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■大河ドラマ『光る君へ』第14話「星落ちてなお」感想―白い袍の関白さまなアクスタをください

大河ドラマ『光る君へ』第14話まで来ました。

昨日、他の記事を書いていて思ったのですが、あの衝撃の第9話からもう5週間経っているのですよね…

毎週、情緒がジェットコースターをぶちかますほど濃い物語が展開しているので、気づかずにいましたが。こうして言葉にしてみると、改めて月日の流れの速さに驚きます。

そんな今週は兼家パパりんがご退場になりました。

「嘆きつつひとり寝る夜の明くる間はいかに久しきものかとは知る」

明るくやさしい道綱どんと、息子大好き寧子さまと。

それがどれほど束の間の時間であろうと、「家族」でやさしい時間が過ぎてよかったと思うのです。あの時間は、きっと寧子さまとご一緒だからこそのもの。その分、赤い月に照らされた兼家パパりんの人生の壮絶さが突き刺さりましたが…とても好きな場面でした。

さて、そんな第14話の感想です。まぁ、いつものごとく主人公は出て来ません(通常運転)。と、その前に第13話の振り返りはコチラです。

ではでは、れっつごー。


■今日の中関白家

■白い袍の姿の「道隆さまアクスタ」をください

毎週『光る君へ』を見ながら、メモをとっています。内容がどーの、とかそんな真面目なものではなく、心の声をひたすら文字にしたものです。

第14話では、兼家パパりん逝去の後に道隆さまが関白にご就任になりました!(スタンディングオベーションからの盛大な拍手)

兼家パパりんが「道隆、おまえが継げ」とおっしゃったとき、ワタクシったら、史実としては知っているはずなのに「うぉぉおおぉ‼」と(心のなかで)大いに盛り上がったのですが。

そのあとに行われた、初めての公卿会議の場面で。

「る」が「み」みたいになってる。

ものっそい勢いで叫んでおります(笑)

ちなみな話。メモは全編この調子で書かれていて、しかも、これをもとに感想記事は書かれているという…このメモのどこをどうしたら、こんな4000字超えの記事になるのか、我ながら不思議だったりはします。

閑話休題。

というわけで、NHKさま、道隆さまの関白就任を祝して、白の冠直衣姿のアクスタをください(土下座)

・ ・ ・

さて、ここで道隆さまが関白にご就任になったということは、中関白家の栄華が始まったことを意味し、…その終焉へのカウントダウンも始まったことになります。

そうして、道隆さまはまるで生き急ぐかのように、嫡男伊周さまを昇進させていくのです。兼家パパりんがレールを敷き、道隆兄ぃがそのレールを拡張し、のちに道長どんがそこを全力疾走するというイメージでしょうか。

先日、宇治の大河ドラマ館へ伺ったのですが、パネル展示にはもちろん道隆さま(=井浦新さん)のお姿やコメントも掲げられていました。

そこには「この先は鎖を解き放たれた獣のように、違った道隆の顔を…」とあり…ここからどれほど道隆さまが艶気をだだm…躍動なさっていくのか、とても楽しみですし、同時に、その向こう側にある奈落が怖くもあったりするのでした。

■中宮と皇后―因果応報とは

令制では「三后(さんこう)」という制度があります。太皇太后、皇太后、皇后を総称したものです。簡単に言えば、天皇の后に与えられる地位です。

第14話では、関白道隆さまが「定子さまを中宮に」とおっしゃって、ロバート実資さまが「断じてあり得ませぬ!」と叫んでいらっしゃいました。

これはなぜかというと。

「中宮」は独立した地位ではなく、「皇后」の別称でしかないからです。もう一つ言うならば、この「三后」の地位は天皇の退位や崩御にまったく左右されない、独立した制度なのです。

そして、この990年現在、「三后」の席はすでに埋まって満員御礼でした。

・太皇太后:昌子内親王(冷泉天皇妃)
・皇太后:藤原詮子(円融天皇妃/一条天皇母后)
・皇后(中宮):藤原遵子(円融天皇妃)

藤原遵子さまは、公任さまの姉上です。円融帝(坂東巳之助さん)が懐仁親王(一条帝)を産んだ詮子さまを差し置いて、遵子さまを立后させた(皇后に立てた)お話は、以前描かれました。

しかも、三后の方々はこの時点(990年)でみなさんご存命です。ですから、完全に席は埋まっているのです。

でも、道隆さまは「中宮」が「皇后」の別称であることを逆手にとって、ここに娘である定子さまを割り込ませようとしたのです。そして、それは公卿たちが全力で反対するものの、一条天皇の鶴の一声で大決定になります。

これは、一条帝が幼いうちに定子さまの地位を完全なものにしておこうという策略ではあります。

駄菓子菓子(2回目)

このやり方が、後に定子さまや伊周さま―中関白家の没落に直結していくのです。

「そもそも前例の一番初めには前例などなかった」

そう考えると、この台詞って超皮肉が効いてます。だって、ここで前例を作ってしまったがために、それを盾に道長どんは娘を中宮にでき、定子さまたちは道隆さまの願い空しく、奈落へと突き落とされていくのですから…(涙目)

■公任さまの蔵人頭のお姿が!

■久々にF4が集まりました(一人足りないけど)

道隆さまが関白を継ぎ、権力が完全に兼家パパりんの系統に移りました。そうして、その恩恵が自分のもとへやってくることのないF4(ー1人)な人々はぼやきます。

この場面、なんとなく、以前の力関係―公任さまが紛うことなきリーダーで、他の3人のまとめ役―から、対等な感じに変わっていたような。ちなみに。この前年に、斉信さまは右近衛中将(従四位下のまま)に、公任さまは蔵人頭(正四位下のまま)になっています。

また、この場面、光の加減で公任さまが超うるわしく、うつくしく、イケメンな超公任さまなお姿を見せていらっしゃって…(感涙)あぁうつくすぃ…としみじみ思っていたら、次の場面「白い袍の道隆さま」が映り、私が叫んだ、と。

第14話は目にやさしく、心に栄養をくれる場面が満載でした♡

■蔵人頭な公任さま―アクスタをください

第14話では、伊周さまの蔵人頭就任が話題になっていましたが、公任さまも前年から引き続いて蔵人頭でいらっしゃいます。…あの蔵人頭のお姿な公任さまのアクスタも発売をせつにせつに希望しております(土下座/2回目)

そうして、この場面の一条天皇の一言「朕は定子を中宮とする」の直後に、一瞬公任さまのカットが入ります。これ…超意味が深いですよね…

だって、上にも書いたように公任さまの姉君である遵子さまは現在「皇后(=中宮)」です。そのことは、おそらく公任さまの後ろ盾として機能していることでしょう。

父君である頼忠さまがなくなった今、姉の遵子さま、その背後にいる円融院が、公任さまにとっては頼みの綱となっているはずです。

にも拘らず。

その遵子さまと同等の「中宮」という立場に、関白道隆さまの娘であり、同じく蔵人頭である伊周さまの妹である定子さまが就く。

このことは公任さまにとっては、自身の後ろ盾が相対的に弱くなることを意味するのです。はっきり言えば、これ以降、どうやっても自身で権力を握ることはないし、また出世もそれほどは望めないことを宣告されたも同じなのです。

そう考えると。あのカットはおそらく、そのことまで一気に踏み込んで理解した公任さまの一瞬の表情を映したものであろうと…思うのです。

■でも予告が不穏過ぎて((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

そんな崖落ち一歩手前な公任さまに、予告で道兼どんが「尽くすって言ったよな…」と不穏な発言を(泣)何をさせるの、公任さまに(/ω\)💦

とまぁ、そんな道兼どんですが。第14話では、兼家パパりんを弔わず、どんちゃん騒ぎをしていました。その姿は『大鏡』にも描かれています。

この殿(道兼)、父大臣(兼家)の御忌には、土殿などにも居させたまはで、暑きにことつけて、御簾ども上げ渡して、御念誦などもしたまはず、さるべき人々呼び集めて、後撰・古今拡げて、興言し遊びて、露嘆かせたまはざりけり。その故は、「花山院をば、我こそ賺し下し奉りたれ。されば、関白をも譲らせたまふべきなり」といふ御恨みなりけり。

集成本『大鏡』道兼伝

書いてあることは、「花山院を下ろし奉ったのは私なのに、なんで兄者が関白? そんな分からず屋なパパりんの弔いなんかしてやんないんだから!(何キャラ?)」で、ドラマと同じです。

そんなマジで報われない道兼どんは、ここからどんな闇落ち芸を見せてくれるのか。でも、お願い。公任さまを巻き添えにしないで(懇願)

■まとめに変えて―来週は南殿の競射!

さて、来週は高校の古文教科書に採られることの多い『大鏡』の逸話、「南殿の競射」ですよぉ!

物語のなかに、あの場面があったらいいなとは思っていましたが、その願いが本当に実現するとは…めちゃくちゃ嬉しいです。しかも、射る前の「我が家より帝が出る」は『大鏡』のまんまのセリフ。…生きててよかった♡

でも、あれ、予告では「弓」も含めてオールマイティに出来る子設定の伊周さまがおっしゃっていたような。

しかも。

『大鏡』では、伊周さまが「的のあたりにだに近く寄らず、無辺世界を射たまへる」のに対し、道長どんはど真ん中に全部当てるんですよねぇ…そうして、道隆さまは顔面蒼白になっていたような…

まぁ、どんな道隆さまもうるわしいことには変わりませんけどね♡(安定の強火担)

でもでも、『大鏡』では道長どんが言ったとされる台詞を伊周さまに言わせることで、まさかの中関白家の暗転な未来をこんなに早くから暗示しまくる…とか…??

それだけはどうぞ勘弁してください(土下座/3回目)

・ ・ ・

来週は石山寺のお話も出てくるようで、『蜻蛉日記』の作者寧子さまと、まひろっちの邂逅もありそうです。それがまひろっちの『源氏物語』にどうつながるのかも楽しみですよね。

そんなこんなで、来週もご一緒に『光る君へ』を楽しめたら、とても嬉しいです。

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んじゃ、また。






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