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わかりにくい仕事、だからこそ#1



 えぽっく代表の若松です!

 11月も後半になりましたね。えぽっくの近況といえば、毎年夏からはじまる『取材型インターン “ひきだし”』の冊子制作が佳境を迎えています。


 12月20日にオンラインで報告会を開きますので、就職や就活、そもそも働くって何…?など、“働く” を考えてみたい学生のご参加をお待ちしております!


 詳細はこちらからどうぞ!



 えぽっくでは、上記のような取材型インターンを実施したり、副業・兼業のコーディネート、地域おこし協力隊のサポートなど、“働く” に深く関わる仕事をしています。


 『えぽっくという会社がどんなことをしている会社なのか?』を説明するとき、『 “働く” をアップデートする』という表現を用いたりすることもあります。しかし、言葉を尽くしても、とてもわかりづらい会社・仕事に分類されるだろうな…という自覚はあります(笑)

 例えるなら、〇〇屋さんの店長、美容師、医師、…など、日常生活で利用する、あるいは接する機会のある職業は非常にわかりやすく、人に認知されます。言い換えるなら、即物的なサービスの授受(物を購入する、髪を切ってもらう、治療してもらう…など)であればあるほど、わかりやすいものです。

 しかし、目に見える成果物として現れにくい仕事や、人の目には見えないところに作用する仕事などは、なかなか人に伝えるのが難しい面があります(広い意味ではどんな仕事にも、目に見えない側面や気づかれない側面は、当然あるものですが)。

 さらに、どんな経営者もそうですが、事業として展開している以上、そこには必ず想いや理念があるわけで、例外なく僕にもあります。

 一見すると伝わりにくい、わかりにくい仕事だからこそ、実際に実務として取り組んでいること…だけでなく、その根底にある理念や想い、叶えていきたいこと、思い描く未来などを伝えていけるよう、一人の人間として僕が普段考えていることや、えぽっくの代表として想うことなどを、これから多面的に発信していこうと思います。




■改めまして、簡単に自己紹介を


 株式会社えぽっくは、茨城県日立市にある会社です。


 僕は日立市出身で、東京で就職しましたが、地域おこし協力隊という制度を通して、茨城にUターンで戻ってきました。このような経緯もあって、地域おこし協力隊のサポートをしています。先ほども書きましたが、このほか大学生のインターン、社会人の副業支援などもしています。

 僕はもともと、『外部人材をどう活用するか?』みたいなところに、とても興味がありました。

 『関係人口』のような言葉が、今では世間的にも知られるようになってきていると思いますが、僕が茨城に戻った2014年頃は、このような言葉は今ほど知られていませんでした。

ちなみに、

 『関係人口』とは、移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。

 地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、『関係人口』と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。

(総務省HPより)


 当時はまだ、『地域に定住する人口を増やすことが目下の目標!』という感じで、どちらかというと定住人口のほうに重きを置く印象が強く、また地域の企業からすると、『活用できる人材というのは、週5日、一日8時間働ける人』というように、漠然とこれまでの一般的な慣習に沿っている感じもあって、人材そのものを限定してしまっている印象があります。


 僕の考えはそうではなくて、地域の外側という異なる文化の中でお仕事をされてきたり、いろいろと学ばれてきた方(=外部人材)が、たとえフルタイムでの勤務のような、従来通りの働き方でなくても地域と関わりを持てたり、活躍できる、貢献できる場をつくりたいと考えています。


 外部人材を活用することで、企業の中で何か新しいことに取り組むきっかけ… “起爆剤” のように、最初の一歩を踏み出せるきっかけになれたらいいなという想いで、新しい “働く” を生み出すコーディネート業をしています。

 このように考えるようになったのは、前職での経験も大きく関わっています。

 僕は前職で、地域の中で6次産業化といわれる取り組みをサポートする会社に勤めていました。具体的に何をしていたかというと、地域の農産物で特産品を作ったり、観光と農業を組み合わせて新しいサービスを作ったりと、地域に既にある資源を活用して新たな価値を生み出す、ということをしていました。

 勤めていた当時は、東京の会社にいながら北海道や島根県など、さまざまな地方都市とコンサルティングのような形で関わっていました。関わっている中で、地域の先々の未来を考えたとき、現地の方たちが主力となって自立自走できるようになるのがいいなと、もともと持っていた想いがより強くなっていきました。


 ただ、地域の方たちだけで取り組んでいくのは、とても難しいのです。

 何か新しい変化、価値を生み出すときには、誰かに頼んでしまえば仕組みからモノまで全部つくってもらうのは簡単かもしれませんが、そうではなくて、必要な場面で誰かの力を借りながら一緒につくり、現地の方たちが継続的に取り組んでいけるようにしたい。自分たちだけではできないことを、外部の方からのノウハウを引き継ぎながら、現地でできるようになる(自立自走できるようにする)のが一番の理想だと思っています。

 そういった新しい変化、新しい価値を生み出すために、反応を促進させる触媒のような役割で、外部の方が関わっていけるよう、サポートしていきたいと思っています。

 ここまでに書いたことがすでにわかりにくいかもしれないので(…笑)、この外部人材が関わることによって引き起こされる化学変化のような話を、具体事例としてご紹介してみます。


■何がきっかけになるかわからない。だからこそ、面白い。




 改めて、先ほどから “外部人材” という言葉を使っていますが、外部というからには内と外があるわけで、『どこで分けるのか?』という定義もさまざまかと思います。よくあるのは、『社内の人材か、社外の人材か』という分け方ですが、ここでは “外部人材=今までにない人材” という表現をするほうが、イメージに近いかもしれません。


 “今までにない人材” なので、企業側からすると、『どのように活用したら良いのかわからない…』ということも少なくありません。社員、アルバイトの雇用はあっても、副業やリモートワーカーなどのような外部人材を活用できる体制は、それほど整っていない…そんな企業はまだまだ多いのかなと思います。


 このように、外部人材をどのように活用したら良いのかわからない企業の場合には、外部人材を活用するためのノウハウを身に着ける必要があります。現地で、自分たちでできるようになる(自立自走できるようにする)ための、ある意味で訓練のようなもので、シンプルにまずは “今までにない人材” を活用することに挑戦してみる。こういったケースで、たとえば、インターンの受け入れをサポートすることがあります。


 ある食品加工工場に、大学生にインターンで関わってもらったときのことです。

 この会社では、『日本の伝統文化を海外に発信していきたい』という社長の想いがあり、そのサポートとして、日本の伝統的な食事と、それを海外に伝えていくことに興味がある大学生に、インターンとして参加してもらいました。

 どんな会社にも、学歴や職歴だけでもさまざまな方がいると思います。この会社も例外ではありませんが、たとえば学歴であれば高卒で働かれている方たちが比較的多かったりするので、自分たちの仕事に大学生が興味を持ってくれて、且つ仕事をしに来る(インターンでやって来る)とは、思ってもみなかったのです。

 大学生のインターンというのは、アルバイトと違って給料をもらっていないこともあります。自分がやりたいことと照らし合わせ、『(金銭の報酬がなくても)やってみたいです!』という想いで取り組む学生も、少なくありません。

 たまたま茨城県に縁もゆかりもない大学生だったことも良かったのかもしれませんが、蓋を開けてみると、自分たちがこれまでやってきた仕事に関心を示し、やりがいを見出して取り組んでくれる大学生の姿が、現場の方の意識を変えるきっかけになりました。

 自分たちにとっては当たり前で、何とも思っていなかったことが、『実はすごいことだったんだ』と、自分の仕事や培ってきたことを認めていくきっかけになったのです。


 だんだんと自分たちの仕事に誇りを持てるようになり、『(大学生が頑張っているんだから自分たちも)頑張らなきゃいけない!』という気持ちが芽生えて、たとえば使いやすいように棚のレイアウトを変えてみる、というように、自ら業務に工夫を凝らすように変わっていきました。


 一見すると些細なことのように映るかもしれませんが、これはとても目には見えづらい、しかし少しずつ確実に起こった、大きな変化。このようにポジティブな変化を与えたのが、この場合は大学生インターンという ”外部人材” でした。

 このインターンでは、営業への同行や試食アンケートの実施、食べ方の提案など、営業のサポートを行ってはいましたが、だからといってたとえば、特定の商品が劇的に売れる、というような保証があるわけではありませんでした。

 しかし、職場の雰囲気や、そこで働く人々の意識への影響が、外部人材によってもたらされたのは間違いありません。即効性はありませんが、長期的に見るとこういった変化を垣間見ることはよくあります。

 ここで誤解してほしくないのは、大学生のインターンだからこのような変化が起こった、というわけではない、ということです。いつも、どんな企業でも、大学生インターンという外部人材が上手くいく、というわけではありません。もしかしたらどこかの企業が関わったほうが良いこともあるでしょうし、やってみないとわからないところも多分にあります。


 この事例では、『そもそも大学生が興味を持つような仕事だとは思っていなかった』、という、おそらくそこで働く人の “誰も気づいていなかったであろう大前提” を、大学生インターンという番狂わせな外部人材が壊せた結果、もたらされた変化である、といえると思います。


 このように、今までに関わったことのないような人との接点(触媒的要因)をつくることによって物事が好転する、ということは多々あります。本当に何がきっかけになるかは、わからないものです。

 僕たちは、そこに可能性があると信じて取り組んでいて、目に見えない部分であればあるほど、結果がすぐにはわからないことのほうが多いですが、それでもこうした変化に触れられるところが、この仕事のやりがいの一つでもあり、面白いところでもあります。


 こんなふうに、誰かの “働く” をアップデートする瞬間に、これからも出会っていきたい。

 わかりにくい仕事、だからこそ、少しずつこの仕事のやりがいも、伝えていけたらいいなと思います。




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