小説家が”覚悟”を決めて描くとき
ご本人に確認したわけではないし「そんなつもりはない」と言われるかもしれないけれど、この小説を書くのには勇気がいっただろうなあと思う作品に出会うことがあります。最近だと芦沢央さんの『夜の道標』にもそんな感想を持ちました。社会的に目を逸らしてはいけないけれど、胸の中で善悪がせめぎ合い小説として完成させるのは難しい。そこにトライして結実させた作品が好きです。
桂望実『息をつめて』もまた、書くまでに迷ったんじゃないかなあと思う作品でした。世間から怯え、隠れて生きる50代の女性に何が