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green bean to bar chocolate

蓮始開

7月。関東梅雨明け。日中の日差しは強く、マンションの最上階である部屋は蒸し風呂状態です。帰宅してすぐ窓を開けて扇風機と換気扇を回して徐々に和らぐのを待ちながら、揺り椅子の上で本を読もうと、思うけれど、だめだ今夜もとても眠い。

先週、大阪と京都へプチ旅行へ行っていました。

自粛期間だし、美術館メインだったので、観光の時間はあまりなく、チョコレートショップやバーは回れず、残念。唯一greenさんの京都店へ寄りました。新風館という大正時代の電話局舎をリノベーションした複合商業施設に入っています。他のお店もコンセプトがあって当代風の良いお店ばかり。

京都限定タブレットは羅臼昆布と抹茶の2種類あります。今回開けたのは抹茶。抹茶なんて定番すぎて面白味もないけれど、確実に美味しい。コスタリカのお豆を使っています。ミルクチョコレートベースが抹茶のキリッとした渋味をマイルドに包み込んで優しい余韻が残ります。

ところで新風館の一角に植物とお酒とアートのお店があって、とても素敵でした。理想的な空間。

(THISIS)SHIZEN

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FILM

この微妙な時期にどうしても京都へ行きたかったのは、京都国際マンガミュージアムで楠本まきさんの個展が始まったから、というのが第一の理由です。

線と言葉・楠本まきの仕事」展

女の子は女の子らしく、波風立てず平凡に、誰に対しても愛想よく、同調するスキルを身につける。そういう「当たり前の感覚」が、子供の頃から何故だかうまく体得できず、要領の悪い子ね!と母から詰られてはダメな娘でごめんよ…と、少女時代に自信を失ってから今に至り、拗らせる、というのが私の原点にあります。

中学生、14歳というのは誰しもそういうタイミングなのでしょう。勉強はできなくてもいい、愛嬌振りまいて安定した収入のある人と結婚して出産して地元に家を建てて…という野暮ったい田舎の価値観や、栄養取りすぎの鈍臭い自分の身体を脱ぎ捨てたかった。早くおとなになりたかった。知らない世界にアクセスするには知識を蓄えるしかないと、古典からラノベまで活字を読み漁り、TSUTAYAで古い映画を片っ端から借りて見て、既製の服や雑貨はリメイクして納得がいくものに変え、とにかく好きなもの、美しいものの断片をかき集め部屋中をコラージュしていくように、焦燥感を埋めようとしていました。

そんな時に出会ったのが楠本まきさんの描く世界観です。「kissxxxx」の時代背景は私より一回りくらい上なのだけど、地元の本屋で取り寄せたこの漫画には、探していた私の全部が既に在って、「ああこれだ」と。それは息が止まるくらいの鮮烈な出会い、それと同時に初めて息が吸えたような、呪いが解けたような、ようやく自由になれたような爽快さもありました。

あれから25年くらい経ちます。イギリス好きで耽美主義な私はずっと楠本作品を生きているような錯覚すらあります。美学専攻の大学院生の時もそう。結婚しない30代後半の女性という、今もそう。この世界観をトレースしているのではないかと、その心地よさもある。
生の原稿の手作業の筆致は、そのものが詩的で哲学的でデカダンスで、美しくて、本物、でした。だから展覧会は、やっぱり見て良かったです。私が生きている世界は虚構ではなく現実だと、自信を持って言えるのだから。

CHOCOLATLE

green bean to bar CHOCOLATE
新風館 ShinPuhKan

INFORMATION

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◆クラフトチョコレート取扱場所◆
中之条ガーデンズ
tsumuji
SO.ラボ
MARUOKA
木下商店




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