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小説のようなもの

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散文詩「Air Waves」 / 『Night Flow Remixes』

散文詩「Air Waves」 / 『Night Flow Remixes』

 夜風を割り、左右の景色を吸い込んでゆくように滑り込んできた電車に、ぼくはぼくの手を引いて乗り込んだ。

 夜光虫にそっくりな、終電間際の快速電車。

 ぼくは夜で、そしてまた、ぼくも夜だった。

 さっきまでは別の、夕方のぼくがいたけれど、駅へ向かう途中、団地の西棟の奥へ沈む太陽と一緒に溶けて消えてしまった。

 それで、歩いているうちに、いつのまにか新しいぼくがぼくの手を引いていたのだった。

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小説   『水面に向かって』

小説   『水面に向かって』

 大量の人間たちの緊迫した眼の光がその一点に注ぎ込まれた。と同時に、鈴の音のような得体の知れない音が周囲からさざめきたった。きっとそれは、この場にいる人間たちの突如いっせいにふくれあがった鼓動の反響にちがいない。JR環状線京橋駅と京阪京橋駅をむすぶ北口のひらけた空間が一瞬完全に固まった光景を、わたしは見た。人間たちはその鈴の音が止むと、スイッチを入れられたように絶叫をあげて逃げまどった。
 わたし

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