編集者が食いつく著者・3つのポイント Part❾ (その3)
【編集者が食いつく著者・3つのポイント】
1.プロフィール(信用・実績)
2.運の強さ・相性
3.オリジナルな言葉をもつ
3について解説します。
オリジナルな言葉をもつ人のことを、
編集者の世界では「言葉を持っている」
と表現します。
じゃあ、
「この著者は言葉を持っているよね!」
とはどういう意味なんでしょうか?
ズバリ!
独自の切り口や視点を、
第三者から見てインパクトある言葉で
書ける人かどうかなんです!
もしくは、
解釈の面白さ(著者の意見)、
文体の面白さもあるでしょう。
これらは、その世界に本気でのめり込み、
幾多の経験、失敗、チャレンジを繰り返しながらつかめる独自の世界観あってのもの。
言葉の技術というよりも著者の哲学や信念が
自然と言葉に変換されたものと言えます。
例えば、誰でもできる訓練として、
「あなたの職業を一言で表すなら何ですか?」
と質問された時、第三者が驚くような、食いつくような言葉で語れるか、書けるかです。
これが面白ければプロフィールにも使えます。
誰でも言える言葉で書いては売れるわけがありませんし。
そのほかに、言葉を磨く手っ取り早い方法は、
当たり前なことを言いますが
「読書家であれ!」ということです。
売れている本、ベストセラーに数多く触れていくことです。
売れている本、ベストセラーになるような本には必ず、その人ならではのオリジナルな言葉があります。
また、
あなたの業界で当たり前とされる知識が
世間には知られていない場合、
それがオリジナルな言葉になる場合もあります。
例えば、ぼくは出版業界にいることから
業界のことは当然知っていますが、
世間は知らない世界になりますよね。
そこで、ぼくが当たり前に思っていることと
世間が当たり前に思い込んでいることにカマをかけて、
「〇〇とは、〇〇である。」
というシンプルな一節で書く練習をするとしましょう。
例えば、
世間が当たり前に思い込んでいる出版とは、
すごいとか、憧れとか、特別な人しか出せないもの、という思い込みがあります(思い込みでもなく事実なのですが(笑))。
つまり、
出版とは、あなたを広く伝える武器である。
出版とは、個人がスターになれる媒体である。
とかだとして、
ぼくが書くならこうなります。
出版とは、公に恥をさらす場である。
出版とは、出産である。
恥をさらすというのは、
人には言いづらい大失敗談や過去のグレーな体験さえも包み隠さず披露することを言います。
また、人からどう思われるかという負の恐怖をも克服してブランド人として覚悟を決める場でもあります。
売れれば売れるほど必ず非難されるし、
レッテルを貼られるし、
アマゾンなどのレビューでとんでもないことを
書かれたりもします。
それを覚悟して出すのです。
出産と表現したのは、
本はコンテンツである以上、
どんな種なのかで売れるかどうかの半分は決まります。
優れた種を見つけて花開かせられるかは
編集者次第です。
著者の思想、信念、体験という遺伝子と、
編集者の遺伝子を組み合わせて誕生するのが本です。
本が完成した時の喜びは著者の方であればわかるでしょう。また、わが子を産み落とすくらいの思いで書き上げるのが出版です。
このように、
「〇〇とは、〇〇である。」
と、
大多数の人が前提としているもの(常識)を
打ち壊せるだけの言葉で表現できるかが大切になります。
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いまぼくの手元に、『雑談力が上がる話し方』
(齋藤孝・著 ダイヤモンド社)
があるので、その一部を抜粋しながら、オリジナルな言葉とはどのようなものかを紹介しますね。
↓ ↓ ↓
そしてここで忘れてはいけないのが、
話し上手と雑談上手は違うということです。
雑談についてよくいわれる2つの誤解があります。
①初対面の人やあまり親しくない人と、
何を話していいのかわからない。
②雑談なんて意味がないし、
する必要なんてない。時間のムダ。
①については、先ほど述べたとおり。
必要なのは会話力ではなくコミュニケーション力。
・・・(中略)
「中身がない話」であることに意味があるのです。
・・・(中略)
雑談というのは、あなた自身の人間性とか人格とか社会性といったものがすべて凝縮されている。そしてその「すべて」をたった30秒の何気ない会話の中で見破られてしまっているということです。
・・・(中略)
無意識のうちに、この人に近づいていいのかどうかを、雑談という“リトマス試験紙”を使って瞬時に判断しているのです。
わかります?
雑談とは、コミュニケーション力である。
もっと言えば、
雑談とは、人格そのものである。
と齋藤孝さんは言いたいわけです。
そんなことを言われてしまったら、
雑談できる、できない人に関わらず、
気になって読んでみたいとなりますよね。
ベストセラーになる本って、
このようにわかりやすい前提をフックにしながら、期待をいい意味で裏切る構造になっているものです。
今回はこの辺で。
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