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社長に聞いてみた!!ダイバーシティって何だろう?

* * * 以降は、社内向けに発信された記事の転載です  * * *

2021年10月から続いてきた経営層によるダイバーシティメッセージ。
今回は代表取締役社長 小川恭範さんにQ&A形式で語っていただきます。

インタビュアーの公募に応じてくれたP生産管理・調達部 淺川 愛衣さんが、
小川さんに、ざっくばらんに質問を投げかけてみました。

小川さん、よろしくお願いいたします!

P生産管理・調達部 淺川 愛衣さん。大学時代、ダイバーシティについて学んでいたこともあり、 「エプソンのダイバーシティに興味があった」と語る


ポイントは二つありまして、一つ目は一人ひとりの意識改革です。
かつての日本では、「男は男らしく、力強く」、「女は女らしく、しとやかに」、あるいは、「男性は仕事」「女性は子育て」といった考え方が社会的・文化的に作られていました。その考え方が長年にわたって形成されたこともあり、仕事と家庭の役割分担を<性別>で見る固定観念が知らず知らずのうちに刷り込まれていると感じます。

また、リーダーはこうあるべきという像を作ってしまっていて、その像に合う人しかリーダーになれない、女性はそれにハマらないとされてしまったのではないかと。

本来、リーダーシップの形はさまざまです。力で集団をけん引するリーダー像もあれば、部下の能力を引き出しサポートするリーダー像もあります。私が社長就任以来言い続けている「自由闊達で風通しの良いコミュニケーション環境」の実現を目指すためには、後者の要素を持ったリーダーを増やすことが必要ですし、そこに性別は関係ありません。

役割分業の考え方やリーダー像に「無意識のバイアス」があることを自覚し、もしかしたら今まではリーダー、あるいは課長の選択肢になかった人を推薦してみるとか、もう少し頑張ればできそうだ、ということを、管理職の皆さんが考えて、推薦された人も考える。加えて、ダイバーシティを高めていきたいという経営層の強い意志も必要です。だからこそ、これまで経営層によるダイバーシティメッセージを発信し続けてきました。経営陣の本気を見せ続けることで、従業員一人ひとりの意識が変わっていくと思います。

ただし、意識改革はじわじわやっているだけではいつになるか分からないので、ある程度目標値を決めてやっていくことが必要です。女性管理職比率等の目標値は目的ではなく、ジェンダーギャップ解消のための手段の一つだということです。


インタビューの冒頭、「緊張する必要はないよ」と優しく語りかけた上で、質問に答える小川さん。

二つ目は、性別関係なく活躍できる人事制度を整えていくことです。そうすることで、人の意識が変わっていく側面もあると考えています。

実際、社長就任後、ダイバーシティ推進の加速を目的に、シニアスタッフ(主任~係長級)のエントリー制度を見直しました。育児や介護などを抱えた社員にとっては、就業時間外での論文執筆や筆記試験を受けることは非常にハードルの高いものでした。そこで論文執筆を人材育成の機会と位置づけ、論文執筆・筆記試験を就業時間内で実施するなど、挑戦しやすい環境へと変えてきています。

シニアスタッフ昇格機会の創出や挑戦に向けた制度改定以外にも、働きかたの多様性を制度面で下支えする必要があります。労働組合と協議を重ねながら在宅勤務の実施場所の拡大、時間単位年休の導入などを進めています。

働きかたの自由度が増すことは、一人ひとりの自己管理に委ねる領域が増えることになります。これまで以上にテレワークにおける従業員の安全衛生を確保した上で、もっと働きかたの自由度を高めても良いと思いますね。そうなってくると「さぼるのではないか」という話が出てきます。でも、そういうのは嫌ですよね。会社から疑われる関係性から、一人ひとりが「自己管理できます」と言えるようになるまで、すべて信頼関係に基づく多様な働きかたが実現できている状態が理想ですね。

できるだけ働きやすい環境を作っていくと、それは女性だけではなくて、介護が必要な人や、男性ももっと働きやすくなる。そのためにも「家事をするのは女性、子育ても女性」という、昔あった概念を変えていかないといけないと。だからこそ男性育休を推奨し、そうすることで意識も変わっていくということだと思います。

2022年4月入社の淺川さん。


制度はあります。人材育成を目的に、海外メンバーを日本に受け入れています。逆に、日本から海外にトレーニーとして赴任してもらう制度もあります。人材を相互派遣し、人材交流を通じて、組織・個人の活性化につなげています。

コロナの影響もあり、海外から受け入れるメンバーの数は減っていますが、海外のメンバーと日本のメンバーが交流し、一緒に仕事することの重要性は変わっていません。文化や考え方の違いから、お互いに刺激を受けることは必ずあると思いますね。

エプソンとしてどのような状態になればダイバーシティが実現できたといえるのか、気になっていると淺川さん。


多様性(ダイバーシティ)の尊重はすごく難しいです。多様な行動はすべて良いのかといった時に、そうではなく、どこかで線引きが必要だからです。仮に、仕事をせずに遊んでいる人や全く会話しない人がいた場合、そのような人も認めないといけないのか。私たちはチームで仕事をして、労働の対価(報酬)を頂いている以上、そういうわけにはいかないですよね。目的や目標達成に向けて自律的な行動は必要です。

その上で、多様な価値観や考えが自然に受け入れられる組織風土でありたいですね。少なくとも「管理職はこうあるべき」「担当者はこういうものだ」「自分と同じでなければならない」といったように、特定の価値観を一方的に人に押し付けることはダイバーシティとはいえないです。自身の考えを押し付けるのではなく、異なった考えを含めて互いに尊重すること、さまざま人が多様な働きかたや価値観のもとで自然に仕事ができている状態が理想ですね。いずれ男女半々だろうが、女性が多かろうが男性が多かろうが、それすら気にならない状態にしたいと思います。

多様な価値観や考えを認めましょう、という意味では、その考え自体を否定する人もいるのですよ。けれども、ダイバーシティを否定する人、嫌いな人もダイバーシティの一員なのですね。もしかしたらそこには矛盾があるのかもしれません。それでも、ダイバーシティは強力に推し進めていきたい、というのが私の意志です。

ダイバーシティが嫌いな人もいる、との小川さんの発言に、思わず「すごくびっくりしました!」と返す淺川さん。


理想の状態を一言で表すのは難しいけれど、少なくとも今よりはかなりいろいろな人がいて、いろいろな人が活躍できている。そんな状態かなっていう気がしますね。自由闊達な組織風土をベースに、互いに尊重し、組織の力を強めていきたいです。

「エクイティ」という言葉がありますが、活躍したいと思う人が活躍できていることがもう一つのすごく大事なことかなと。例えば、介護や子育てで時間がないとか、職場に来る時間がないけれども、「働きたい!」という意思がある人や、活躍できる可能性のある人にどうやって活躍してもらうか。そのためのシステムができている状態が理想です。

そのほか、雇用や給与形態、女性への支援などを含めて、ダイバーシティ推進の阻害要因があれば、皆さんと議論しながら制度を柔軟に変えていきたいと考えています。


社長へのインタビューということで最初はものすごく緊張しましたが、対面してみるととても話しやすかったです。
このような機会はなかなかないと思うので、非常に良い経験をさせていただきました。

胸をつかれたことが二つありまして、一つ目はダイバーシティが「正しいか正しくないか」とは別に、「好きか嫌いか」もあるのだなって。今まで「正しさ」を基準に考えていたので、ダイバーシティが「嫌いだ、やりたくない」という人に対しても向き合わなければならないと感じました。

 二つ目は、「ダイバーシティ」という単語自体が一つのバイアスになってしまっているのではないかと思いました。ダイバーシティの推進は難しいですね。

これからもダイバーシティについて考えていきます!

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