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ホームスクール 東北の旅・2 盛岡さんさ 秋田竿燈


「何にも用事は無いけれど、汽車に乗って大坂に行ってこようと思う」


私達の海外での旅の日々も、内田百閒の雰囲気に近い。行き当たりばったり、用もなく数ヶ月住んだり、まぁ自由気ままな旅である。

ところが日本でする旅はこうはいかない。いつも少し余裕が無い。理由は物価が高いから。正確に言えば、バックパッカーの様な安い旅をする「旅のインフラ」が日本では整っていない。旅のインフラとは「安宿・安飯・安移動」の3つである。この中でも安移動は最も難しい。鉄道の旅は「青春18きっぷ」の一択しかないし、ローカルバスはべらぼうに高い。必然、自動車での旅になる。もちろん高速は使わず、一般道をトロトロ走る。

旅の下準備も必要だ。行き当たりばったりの旅では、名所や安くて美味しい食堂がなかなか見つからない。この下準備の手間が、少し旅の余裕を削ぐのである。


そうは言っても、旅はやはり楽しい。


神奈川県を出発した私達3人(私・妻・息子)は、まずは栃木県佐野市に向かい昼食に「佐野ラーメン」を、そのまま鬼怒川や会津若松を北上し(福島県の話はまた別の旅で)、夕飯は福島県喜多方市で「喜多方ラーメン」を食す。神奈川には有名な「家系ラーメン」が百花乱舞しているが、歳をとった私には東北の魚の出汁でとったラーメンの方が胃に優しい。この日は山形県山形市の街中で宿を取る。

翌日、戦国大名の最上義光で有名な「霞城(山形城)」跡地を散歩。敷地内にある「郷土館」は明治時代の建築様式で元病院でもあり、なんと杉田玄白で有名なあの「解体新書」が保管されていた。最初「本当にホンモノ?」と疑ってしまったのだが、解体新書は版画であり日本各地の博物館に保管されているという。名声を求める杉田玄白と、訳本の正確さを求める愚直な前野良沢の軋轢を扱った書籍が出版されているそうで、今度読んでみたいし、息子にも読ませたい。

山形県 霞城
霞城内 郷土館


新庄市や横手市を抜けて、今日の拠点である秋田と盛岡のちょうど中間地点にある田沢湖のキャンプ場に着く。いつもならここでテントを張るのだが、8月は台風シーズンだし実際に台風が日本に近づいてきていたので、テントサイトではなくバンガローを選択。豪雨のテント泊は悲惨なので、夏に天気の読めない中長期のキャンプ旅をする場合は、バンガローなどの建造物をおすすめします。

田沢湖 縄文式バンガロー


バンガローにチェックイン後、岩手県盛岡市に向かい「さんさ踊り」を見る。

妻が青森県に縁があり、子供の頃から青森県弘前市のねぷた祭りを見て育ったので、ずっと東北三大祭りに行きたがっていた。なので初めての「東北三大祭り(青森ねぶた・秋田竿燈・仙台七夕)」。

私は盛岡のさんさ踊りが一番見たい祭りであった。そして盛岡の祭りの雰囲気はとてものんびりしていて県民の人柄の良さが滲み出ていた。今回の旅で初めて見た「盛岡さんさ」「青森ねぶた」「五所川原ねぷた」「仙台七夕」は、有名ながらも素朴で、集まった人々の人柄も良く、とても良かった。「秋田竿燈」だけはそうは感じなかったのだが、なぜだろう? 「秋田のえふりこぎ」と呼ばれる派手好きの県民性が私の性に合わなかったのだろうか。

秋田竿燈まつり


盛岡さんさ踊りは、「ミスさんさ」に選ばれた女性の踊りで、「サッコラー チョイワ ヤッセ~」のかけ声とともに祭りの先陣を切るのだが、他の祭りの「ミス〇〇」達の様なオープンカーで手を振っているだけのミスとは大違いで、ミスさんさは他の誰よりも踊りの練習を積んできたのが一目でわかるほど、踊りが洗練されている。

私は若い頃から、「〇〇娘」とか「〇〇48」とか女性が歌ったり踊ったりすることに全く興味が無かったのだが、徳島の阿波踊りやこの盛岡さんさ踊りで歌って踊る女性達の、その美しいこと美しいこと。もちろん男性陣もかっこいい。

盛岡さんさ踊りは、是非また見たいと思った。

息子もさんさがすっかり気に入って、さんさの手拭いをお土産に買って、しばらくは頭に巻き付けて過ごす様子だ。

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