「コンサル一年目が学ぶこと」は博士課程で学べる話(ファクトとロジック編)
私は読書がとても苦手です。
しかし社会人になっても読書ができないのは恥ずかしいと思い、活字慣れのためにもAmazon primeで無料の本を会社の昼休みにちょっとずつ読んでいます。
その中で読みやすかった「コンサル一年目が学ぶこと」について簡単に紹介するともに、これって学生時代に学んだなと思ったので、博士課程に行くと同じようなことを学ぶことになるよって話をしたいと思います。
「コンサル一年目が学ぶこと」
本の中でも書かれていましたが、この本は必ずしもコンサルのための本というわけではありません。全ての社会人に向けて、このようなマインドで仕事するのが大事だよと教えてくれます。
他にもいくつかの本に軽く目を通しましたが、一番読みやすくてわかりやすい内容だったのでおススメです。
それでは、簡単に紹介していきましょう。
ファクトとロジック
最初に書かれているのが、ファクトとロジックで語るということです。
あくまでコンサルのお話から入るので、相手はクライアントです。
そんな中、若手が感情的にクライアントを納得させるのは至難の業です。そういう時は、数字というファクトとそれをもとにロジックを構築して説得するのが良いと書かれています。
なんだか、よくあるビジネス書に出てきそうな文言ですよね。Youtubeとかでも聞いたことがあります。
このファクト(事実)とロジック(論理)というのは確かに重要です。客観的に物事を判断しようと思ったら感情はいったん置いておいて、この事実と論理展開のみで物事を判断するでしょう。
そして、このファクトとロジックというのは大学院生は嫌というほど学びます。博士課程に進学せずとも、研究室に入ったらこの考え方がないと生きていけないです。
しかし、なぜだか多くの人は「~だと思う」という感情(想像や予想)と事実を混ぜて話をしてしまいます。
もちろん研究の世界では、感情と事実を混ぜるのはご法度なので、何が実験から得られた事実なのか、そこから論理的に展開したらどのようなことが導き出されるのかを考えていかなければなりません。
相手に理解してもらえるように話す
ビジネスでは相手(クライアントや上司)に理解してもらえるように話をしなければなりません。
そんなの当然じゃんと思いますが、できるコンサルは相手の土俵に合わせるため、クライアントの企業のプレゼン形式や社内用語まで分析して資料を作るようです。提案した資料をクライアント企業内で使ってもらうために、用語まで社内用に合わせるという徹底ぶりです。
この相手の土俵に合わせるというのも大学院で学べますね。例えば学会発表です。
学会には様々な分野の先生たちが参加しており、その聴衆に向けてわかりやすく発表をしなければなりません。どんなに近い分野の研究をしているからといっても、全く同じ研究分野というのは少ないのではないでしょうか。
そのような環境で相手に理解してもらうためには、相手(聴衆)の専門領域を分析し、その分野の言葉を使って説明する必要があります。
どんなに自分の分野の専門用語を使いたくても、それを理解してくれる人がいない場所で使うのはナンセンスです。
このプレゼンの考え方は以前の記事で紹介しているのでよければご覧ください。
私自身まだまだなところはありますが、この心がけは大学から離れてもいつも意識していますね。
本質を追求する
コンサルの仕事では情報を集めてまとめて、クライアントにパワポなどのわかりやすい形で納品するようです。しかし、著者は単に情報をきれいにまとめたものを提出だけではダメだといいます。
クライアントが欲しがっているのは、単なる情報ではなく、その情報から何が言えるのかということです。つまり、集めてきた情報からわかる知見を渡さなくては意味がないということです。なるほどですね。
ただ、これも研究の世界でよく言われる話ではないでしょうか。研究ができる学生は実験をした結果だけを先生に提出するのではなく、結果から何が言えるのかまで考えたうえで提出したり、共有したりしますよね。
大学の先生が必要なのは表面的な結果だけでなく、結果から言えること、次の実験につながる知見が欲しいわけです。
「やりました→できました」の研究には意味がないという話を過去に書いたことがあります。仕事も同じで「やりました→できました」ではダメなんですね。
ロジックツリーを活用する
本にはロジックツリーを使って論理を整理しましょうと書かれています。
ロジックツリーを聞いたことない方に簡単に紹介すると、事実や課題を木の形で展開していき、論理構造をスッキリさせる手法です。
個人的には、これはとても賛成です。
職場の上司もロジックツリーを使うことをチームメンバーに提案していましたし、私自身報告書の論理展開が複雑な時は説明するときに図解しました。
もしかすると大学院生の中にはロジックツリーという言葉を聞いたことがない人もいるかもしれませんが、おそらくほぼ全員似たようなことは経験しているはずです。それがプレゼン作成、論文執筆です。
以前、こんな記事を書きましたが、このプレゼンの流れこそが論理構造です。論理構造ができていないプレゼンは破綻してしまうので先生にも先輩にも受け入れてもらえません。
大学院生は皆知らず知らずのうちに論理をパワポ資料という形でつないでいるんですね。
雲雨傘の理論
本を読んで初めて知った言葉ですが、「雲雨傘の理論」というものがあるそうです。
これは「空に黒い雲が出ている(事実)→雨が降りそうだ(解釈)→傘を持っていこう(アクション)」という論理展開を言い表したものです。
この「事実→解釈→アクション」の流れをしっかりと抑えることが仕事をする上で大事だと述べられています。
大学院生なら、この論理展開の見覚えがあるのではないでしょうか?
実験結果(事実)→考察(解釈)→次の実験計画(アクション)というのは、研究室ではよくあると思います。大学院生の研究生活は、まさにこの繰り返しですよね。ビジネス本を読まずとも自然に身についているはずです。
最後に
今回は「コンサル一年目が学ぶこと」の読書感想文を書いてみました。なんだかすごそうなことが書いてありましたが、ほとんど大学院で学ぶことができるんですよね。
当然、そのようなスキルを磨くも腐らせるのも本人次第です。
私自身、知っていてもできないことは多々ありますが、常に意識することで少しでもポンコツ社会人から脱出できるようになりたいですね。
次回は、「コンサル一年目が学ぶこと」は博士課程で学べる話(資料作成術編)として後半の仕事術についての感想を書いていこうと思います。