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カモフラージュが可能なカメレオンスーツが完成する

カメレオンといえばカモフラージュが得意な動物としても有名ですよね。今回の研究では、周りの背景に応じてカモフラージュが可能になるフィルムが完成しました。

これを着れば私たちも迷彩柄よりも自然に溶け込む完璧なカモフラージュが可能になるかもしれません。

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参考文献より引用


カモフラージュの仕組み

カモフラージュフィルムには熱に応答する液晶が使われています。液晶といえばテレビで有名ですが、構造に応じて色を制御することができる材料です。

そして、今回使われている素材は温度に応じて構造が変わりやすい液晶です。つまり温度を制御することで構造を変えて、色を変えるという流れです。

しかし、熱応答液晶を使ったとしても正確に温度を変える必要がありますよね。そこで、使用するのが銀のナノワイヤーです。

ナノワイヤーというのは目に見えないぐらい細いワイヤーのことです。細すぎるため非常に薄い液晶フィルムの中に入れても厚みに影響がありません。しかも、電気(つまり同時に熱)を伝えやすい銀を使うことで効率的に色を変えることができます。

また反射した余分な光が漏れないように、光を吸収する黒いインクで塗った下地を液晶相の下に用意します。フィルムに入った光は液晶の影響のみを受けて反射します。

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参考文献より引用

このカモフラージュフィルムは液晶層、余分な光を吸収する黒い層、温度を制御するワイヤー層で出てきています。このワイヤーに適切に電気を流すことで、自由に色を変えることができます。


進化するカモフラージュフィルム

さらに研究グループはナノワイヤーで絵を描くことで、様々なバリエーションの模様を実現することができました。黒い下地の下に3種類の模様のワイヤー層を用意して、それぞれをオン/オフすることで異なる模様が浮き出てきます。

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参考文献より引用

さらにさらに、フィルムの裏側に背景の色を測定するカメラを用意することで、背景の色に応じて電気信号を与え、熱に変換し色を変える自動カモフラージュ機能も追加しました。

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参考文献より引用

ここまですると、Nature系列に載るのも納得の仕上がりです。

最後に

今回は、カメレオンのカモフラージュに夢見て、ナノテクを駆使することで実際に色を自在に変えるフィルムを作ったという研究を紹介しました。

このフィルムを大規模大量生産することができれば、戦車や戦闘服に応用できます。

論文内でも軍事応用について触れられていましたが、これはお国柄なのか、日本では書けない表現だなと感じました。

まあ、軍事技術の一般利用が私たちの生活を変えていると思うと、何とも言えないのですが、カモフラージュスーツが完成しても戦争には使ってほしくないですね。


参考文献

Biomimetic chameleon soft robot with artificial crypsis and disruptive coloration skin


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