磯貝依里

本を読むのが好きです。文章を書いていきます。

春と名前のこと

沈丁花の匂いがむかしからとても好きで毎年この時期はひっそりたのしみにしているのだけど今年はその匂いを空中に感じる前に春の温度がきょう来た。と思って、良い感じの温…

2019年の文章のこと

年の瀬にその一年の活動をふりかえる的なものを今までやったことがなかったのですが、今年は文章面で新しくはじめられたものがいくつかあったので、noteにかんたんに記録し…

散文詩「Air Waves」 / 『Night Flow Remixes』

夜風を割り、左右の景色を吸い込んでゆくように滑り込んできた電車に、ぼくはぼくの手を引いて乗り込んだ。  夜光虫にそっくりな、終電間際の快速電車。  ぼくは夜で、…

エッセイ:汽水記 第4回/「これから生きる野の記憶」

なくても ある町。そのままのままで なくなっている町。電車はなるたけ 遠くを走り 火葬場だけは すぐそこに しつらえてある町。みんなが知っていて 地図になく 地…

小説   『水面に向かって』

大量の人間たちの緊迫した眼の光がその一点に注ぎ込まれた。と同時に、鈴の音のような得体の知れない音が周囲からさざめきたった。きっとそれは、この場にいる人間たちの突…

エッセイ:汽水記 第3回/「彼岸のことはわからない」

ふしぎなことに、子どもの頃に培ったイメージというのは大人になってもひっそりと続いている。  たとえば「曜日」なる存在は未だに子ども時代の習い事別にイメージとして…