地域はワーケーションをどう生かしていくか?
こんにちは!えぽっくの若松です。今年も残すところあと一ヵ月ですね!
さて今回の記事は、僕たちのような地方創生や地域関係の仕事の間で近年トレンドになっている、【ワーケーション】についてです!
ワーケーションとは、「ワーク」(働く)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語で、近年ではワーケーションツアーなども出始めて、全国的に話題になっていますよね。
昨年、企業のサテライトオフィスやコワーキングスペースの整備への補助として、関連事業に国から予算がつきました。また、地方ではキャンプ場の整備なども増えていて、ワーケーションも視野に入れた事業や環境整備が拡大しつつあるのを感じています。
実は一年以上前から、「ワーケーションはコーディネーターが関わる余地がある」、という話がコーディネーター界隈で囁かれていたのですが、理由はなんだと思いますか??
…という投げかけを皮切りに(笑)、僕がワーケーションに関して感じていることを綴っていきたいと思います!
■「ワーケーション」の「ワー」がない?
働き方の多様化は今になってはじまったことではありませんが、ワーケーションはまだまだ新しいため、まさに発展途上のような働き方であると感じています。ワーケーションツアーの存在も最近よく耳にしますが、おそらく皆さん、試行錯誤で企画されていることと思います。
僕は最近、ある一泊二日のワーケーションツアーの工程を目にする機会がありました。約27時間の行程で、そのほとんどの時間はさまざまな観光地を巡るというものでした。「ワーク」の時間として予めスケジュールされていたのは、シェアオフィスや会議室でもない場所(コンセントやwifiも怪しそうな場所(笑))で、時間はわずか2時間。言い換えれば、“自由時間が2時間ある観光地でのバスツアー” という印象でした 。
僕は基本的に、仕事は缶詰になったほうが捗るものだと思っていますので、この工程だと個人的には少し短く、仕事環境も気になってしまいました(笑)。
ワークの要素が弱くバケーション色が強い…ワーケーションなのに、「ワー」がほぼない…(笑)。もちろん、このようなツアーばかりではないと思いますが、バケーションを重視しがちなのが現状なのだろうと思いました。ワークとバケーションのバランスが上手くとれないと、これではただの観光誘致になってしまいます。
ここに、「コーディネーターが関わる余地がある」、といわれる一番の理由があります。行政や観光事業をされている方々だけでは、地域で行われるワーケーションの「ワーク」の部分を上手く定義できない場合があるからです。観光を楽しんでいただくのであれば、従来通り観光に特化したツアーを組めば良いのですが、「ワーク」を絡めて「ワーケーション」として取り組む以上、そういうわけにもいきません。
地方でワーケーションに取り組む場合、その目的がどこにあるかで、ワーケーションの捉え方は変わると思います。
■ワーケーションがマッチしそうな人物像を想像してみる
たとえばワーケーションで人を誘致する最終的な目的が、定住人口や関係人口を増やすことであるならば、アプローチする対象は、将来的に地域での活動に能動的に関わってくれそうな人、と捉えることができ、この人たちにワーケーションに参加していただくのが理想です。(これは、以前に書いた関係人口の記事もご参照ください。)
ここで、地域に関わって何かしたい、と考えているシステムエンジニアがいるとしましょう。地域の方と繋がって本業であるシステム開発で貢献したい、と思っています。しかし土地勘がない、知り合いもいない、どのような需要があるかわからない。このような人は「将来的に地域での活動に能動的に関わってくれそうな人(=関係人口)」となるわけですが…
この人にオススメなのは、観光地推しのツアーでしょうか?
この場合、観光名所を回るツアーを組むことに重きを置くよりも、たとえば、地域を盛り上げようと奮闘されている現地の方々と直接交流する時間を設ける、あるいは地域課題についてディスカッションできる場を設けるなど、地域性に特化し、人と人とを繋げるコンテンツがあったほうがいいでしょう。システムエンジニアを例にしていますが、システムのことでお困りの企業さんと繋げてあげるのも良いかもしれません。
もちろんこれは想像の話ですが、このような方とワーケーションのマッチングはきっと良いはずです。具体的に地域の課題を一緒に解決してくれそうな人をペルソナとしてまず設定して、その上でツアーを組んだほうが、より充実したものになる可能性があります。
そもそも、ただ観光で訪れるのであれば、わざわざワーケーションツアーには参加しないと思うのです。たまたま行きたいところがワーケーションツアーのプログラムの中に組み込まれていれば話は別ですが、利用者にとっては「このワーケーションに参加してみよう」と思うだけの理由がなければ来ないはずです。
このように、利用者が「ワーク」の部分をどう捉えて参加するのか、具体的な可視化がまだまだ足りていないように思います。ゆえに、どうしても「バケーションづくり」になってしまいがち…。
企画するからには人を誘致しなければならないでしょうから、どうしてもバケーション色を出さざるを得なくなる、というのも理解はできます。しかし、ワークだけでもなく、バケーションだけでもない、ワーケーションをもっと多面的に捉えて、どういった人がワーケーションを利用するのか?と、ワーケーションがマッチしそうな人物像を想像し可視化できると、「ワー」の部分がなくなる、ということは起こりにくくなると思います。
ワーケーションがマッチしそうな人物像といえば先日、東京で働いている知り合いが、こんなお話をしていました。
その方は毎月、週末に地域の知り合いのところへ行って農作業などを手伝っていましたが、「もっと週末を充実させたいし、それならいっそ移住しよう」と、東京での仕事を辞めて地方の企業へ転職し、移住することになったそうです。
これは、自分がやりたいことのために転職までして移住するという稀な実例なのですが、「その地域でしたいことがあるから、仕事を持って来てでもその地域を訪れたい」、という意味では、これに近いことがワーケーションで実現できるのではないかと思います。
たとえば、農業をやってみたいけれど、今の仕事を辞めていきなり農業にシフトするには、経済面で不安がある。だから休日を利用して農業を手伝ってみたい、という方にとっては、「地域に赴いて農業をする時間」を、できるだけ捻出したいはずです。
都心のオフィスにいたら休憩時間に農作業はできませんが、ワーケーションという形で地域を訪れ、仕事をしながら空いた時間に農作業ができるとしたら、利用者も農家さんにとってもお互いに良い時間になると思います。
ワーケーションに限らず、副業やインターンなどでも言えることですが、さまざまパターンでのアプローチがあって然りだと思います。また冒頭でも書いたとおり、まさに今、発展途上の働き方ですので、まだまだ考える余地があり、試行錯誤の果てに伸びしろもあると思います。
今回は地域でワーケーションを考える上での一例を僕なりに述べてきましたが、地域毎に課題や考え方も異なります。そのため、ワーケーションに対する価値観も当然異なると思いますが、ワーケーションの目的と「ワーク」の部分をどう捉えるかが、ワーケーションの展開に大きく影響すると思います。
地域をどうしていきたいのか。あるいは地域で何をしたいのか。この軸を大切にしながら、ワーケーションに上手く落とし込めるように、コーディネーターが導いていくのが良いのかもしれませんね。
僕自身、ワーケーションについてはまだまだわからないことも多いので、また何か気づいたことがあれば、シェアしていきたいと思います!
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