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編集のための覚書

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"ヒトとモノの出会いを編集する"ことを模索するための日々の覚書きです。
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#コラム

編集の力を信じてる

編集は、偏集だ。偏ってこそ価値がある。 私の尊敬する編集者の言葉で、うちの編集部で伝説的に語り継がれてる言葉のひとつです。 この「偏る力」こそが、私が信じている編集の力の根幹です。 選ばれない失望私の編集の価値についての原体験は、美大に通っていた頃…大学の芸祭でした。いわゆる学祭なんだけど、そりゃもう皆の力の入れようが他の大学とは違って、誰もが何らかの出し物に参加してるんじゃないか?という熱気で。 私の出身である油絵学科の子たちは大概、絵を展示して、一般の方やギャラリス

ふいに鮮やかさを連れてきてくれる、私の仕事

最近、エモい文章の研究をしている。 それは単純に仕事で没入感のあるコラムを書けるようになる必要があるから…という話なのだけど、アンテナを立てているとやっぱり出会いはあるわけで。 こんなツイートを見てしまったら、今の私は読まずにはいられないのです。 考えたこともなかった。どうして「指の混ざり」と「頬の香り」なの? このエッセイ、多く語るのはあまりにもナンセンスなので、ぜひ読んでほしいです。 エッセイ自体はとても素晴らしいもので、仕事のヒントになる種がたくさん閉じ込めら

編集者という肩書きにもやもやする

今、私は編集者という肩書きを名乗っています。 やってきた職業としても間違ってないし、やりたきことともあってるし、問題はないんだけど、もやもやする。 編集者という言葉の広さなんでかって、編集者という肩書きは良くも悪くも意味が広いのです。 まず、ひとくちに編集といっても漫画・雑誌・書籍・WEB…それぞれの業界で手法もお作法も違います。私は漫画と書籍はできません…! それに加えて、昨今は編集者が自らSNSでアカウントを持つことで流通網を持ったり、媒体に囚われない企画を打ち出

高円寺「小杉湯」は現代のひとの暮らしに寄り添う銭湯だった

昨日、高円寺の「小杉湯」に行ってきたのですが…最高な銭湯すぎてびっくりしました。 私は温泉が大好きで、その延長で銭湯もそこそこの経験値があると自負していますが、なんと私至上No.1銭湯に躍り出ました。 お湯が良い、とかそういう話もあると思いますが 1)「良いお風呂体験」の見本市的な存在になれている 2)今の時代の人の生活とちゃんと向き合って、自分たちなりの「銭湯」を 再構成している感じがした みたいなところがめちゃくちゃに素晴らしいな〜と思いました。2なんて、完全にデザイ

私たちは、思うよりもずっと曖昧に見ている

今参加しているコルクラボ編集専科。 月1回の講義と課題があり、講義は雲の上とも言える大先輩のお話を聞けるという最高に贅沢なラボです…。 そして、今回の課題が『「マイノリティ」をテーマにした王道な企画』の企画書を作る。 シンプルな一言に込められたあまりにも深く難しいお題… そもそも、「マイノリティ」って何?「王道」って何? 言葉の定義さえ、実は私たちは曖昧。 【マイノリティ】マイノリティとは、「少ないこと」および「少数派」という意味の語である。とりわけ社会的に少

今の時代は「懐の広さ」が情報を伝えるキモなのかも

インスタでユーザーの検索行動が変わったなんて話はずいぶん昔から言われていて、分かってるつもりでいましたが… 最近流れてきたこちらの記事を見てコンテンツを作る側はこういう設計をしていかないといけない時代なのか…とはっとしました。 ちなみに話題に上がっているHOTEL SHE, KYOTOはこの夏私が行きたいと思っている場所のひとつでもあります。 以下は、HOTEL SHE,のインスタのユーザー動線についての抜粋です。 実際このツイートの台湾の子も、HOTEL SHE,

海を超え、歴史に学ぶこと@ある編集者のユートピア

世田谷美術館で開催している「ある編集者のユートピア」に滑り込みで行ってきました…! 編集者・小野二郎が追い求めたものを深堀りしていく展示です。 小野二郎は ・新卒で入った出版社で2年で25冊発行 ・その後独立し、出版社立ち上げ ・才能ありそうな若手をスカウトしまくり一流編集者に育てる みたいな感じなので…ハイパー編集者かつ、おそらく当時の感覚ではイケイケのベンチャー創業者的な感じの人です。 言動も、「晶文社は運動だぞ」と社員に言っちゃうような感じなので今見ても超尖ってま

この夏、私が「編集観点」で巡りたい場所

6月下旬〜8月くらいまで、しばらく時間と場所の制約があまりなく動けるので、かねてから行きたい…!と思っていた場所を回ってみようかなと思っています。 今回の選定基準は 1,何か「場」を運営しており 2,その「場」を「メディア」として捉えられそう というところです。そしてその「メディア」の「コンテンツ」がどう作られているのか?を編集観点で勉強してこようと思います。 情報が大量に出回っている昨今、1次情報をしっかり持ってるのは強いと思うので、しっかり見て自分のこやしにして来よう

料理教室が「地域の暮らし向き発信」に最高だった話

今日はハワイで料理教室に参加させてもらったのですが料理教室ってコンテンツとしてめちゃ良質…!という気付きがありました。 観光・人口の課題を抱える地域は料理教室をしっかり編集してコンテンツ化するととても良きと思ったのでポイントをご紹介しようと思います。 その土地の食をつまみ食い感覚で知れる旅先での体験の満足度って「その土地の食」を楽しめるとあがるわけですが、料理教室では食材を説明しつつ、味見させてもらいながら調理するので地元の食材試食会のような体験が。 特に、調味料や食材

その文章の存在証明ができる編集をしているか

情報誌の編集をやっていると、商品の販売ページなんかを見ていて職業病的にムズムズしてしまうことがあります。 それは、情報の整理のしかた。 明らかに重複してる…順番おかしい…みたいなことがあるとああっ…!!ってなっちゃうのです。 超雑ですが例をあげて考えてみると… 1)アンティーク風の可愛いデザインです 2)コンパクトなのに充実の機能! 3)可愛くなりたい女の子のためのアイテム 4)小さくて持ち運びやすい まず、1と3は「女の子向けだよ」という情報が被っており、3は「女の

活版印刷所×立ち呑み「リズムアンドベタープレス」

Popeyeを読んで、出会ってしまった!と思ったお店。 それが、リズムアンドベタープレスです。 活版印刷所が、夜はそのスペースを飲み屋さんにしてるというお店です。 印刷を知ってもらいたい、という想いで営業されているとか。 詳しい話はコチラを読んで頂くと良いかと。 私、印刷って好きで。 あの刷り上がってプロダクトが出来ていく感じとか、インクの匂いとか、ものを作り上げていく感じが最も手に取るように分かるのが印刷の瞬間であり、愛しいなと思うのです。 中でも活版印刷は私の

ストーリーを語る時代が、次に行こうとしている

世の中、モノコトの背景を伝える情報が溢れている。特に、東日本大震災以降、そんな物語の伝え方が多くなった印象です。 そんな今の情報のありかたについて、はっとするツイートがありました。 あぁ、流行が一巡したんだなぁと。 (ちなみにこのツイートについてカナエナカさんはこのあといくつかツイートをしていて、それを読むと決してストーリー自体を否定したいわけではないのはとっても伝わってきます) 誰かが始めて、流行って、飽和状態になって、飽きて、その間に次の何かが芽吹き始める。トレンド

ずっと分からなかった、「お前は本を読め」という問い

数年前、人生の恩師とも呼べる人に言われた言葉があります。 「吉田、お前はもっと本を読め」 「いや、読んでますよ」 「…そうじゃないんだよ…もっと文学とか、そういうものを読んだほうがいい」 当時の私は仕事が世界の中心で、もっとうまく、はやく、仕事をやるためには…ということばかり考えていました。だから、読んでる本もいわゆるビジネス書。 だから当時はその言葉を投げかけてもらった意味がよく分かりませんでした。文学って娯楽だし、明日の私が生きるための糧にはならない。こんなに時間が

「お膳立て」をして生きていきたいのかも

昨日今日と自分の今考えていることや、どういうことを生業にしていきたいのか?について人に聞いてもらう機会がありました。 私の編集という仕事、それについて私が思っていることや、自分自身がどんなときにに嬉しいと思うのか?を話していった時に 「語源とか分からないけど…それってどれも「お膳立て」をしてるって言葉にできそうじゃないですか?」 と言ってもらって、私も語源とか分からないけど直感的に「それだぁっっ!」っとなりました。 そのあと速攻お膳立ての意味について調べました。 -