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■大河ドラマ『光る君へ』第9話を深掘りしたい人のための参考本

えりたです。
先週放送された第9話「遠くの国」、未だ直秀ロスから立ち直れずにいます。みなさまはいかがですか?

実はあのあと直秀は生き還って、ワンチャン越前編に出るんぢゃないか? とか、昨年の『どうする家康』におけるお市さまと茶々さまのように、顔がめちゃくちゃ似ている親戚とか、腹違いの弟とか出てくるんぢゃまいかとか。儚い夢想をしては「あるわけないか」と直秀な口調で苦笑い。

それほどのロスを感じているのに、直秀の全く出てこない第9話の感想はコチラです。

相変わらず、中関白家=藤原道隆さまと、花山天皇に萌え散らかしております。考えたら、第9話で逝ってしまった直秀に続き、第10話ではドラマのなかで推している花山天皇の退位……大丈夫か、私の情緒……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

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さて、第9話に限った話ではないのですが。

平安時代は、身分によって厳格に秩序付けられた社会が営まれていました。貴族と一般庶民の間には生活や文化における歴然とした差がありましたし、貴族のなかでもその差は明確にありました。

たとえば、下級貴族の娘であるまひろの家と、上級貴族の娘である源倫子の家(土御門第)の差。下級貴族である藤原為時(まひろパパ)と、上級貴族である藤原兼家(道長パパ)の衣装の差。めちゃくちゃ分かりやすく、見た目でも差があります。

それらの差や、下級貴族たちの生活を教えてくれる本がこちらです。

■『平安京の下級官人』

■倉本一宏 著
■講談社現代新書
■940円+tax
■2022年1月

大河ドラマ『光る君へ』の時代考証を担当されている倉本一宏先生のご著書です。『小右記』などの貴族日記から読み取れる下級官人たちの日常や右往左往が色とりどりに描かれています。

第9話では、道長が検非違使に袖の下を渡していましたが、そういったある種のしたたかさも、あるいは、為時パパのように自分の道を貫く頑固さも、そのどれもが下級官人たちの生き様であることが分かります。

それこそ、大石先生がおっしゃるように、人間ってな1000年ごときでは変わらないことの証左なのかもしれません。

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さて、第8話の感想記事でしれっと次のように書きました。

この時代は何より「血筋」が重視されます。ですから、どこまでも臣下でしかない「藤原」よりも、皇統に連なる「源氏」の方が格は段違いに上なのです。

これは藤原氏のはじまりと、源氏のはじまりの違いによるものです。「源」は、天皇の皇子に賜る姓ですが(賜姓源氏)、「藤原」は乙巳の変(いわゆる、「大化の改新」)でお馴染み「中臣鎌足」が天智天皇から「藤原姓」を与えられたことから始まります。

そこからものっそい枝分かれして、同じ「藤原」でも兼家パパと為時パパのような明確な違いが出てくる。そのあたりのことを知るのに参考になるのがこちらの本です。

■『図説 藤原氏』

■木本好信・樋口健太郎著
■戎光祥出版
■2023年7月
■2000円+tax

中臣鎌足を始まりとする古代から、中世手前の保元の乱(藤原頼長)まで、主要な人物をピックアップし、その為人を示すエピソードや時代背景を語る本です。もちろん、道長も紹介されています。

また、この本では、男性貴族だけでなく、詮子や彰子、定子ら女性たちや、『光る君へ』の時代に至るまでに起きた政変の主役たちも取り上げられていますので、ドラマで描かれる時期の下地になっている事柄についても知ることができます。

この本はこちらの記事でも紹介しました。

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気が付いたら、明日には第10話。1月7日に放送が始まってから、あっという間にここまで来ました。ドラマ内の時間としては、977年から始まり、現在986年を描いていますから、まだ10年経っていません。ですが、物語が濃密すぎて、ドラマ内の時間も現実の時間もちょっとバグり気味……

でも、それほど前のめりで楽しめるドラマに出合えたのはうれしいことですよね。今週もおそらく気持ちをぶんぶん振り回してくる、超濃くて、せつない物語が展開されると思いますが、こちらも全力で楽しみたいと思います。

んじゃ、また。


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