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育成として向き合うということ


 今回は大学生/大学院生限定プログラミングコミュニティGeekSalonの育成統括として関わった経験をもとに、「育成する側に必要なノウハウ / 意識するべきこと」を書いていきます。
 多くの人から頂いたフィードバックや、参考記事、本からインプットしたものを現場でアウトプットしたもののうち、特に自分に合っていたと思うものを中心にまとめていきます。

 育成領域の記録として書きますが、他の領域でも応用できると思います🙆‍♀️
いくつかアウトプットのためのケース例題を用意しているので、考えながら読み進めてください。




どの領域にも通じること

 まずは、育成領域ではもちろんのこと、育成領域関係なくリーダーとして意識&履行すべきことを書いていきます。

  1. 具体的な期限を設ける:「明日のお昼まで」ではなく「明日の13時まで」

  2. 優先順位を決める:自分の中の優先順位と相手が認識する優先順位がずれないように明確に意思統一を図る

  3. 中間報告を受ける:予定通りに進んでいるか、間違った方向に進んでいないかを確認する

    仕事が速いリーダーは、部下に仕事を任せます。権限委譲をすることで、一歩上の業務に集中でき、組織全体が底上げされ、仕事が速いチームになるのです。(= 相手に中間報告のタイミングを決めさせ自発的な意識づけをさせるのが大切)


    上記に加えて育成は以下のようなことも特に意識しましょう!

  1. メンバーを信じて待つこと

  2. 毎回、より多くの人に話しかけること

  3. ありがとうをちゃんと言うこと

    私はメンター生活を通して貫けた自信があります笑
    皆さんも何か貫いてください🙋‍♀️


ここまでは序章です。
上記を最低限身につけている状態で、これから書くものをさらに吸収して欲しいと思います。


ここからがダイレクトに育成に役立つ話になります。

育成する側に必要なこと


1.観察力

 マネジメントをする上で、観察力は本当に役に立ちます。
今からどういうところに注目すればいい?その活かし方は?などを紹介します。

①その人の特性を知る
 以下の点に沿って観察するとよい、という定石を紹介します。

※以下多用する”NA”とはNext Action(履行するもの)を意味します。

-NAを履行してもらうために観察すること
 ・じっくり考えて目的をはっきりさせてから動くタイプ?
 ・とりあえず行動できるタイプ?
 ・最初の段階で、期待されると頑張れるタイプ?
 ・人の意見を過度に気にするタイプ?
 ・自由にできる環境の方が伸びるタイプ?
 ・途中経過で気ににしてくれていると感じることで逆にプレッシャーになるのか、モチベになるのか?

などなど、「動く前」と「動いている最中」の行動を観察します。
この観察結果をもとに以下のことに注意して接しましょう。
・NAの渡し方
・履行中の接し方
(走り始めに、いいね!早速動いててさすが!の一言で爆走するタイプかな?など)


-NA履行後に伸ばすために(次につなげるために)観察すること
 ・直接褒められて伸びるタイプ?
 ・お尻に火をつけてもっともっと!って感じで動くタイプ?
 ・遠回しに褒められたいタイプ?
 ・NAとNAに間髪入れない方がやる気になるタイプ?


②強み&好きなものを知る
-最短最速で達成の時にこれは重要です(その人を成長させるためにあえて弱い部分でNAを振る場合はのぞく)

 ・話すのがうまい?
 ・技術志向?
 ・細かい作業が好き/嫌い?
 ・新しいことを思いつく(0→1)タイプか、既存のものをアプデする(1→100)のが得意なタイプか等

 上記を把握してNAを渡すことのメリットとして、こちら側が動機付け(モチベ維持)をしなくても勝手に&期待以上の結果を出してくれる可能性が高まります。


③相手のニーズを知る
 成長軸(ニーズ)が業務軸に沿っている時が一番やる気が出る時です。
②に似ていますが違う点としては、苦手or不得意だとしてもこのスキルを伸ばしたい!と思っている部分が業務軸に合っていればOK!
「〇〇の業務をすると、〇〇(人の名前)の目指している姿に近づけるよ〜」というニュアンスをさらっと言ったり、匂わせてNAを渡すとReturnが何倍にもなって本人も成長します。

 もし意図が伝わっていないと思う場合には、自分の経験(これをやったらこのスキルが身についた!)や他の人のこと(これをやってる人がこう成長してた!あのすごい人も昔はこれのおかげでできるようになったんだよ〜)を伝えてみましょう。


まとめ
まずは①〜③を観察の際に意識してみましょう。
ただし、観察だけでは判断ミスの時も。わからない場合は、以下を実践。
-相手の特徴を本人に聞く
-その人と似ている人を見つけ、その共通項から予想する
-DISC分析で目星をつけて判断する(ただし人は単純に4パターンに分けられるわけではないし、DとIの中間などのハイブリッドも多いのであくまで参考にする)



そして一番重要なのが、予想が正しいのか仮説検証すること💡

私が一番見抜けなかった人は1ヶ月ぐらい仮説が外れていましたが、PDCAを回しているうちに観察力がグンと伸びたのでここはトライ&エラーしてみてください!


ここまでで、観察の着眼点についてある程度理解できたと思います。
ここで以下について考えてアウトプットしてみましょう。


例題1
あなたは育成メンターとしてAさんをFBする人になりました。
Aさんは新メンターtodoリストをいつも後回しにしがち。この前もtodoリストを進めるよう説得しましたが全く進んでいません。

今までみていて以下の観察ができています。
皆さんなら+αでどこに注目して何を観察しますか?
そして次回のオープントーク(FBする30分程度の時間)でどう対応しますか?考えてみてください☺️

【新メンターのAさんを観察していてわかったこと】
・Aさんはやる気がある時はとても動いてくれますが、興味のないことにはモチベが湧かないようです。
・Aさんはおしゃべりではあるものの、議論の場で反対意見を言うことができていません。
・Aさんに直接褒めても、微妙な反応が返ってきます。
・Aさんは、チーム戦が大好きなようです。



2.フィードバック(FB)の力

 重みのあるFBをしていくために以下を実践していました。

人から受けるFBを受け身で聞かない
 自分より上の立場の人と1on1やMtgしたときにもらうFBから、どこに焦点を当ててるのか、もし自分が同じ内容を報告されたらこんな感じでFBすればいいのか、という視点でFBを聞くようにしましょう。
→毎回のMtgで1〜2個ぐらいのFB法を盗み、それを次週の1on1やMtgなどで全く同じことをFBで伝えてアウトプットしていました。こうすることで自分の中で定着がはやまり、次回以降も言えるようになります。

またこうすることで、今回のFB法は自分に合っていたのか、改良した方がいいのかなど守破離ができるようになります。


自分の中でこの観点でFBしようっていう型(土台)を作る
 軸がブレブレだと、「あれ、この人前は〇〇と言っていたのに、今日は△△と言っている、、?矛盾😇となりかねません。
こうなると、マネジメント相手のスタンスが定着しない可能性があります。
 
私は、主に以下の軸を前提として、そこから派生させたFBをしていました。


①定量的に
数値的根拠を元に(定量的に)報告しよう!とよく言われているはず。
それに加え、指標も(できるものは)定量的に落とし込めると◎


定性的な指標では、共通認識をとるのが困難でありPDCAが回しにくいからです。
(特に育成は定性的なものがほとんどなのでここがブレると全体がブレブレになります⚠️)

例)新メンターが、willcanmustなどでフワッとした目標を立ててきたとします。いいね!じゃあそうなるためにはどうすればいいかな?とhowにいきなり進む前に、まずは定量的な指標に落とし込みそれを達成するためのhowを考えると言う順番でFBを!

Aさん:説明会上手くなりたい!
→どれぐらい上手くなりたいの?(人によって、スラスラ言えること=うまいなのか、入会率80%=うまいなのか)

Bさん:受講生に慕われるメンターになりたい!
→受講生に慕われるの定義は?(=③の要素分解に繋がる)その指標は?
その人の思い描く定義が、「コミュニケーションスキルが高くてコミュニティ形成がうまいメンター」なのか、「技術ゴリゴリでどんなエラーにも対応できるメンター」なのかによってhowや指標は異なります。
また指標に落とし込む時も、技術ゴリゴリを目指すなら、「技術点○点以上」や「1ヶ月に新しい技術を5個以上学び続ける」などより具体的に数値で示すとアクションベースでやりやすく実現性も高まります。


例題2
ここまできたらイメージつかめたと思います。
ここで、新メンターのCさん,Dさんが、willcanmustで以下のような目標を立ててきました。皆さんならどうFBしてあげますか?考えてみてください☺️

Cさん:questionにたくさん答える

Dさん:周りのメンターに慕われるメンターになりたい


まとめ
定性的なものこそ定量に落とし込み、定量に落とし込めないものも指標を自分で探す癖を。それを元にPDCAを回す癖を。



 ②空白のある質問
これはこーたさんのリーダー策定で学んでから実践してきたものです。

「埋めにくい空白(すぐにはわからない)は脳が全力で埋めよう(答えよう)とする=空白は潜在力を引き出すことができる」

ただし、重箱の角を突くようないじめるような質問ではなく、あくまで本質的なところで質問しましょう笑

とは言われても、これ非常にイメージが湧きにくいはず。


なので、私が実際に同期メンターに空白のある質問をされてハッとした場面を↓
「社内の環境をより良いものにする」というテーマの元、インナーブランディングについて議論するMtgがありました。
事前に考えてきた理想状態、その理想状態と現状を比較してみたギャップ、そこから課題を洗い出し、アクションベースに落とし込んだ仮説、などを伝え終わりFBをもらおうとしていたら、いきなり一言、

そもそもテーマに含まれている "環境" の定義って何?明文化して!」

これが空白を生み出す質問なんだな、、とそのときとても納得したのを覚えています笑


やり方、注目する点は状況によって異なると思いますが以下がフォーマットです。
-定義の深掘り(上記の例同様、共通認識を得る)
-今後どのようにしていく?→NAがすぐに履行できる状態にないとき
-それによってどんないいことがある?
-他に選択肢ある?(これをやって上手くいきました!って言われた場合、それ以外に仮説検証した?いつまでにやる?)
-やり遂げるために、何かあったらいいものある?

この辺りは、自分がFBしていく過程で今日の質問は相手をしっかり考えさせられて上手くいったな!というものをどんどん取り入れていくと良さそうです。



③要素分解して "なぜ" を問う
 
先ほどの続きですが、willcanmustで以下のような定量目標に落とし込めたとします。
Aさん:説明会で60%以上を目指す
この後、すぐにhowにいく前に要素分解できるか考えてみましょう。


「説明会」ってどう要素分解できる?
説明会=事前準備×LINE@温度感あげ×説明会中の雰囲気作り×伏線の張り方×追っかけ...(他にも色々あります)


 そうしたら、目的を失わず要素ごとのアプローチ法や優先順位をつけたアクションしやすいNAに落とし込みができるはず。
ここでいきなりhowを考えてもらってしまうと、抜け漏れ・重複が出る可能性があるためです。


例題3
それでは、以下のBさんに対してオープントークでどう対応するか考えてみましょう。

例)新メンターのBさんがwillcanmustを定量的に考え直して、以下のように推敲しました。
Bさん:リリース率70%以上の受講生対応をする

このような目標に定ったら、育成メンターの皆さんは次にどう対応しますか?考えてみましょう!



例題4(応用編)
リーダーとして悩んでいる、中メンターのCさんがいました。
Cさんは、みんなが自分のNAを履行してくれないと嘆いています。NAの渡し方をみる限り観察力や発信力には問題がなく、どうやら求心力に欠けていると予想ができました。
皆さんならCさんにどうアドバイスしますか?




④抽象度を高め上流に目を向ける(他の領域に転用できる学びに事象引き上げ)
これは、帰納&演繹、両方に使って欲しいです。

帰納的な例を紹介します。
ある新メンターDさんが時間でキャパキャパに追い込まれて相談しにきました。
リーダー活動、受講生対応、などなど物理的に占めている時間(下流)だけを聞く限りかなりキャパ気味。
こう言う場合(これは他のことにも応用がききます)下流にしか目が行かないと根本解決はできない気がします。


キャパの原因は、物理的時間(下流)もあるけど、そもそも上流でやり方を変えていけば下流の時間も減らせるかも?こういう思考でFBの時に意識してみてください。
特に、課題の原因が一つに集約されて一気に解決!なんてことも今までにありました!

例)受講生に答えをすぐ教えると、永遠に同じところでつまずいて質問してくる
→howを教えたら質問回数が減って、受講生も自走できてこちらも手が空いてwinwin

例)目先の業務しかみれておらず、正しいかわからないがそこだけに時間を費やしている、結果としてチームメンバーがついてこない
→議事録の作り方・書き方を変えてみたら全体像を把握できて、実は最短経路は別にあるかも?

ここで帰納的に考えてDさんのキャパを圧迫している根元は
「全体像を俯瞰できず目先のことばかりを積み重ねていること」


富士山の高さ知らない人に、今2000mのところにいるよっていったところでどれぐらいすごいのか、悪いのかわからないのと同じです⛰
→全体像の把握大事。


この考えでマーケでは、目の前の1を積み上げることだけに執着するのではなく、ゴールと現状とのギャップから、いつまでにどう数値を積み上げるのか?そのプロセスのどこに今いて目標よりどうなのか?を考えたり、


受講生対応では、○ヶ月目あたりに自走できることを見据えてコーチングする、などの対応策が浮かび上がってきそうです。



次に演繹的な例を紹介します。
これはそこまで難しくないと思いますが、帰納的な例で得た学び(=一般論)を他の領域に活かすにはどうすれば良いか?を仮説を立てて考えてみるのです。

この演繹的な思考をする上で役に立った記事を載せておきます。


マーケで得た学びはマーケだけで活用するのではなくて、コンテンツやHRで活用できるような考え方をしていきましょう!


それでは、新メンターにFBする場面でこのFB法をアウトプットしてみましょう。

例題5
「昨日初めて即入会できた!」と喜ぶ新メンターのEさんとのオープントークで、昨日の説明会の振り返りを一緒に行いました。

まず、この状況からどう学びにつなげますか?(どうPDCAを回してあげますか?)またその学びを受講生対応で活かすためにはどうアドバイスをしますか?考えてみましょう。



まとめ
 ここまでのことをしっかりと読んでいる皆さんは、きっともう重みを持ったFBができると思います☺️
ただ、気をつけて欲しいのが上で書いたことはあくまで最低限(一定以上のFBの質を担保するため)であり、これより上は個々人がオリジナリティを発揮して欲しいと思うのであえて全ては伝えていません!


みんなが全く一緒のFBをしても人間味に欠けてしまうと思うので笑
守破離の「破」「離」を意識して素敵な育成メンターになって欲しいなと思っています!


 ちなみに、そもそもインプットってどうするんだろ、、って思う人もいると思います。まずは簡単なところからやってみてください。
・他人のログ(採用・育成のいい人のログ)を漁る→FBを真似る
・キーワード検索をして良い記事を探してみる(プログラミングと一緒ですね👀)
・人が紹介してる記事や動画や本を読んでみる

ここで私が育成に関して読んで良かった本を載せておきます。
こちらは定量的な評価面と定性的な育成面の両軸で書かれた本になっており、実際の場面をもとに具体事例を示しているので、他の育成本に比べて読み進めやすく、実践に活かしやすいと思います!


最後に求心力のお話をします。
これは、1(観察)や2(FB)のその先にあるものだと思うのでまずは、1や2をやってみた上で3を意識してみてください!


3.求心力

◎求心力とは?
人を惹きつける力、影響力、カリスマ性、この人についていこうって思わせること。

◎求心力を身につけるには?
※これはあくまで私の意見です。

①一緒に働く人をよく観察する力(項目1で書いたもの)
 ・なんの仕事が向いてる?なんの仕事でモチベ上がる?
 ・その人の性格は?どうされたら頑張れるタイプ?
→接するときのこちらの態度で、ある程度モチベをコントロールできると思います。
ここが強くなると、マネジメントがうまくなり、ラポールを形成でき(信頼関係)、この人についていこうって思えるきっかけになるのではと思います。

②重み(その場しのぎではない、今後につながるもの)を持ったFB
 ・空白のできる質問をして相手に思考させる
 ・答えを教えるのではなく、Howを教える(コーチング)
 ・マネジメントしている人を成長させようと信頼して動くこと
ここが強くなると、カリスマ性・影響力が増すと思います。


③誰よりも目標を諦めない

 こーたさんもよく言ってますが、リーダーが諦めたら達成するものも達成しないと思います。
リーダーが諦めてないんだから自分も頑張らなきゃと思わせられる人になってください。
私が好きな、「微妙な未達は許すべからず」の記事を載せておきます。




④ついてきてくれるみんなを信じる
 これは、私が新メンターの時にある先輩に言われてから大事だなあと思ったものです。

私が、〇〇の理由でこれをやりたい!と力説していたら、
「自由にやっていいよ!上手く行かなかったら自分が責任取るから、失敗を気にせず挑戦してみて」
こう言われた時、私もいつか先輩側になったら後輩のことを信じて行動できるようになろうって思いました笑

せっかちに答えを要求したりせず、その人を信じて待つって素敵だなあって思います。


去年、あるメンターにこんなことを言われました。
「自分とは反対意見の人を信じることってなかなかできないし、リーダーなのにすぐ反発してしまう、、」
こういう場面って結構あると思います。

私の好きな、「ミルク売りのお話」があるのですが、
一見対立している人たちも、実は共通項があったりします。
GeekSalonにおいては、どんなに対立したり張り合っていたとしても、根っこの部分では、
「GeekSalonをよくしたいと思っている点」において共通しているはず。
そう言う風に捉えられるといいですね!



例題6
自分の身の回りで「この人についていこうって思える」人を想像してください。なんで自分はその人についていこうと思っているのか?(求心力を感じているのか)を、今までのFBの観点なども踏まえ考えてみましょう。

また、今の自分はそのロールモデルに近づけているか?近づくためには何をしていけば良いかも合わせて考えてみると良さそうです。

そしてそれを次回から育成する新メンターに対して実践してみてください☺️



最後までお読みいただきありがとうございました。

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