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余談。本を売る方法ってあるのか?〈続編〉
「売り切れてしまって、出版社に何度も問い合わせをしているんだけど中々入ってこないのよ、、、売りたいのに、、、」
これは、書店営業中に聞いた書店の声だ。
たいがい、書店営業をあまりされていない出版社の本であることが多いのですが、その声を聞くたびに「もったいない」と思うものです。
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出版社がよく失敗するケースとして、初動は良かったが、期待して増刷した分がまるまる在庫に変わってしまったというもの。出版社にとって、返品は単なる紙屑に変わる瞬間ですからリスクを避けたいのは痛いほど分かります。
以前、Facebookに、出版社はなぜ、マーケティングに力を入れないのか?重要性を理解していないのではないか?とふてぶてしくも書いたことがありましたが、これからは出版社の営業力が凄く大事になる業界です。
出版マーケティングに大事なことは、小売業界も同じですが、数字と現場の両面から考察し、市場の温度を見極めながら売れ筋と死に筋を的確につかみ、受注の精度を高めていくことです。
それこそが本当の単品管理だと思っています。
よくやる失敗は、市場の温度を見ずに机上で調べた売上げデータだけで売れている、売れていないを判断し、売れた分だけ補充する。単なる補充注文、後追い注文になってしまい、機会ロスを繰り返す。また、売上げと在庫のデータだけで様子を見たり、増刷したりもする。
これは、営業力のない組織がよくやる手法です。
業界不況と言われ、返品増が収益を圧迫するため、出版社も取次も返品という廃棄ロスばかりに目を向けてしまう。なぜなら、機会ロスは目に見えず、廃棄ロスは目に見えるから。
セブン&アイHDの鈴木敏文会長は、機会ロスを目に見える形にするためには仮説と検証しかないと教えています。
そのために大事なのは営業力+データ分析力だと断言します。
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営業現場で見て感じた市場の動きから
▶︎データでは売れていない書店ばかりだが、この書店では売れている。
▶︎いままで売れていない本だけど、他社のあの本が売れている。もしかすると潜在的ニーズがあるかもしれないから、試しにあの本の隣に並べていただく交渉をしてみよう。
▶︎タイトルがこれだからあの棚に並べられてしまうが、棚を変えれば売れるのでは?
と、現場感覚とデータを結びつけ、仮説と検証を行う。そして、テストマーケティングを試みながら売るべき時に一気に組織を団結させて営業攻勢をかける。
長年、出版業界にいて思うのは、業界不況は外部要因のせいだけではなく、委託販売と再販制度に甘んじ、なんとかなるといって仮説と検証が大事なビジネスに遅れをとる組織体質にあるのではないかと感じています。
また、そもそも論として、本気で売りたい本をつくる、この本を世の中に出したいという職人魂を持つ人材が業界からいなくなりかけているのではないかとも感じるのです。悪く言うならサラリーマン化してしまった。
コンテンツビジネスで、
サラリーマン化は死を意味します。
コンテンツが全ての業界である以上、一番大切な、売れるであろうコンテンツを求め、探し出すのは当たり前ですが、サラリーマン化してくると、売りたい!売ってやりたい!が眉をひそめ、とにかく出さなければに偏り始める。
その結果、本の数ばかり増えて書店は何がなんだか分からなくなり、手をかけて丁寧に売ることさえ出来なくなります。
本というのは、自然に売れる本もありますが、大半は出版社の営業が必死に動いて、市場の動きを見極めながら、書店を揺り動かしながら、ときには書店から貴重なアドバイスを受けながら、仕掛けて売り伸ばすものです。
本があり過ぎるからこそ、営業力が益々大事になっているのです。
たまに、コンテンツの良し悪しを脇に置いて、宣伝・プロモーションがうまくいったから売れた、うまく出来なかったから売れなかったなどと言う人がいますが、出版はコンテンツが全てです。コンテンツがよくて、営業マンと書店が頑張って売るのが先にあるのです。それでこそ宣伝・プロモーションが活きるのです。
コンテンツの質抜きに、現場の売る力抜きに、
宣伝・プロモーションだけで売れたは大間違いです。どんなに優れたコンテンツも売る側が本気にならなければ必ず頭打ちします。伸び切らずに終わるものです。
編集は本を作り続けなければならないのが現実です。これは止めようがない。だからこそ、営業マンの見極め力、販促力が益々必要になるのです。
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