の根本的な違い

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サービスと接客の違いは、マーケティングと販売促進の違いに似ている。
どちらも理論的な説明がなければ何が違うか見分けにくいというところも似ているし、仕事や業務が重複するところがあるということも似ている。

サービスは提供すると決めたものを提供する。
接客はサービスとお客の間を取り持つ。
サービスは提供すると決めたことの約束を守り、
接客は両者の間を取り持つ中立の立場で、ニーズを一致させる。
したがって、サービスは一方的であり
接客は双方向である。

サービスはたとえば、

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である。

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「漆(うるし)を塗った漆器のお椀が気に入らない。陶器のお椀を用意しろ」というお客の声には応えない。
返す言葉は「嫌なら他へ行け」である。

これは乱暴に聞こえるかもしれないが、実はそうではない。
普通に考えれば、漆器がほしければ漆器を提供するサービスへ、陶器がほしければ陶器を提供するサービスへ行けばいい。
職人が言っているのはそういうことである。
漆器を提供すると約束したサービスでは、漆器を一方的に提供する。

これに対して接客は、

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である。

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漆器の良さを知ってもらうニーズがお客にまだありそうなら、それを説明し、理解してもらった上で輪島塗を勧めてみる。
どうしても陶器でなくてはならないのなら別の情報を提供する。

そして返す言葉は、「漆器がダメなら陶器のお店へ行きましょう」である。
お客のニーズとサービスを合わせるよう双方向に力を働かせる。

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サービスと接客は似ているところがある。
サービスは提供すると決めたものを必ず提供するが、接客ではお客に直接そのサービスを手渡す。

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たとえば、レストランは食事を提供すると約束したサービスで、その食事は接客によって提供される。
であるのなら、やはり接客はサービスに限りなく近いのではないかという意見もあるかもしれない。
しかし実はそうではない。

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たとえば鉄道では、電車によって移動を提供することがサービスである。
昔は、改札員という接客者が電車を利用するお客の切符を切る(チェックしサービスを利用してもらう)作業を行っていた。
しかし現在では自動改札機がこの仕事を行っている。
このケースのように、

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サービスでは提供する手段として、接客が必要とされるときだけ接客に仕事が任される。

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これを接客の側から見るとこのようになる。
「接客者としてサービスを求めるお客に対して、最高にすばらしく提供するためにはどのようにすればいいだろう」
接客はサービスとお客のニーズを一致させることが仕事だが、接客者の提供方法には個人差がある。
お客のニーズにも個人差があるので、提供方法や提供時の会話の内容などが変わることは当然だといえる。
接客はサービスとお客を結びつけるために、

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つまり、

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約束できないことまでを要求される接客は、約束することを行うサービスに含まれない。

サービスと接客は役割が異なれば、活動内容も異なる。
人の目に見て明らかな、一致する部分があるというだけである。



前話: 05.良いサービスだと思われているすばらしい接客
次話: 07.サービスは顧客満足を不要にする



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