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SEL × SDGs 子どもたちの未来 〜山形県鶴岡市温海地区の実践〜

SELをベースにした「生きる力を育む教育」プロジェクトが山形県鶴岡市の温海(あつみ)地区で推進されています。今回は、SELの実践事例としてこちらのプロジェクトをご紹介します。

プロジェクト「生きる力を育む教育」のはじまり


この「生きる力を育む教育」は2019年コロナウィルスによるパンデミックの直前に開始しています。例外なくコロナ禍の影響を受け2020年は予定の変更を余儀なくされ当初計画通りに進めることが難しい期間を経ました。
このプロジェクトは、鶴岡市移住アンバサダーでもあったSELの専門家(三森)と温海庁舎長との出会いから地域活性と持続可能な地域づくりを目的に始まりました。

最初は、誰も知らないSELを認知してもらうため、地区の教育関係者を集めての講演会からはじめ、当時温海地区の4つの保育園を運営していたあつみ福祉会の理事長のご賛同により保育園から導入が開始されました。
最初は、もちろん保育士先生も何が始まるのか不安しかないような状況でしたが、保育園や地域の強みを共有するワークショップからスタートし徐々にモチベーションを高め、SEL教育アドバイザーの三森と親交を深めました。その後、研修会や数度の保育園訪問による課題共有やSELによる課題解決を語り合いを重ね少しづつ前進してきました。

そして今では、保育士先生が自発的に推進できるまでになっています。
以下は、温海地区保育園のホームページの記事を織り交ぜながら事例をご紹介します。

地域を繋ぐ連携を子どもから


この地区には保育園が4園ありましたが、そのうちの福栄保育園は少子化による子ども不足によって昨年の3月末で閉園となってしまいました。しかし、この福栄保育園の立地環境は子育てには最高な場所だったこともあり保育園側と三森のアイデアによって残った3園合同による「福栄の日」を年に4回行うことになりました。
「福栄の日」では、3園の年長さんが「福栄保育園」に集まり福栄の豊かな自然環境を利用したアクティビティを合同で楽しみながら、自然からの学びを得ます。この10月にはネイチャーゲームを通じて豊かな自然の恵を感じ学んだあと、気持ちの変化に気づくSELワークを行いました。
当時の様子はあつみ福祉会のホームページをご覧ください。

自分の選んだ感情カードを誇らしげに貼る子どもたち

地域の理解と地域産業との連携


このプロジェクトの大きな原動力となっているのは、保育士先生のモチベーションはもちろんですが、保育園の地域や地域産業との前向きな関係です。
今回は鼠ヶ関保育園の漁協との連携をご紹介しますが、温海地区としては、あつみ杉の森林組合や、さくらマスや鮭といった河川の漁協、あつみ蕪など代表的な特産品のある農業と各保育園の特色として連携を図り豊かな学びを創造しています。

漁協では水揚げされた魚を見せてもうことで、食卓に魚が届くまでの様子を垣間見ることができ、食育にもつながる体験ができます。
こちらの様子はホームページで詳しくご覧になれます

水揚げされた魚を見せてもらっているところ


地元漁師さんの協力で地引網を用意してもらいます
親子参加の地引網の様子は保育園のホームページをご覧ください

地引網を用意する地元漁師さん

1日を振り返り、自分の心と向き合う


「生きる力を育む教育」では、SELの基本でもある「振り返り」を行います。振り返ることで、その日のアクティビティが単なるイベントにならず学びに昇華します。振り返りでは、自分の感情(気持ち)まで向き合うことで自分の感情の動きに気づき、自分の感情を理解したり他者の感情を知ることができるようになります。その結果、自己肯定感も高まり自信に満ちた表情の子どもたちへと成長していきます。

感情カードを胸にあて自分の心と向き合う子どもたち
地域の特徴を描いた台紙に感情カードを好きな場所に貼ります

こちらの様子は保育園のホームページをご覧ください

以上のような取り組みを通じてSELとSDGsを両方組み合わせ教育が保育園で日々行われています。
保育士は全員本当に子ども想いで、アイデアに溢れ、子どもたちが安心して過ごせる場を提供しています。保育士先生の日々の前向きな努力が子どもたちに伝わり温かい場所を作り出しています。

これから山形県鶴岡市は、寒い厳しい冬を迎えます。冬型低気圧によって週に3日も台風並みの風と雪が飛ぶ日もありますが、逞しく元気な子どもたちは冬も健在です。

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