磯貝依里

本を読むのが好きです。文章を書いていきます。

2019年の文章のこと

年の瀬にその一年の活動をふりかえる的なものを今までやったことがなかったのですが、今年は文章面で新しくはじめられたものがいくつかあったので、noteにかんたんに記録し...

散文詩「Air Waves」 / 『Night Flow Remixes』

夜風を割り、左右の景色を吸い込んでゆくように滑り込んできた電車に、ぼくはぼくの手を引いて乗り込んだ。  夜光虫にそっくりな、終電間際の快速電車。  ぼくは夜で、...

小説   『水面に向かって』

大量の人間たちの緊迫した眼の光がその一点に注ぎ込まれた。と同時に、鈴の音のような得体の知れない音が周囲からさざめきたった。きっとそれは、この場にいる人間たちの突...

エッセイ:汽水記 第3回/「彼岸のことはわからない」

ふしぎなことに、子どもの頃に培ったイメージというのは大人になってもひっそりと続いている。  たとえば「曜日」なる存在は未だに子ども時代の習い事別にイメージとして...

エッセイ:汽水記 第2回/「金魚にピアス」

「スプリットタンって知ってる?」 (『蛇にピアス』P5)  分かれた舌先でぺろりとタバコをくわえ、馬鹿げて明るい調子で男が発したこの言葉。この冒頭の衝撃は、いまでも...

エッセイ:汽水記 第1回/「ホムペの遠浅」

秋と冬のあいだの肌寒い日、乾燥した教室の片隅でカチカチカチ、とケータイの下スクロールボタンをただひたすら連打する。制服のスカートの股の上、糊のゆるんだ襞のあいだ...