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売れる本の構造とは?Part❼

お待たせしました!

過去2回にわたって出版流通の流れや、ざっくりとした売上分配のイメージについて書かせていただきましたが、

みなさんにとっては、
「細かい業界の話はいらないから、書店で売るためにはどうしたらよいのか教えてくれ!」という声が聞こえてきそうですよね(笑)。
 
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だけど、今まで説明してきたような実態を知ることで、本を売ることの難しさや、本が書店に並ぶまでの道筋、出版社の苦労、書店の苦労がかすかながらでも分かっていただけたのではないでしょうか。

「なんでこの書店に私の本が並ばないのか?」
「書店で本を売ることがこんなに大変なのか!」
 
などの理由を知る、知らないでは、出版社と交渉したり、本を作っていく過程における編集者とのコミュニケーションにも大きな差が生まれるのです。


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本というものは、出来上がるまでにたくさんの方の協力があり、時間もたくさんかかります。しかし、売れるか売れないかは出してみなければ分からないという難しさがあります。

ベストセラーを出した編集者でさえ、当てにいけないのです。一部の編集者が「私が手掛ける本はベストセラーになる」といった発言の裏には、自信もあるでしょうが、本を売るためのコミュニティを持っているからの発言であり、その本の良しあしとは別です。
 
たしかに、実績を一度作り上げてしまえば、結果が出しやすくなるのはあります。

また、本は売れ出すと一気に情報が拡散されて書店店頭の扱いが良くなり、どんどん売れていく傾向があります。ただし書店営業マンの力もかなり重要であることを忘れてはなりません。

何よりも、前回書いた、出版流通の喉元にあたる取次のパワーがいい意味で活かされやすくなるといった部分もあります。

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取次はデータで本の売上や返品率を管理していますから、売れているとなると一気に書店に働きかけて仕入れてもらい、全国で盛り上げる役割を果たすのです。逆に、売れていないとなれば、時間をかけてゆっくり売れていく本であってもデータで管理しているために、動こうとはしません。仮にある書店がその本を仕入れたいと思っても、その書店の実績が芳しくないと配本さえしてくれないこともあります。
 
実績を一度作り上げてしまえば、結果が出しやすくなる理由について、もう少し具体的に順を追って説明していきましょう。

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まず、「あのベストセラーを手掛けた編集者が担当した新刊だから売れるはずだ!」と出版社の書店営業マンがやる気になります。

すべての発火点は営業マンです。

次に、やる気になった営業マンが書店に自信を持って販促するので書店も実績を信じて並べようとする。

来店客は、たくさん積まれた本は売れている本ではないか?書店が気合を入れて売ろうとしている本ではないか?と気持ちが伝播して売れていく。

そんな売れる書店が出てくると、書店営業マンがその書店の実績を他店に知らせて拡販しだすし、いまや売上データが共有されていくので一気に情報が広がります。

また、売れるに従って予算も確保できるので新聞広告が打てるようになるし、SNS広告にも使えるようになるから、また情報が二重三重に拡散されていくわけです。

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これらのことから、今回の記事でお伝えしたい結論は、どの編集者と組むのかがかなり重要になるということです。しかし、残念ながら編集者を著者が選ぶことはできません。

選べるとすればあなた自身が力を付けていくことと、その編集者の好きそうなネタや、コンプレックスを探り出して、そのネタを持ち込むことが出来る人間だとPRするか、コンプレックスを解消できるのは私のコンテンツだとアピールするかの努力次第でしょう。

少なくても、知識さえあれば皆さんでもコントロールできる可能性があるのは、正しい出版社選びをすることくらいかもしれません。このあたりは別の記事で詳しく解説していきますので、今回はこの辺で。

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