気力が湧かなくなったオタクの話




オタクとして生きてきた


今までの記事でもちょろっと出す程度に話題にしてきたが、私はオタクだ。

「生まれながらの」というのは何か違うが、幼少期からアニメが大好きだ。
幼児はアニメが好き、それは人々の共通認識としてあると思う。逆に「アニメは子供(だけ)が見るもの」という認識の人もきっといる。とにもかくにも、多くの子供たちが何かしらのアニメ作品を通ってきているだろう。
もちろん幼き日の私もその一人だった。しかし年齢が上がっていくにつれ、アニメを見なくなる子の方がきっと多いのだと思う。
小学生も高学年ともなるともう「アニメ好きはオタク」というイメージで捉えられつつあった記憶がある。

私はずっとアニメが好きだ。私の感覚で言うなら「子供の頃から好きなものを、歳を重ねてもそのままずっと現在進行形で好きなだけ」なのである。

世の中のオタクたちもそんな感じなのかな? と考えてみたりするが、実際に語り合ってみたわけではないのでわからない。ある程度の年齢になってから突然こちら側の沼にハマったという人もきっといるだろうし。


ひたすら楽しんだ小中学生時代


幼少期からアニメ、漫画、ゲームにたくさん触れてきた。そんな生活がとても楽しかった。
漫画は少女漫画から少年漫画に範囲を広げ、少しずつ買い揃えて何度も繰り返し読んだ。うろ覚えだが、ポケモンのゲームは複数ソフトの累計プレーが4ケタ時間は確実にいっていた。早く学校から帰ってゲームをすることだけ考えていたほど、夢中になっていた。
アニメも毎週欠かさず見ているものがいくつもあった。
純粋にエネルギッシュに趣味を楽しむ小学生の頃の話だ。

中学生になっても、小学生時代の趣味のベースは変わらなかった。まだまだエネルギーはある。

高校生になってもまあそんな感じ。この頃に初めてBDレコーダーを導入したので、ここからアニメを録画する量がドカンと増えた。深夜アニメも含め手あたり次第手を付けてみることにして、2、30本くらいの番組を見ていた。
そしてゲームは別の有名RPG作品、テイルズオブシリーズにも触れるようになってドハマリした。高校時代に携帯ハード中心に何作かプレーした。


大学生時代 ~これが大人になるってこと?~


受験シーズンもありタイミングを逃してなんとなくポケモンの新作は買わなくなってしまったのだが、大学生になってから一応買ってプレーはしてみた。しかし2Dから3Dに変わった操作感にどうにも慣れず、結局ジムバッジ半分くらいまでしか進められず、未だにそれっきりそのままだ。進めようと思えばできただろうけれど、なんとなく気力が湧かなかった。
高校後半から大学生にかけて触れていたVITAのテイルズも、なんだかサクサク進められなくて未クリアのまま。リメイク前のDS作品の方が難しいらしいのにそっちはちゃんとクリア済み。

もう昔みたいに夢中になってゲームをすること、できないの?
そんな懸念がふっと湧いた瞬間だった。
しかしこの大学時代、全く別の新たなゲームをプレーして楽しむことはできた。
「ああ、まだゲームできるんだ、自分」と安堵した気持ちがあったことも覚えている。
しかし私がコンシューマーゲームをクリアするまで楽しむことができたのは、この時が最後なのであった。

このあとに、ずっと待ち望んでいたポケモンのルビサファリメイクが出たのでそれを2バージョンとも買ったのだが、確か殿堂入りまでできていない。これもずっと放置のままである。

なぜだ……?
小学生時代に一番夢中になったポケモンゲームであるルビサファ。ホウエン地方の冒険が一番好きだ。思い入れがある。中高生の頃の私は「リメイクいつ来るかな!」ってわくわくしていた。
そのはずなのに……?

最後にコンシューマーゲームをプレーしてからもうかれこれ10年近くが経過してしまいそうなのだが、家にあるゲーム機をもう社会人になってから一切触っていないのではないか?
未クリアのまま放置してしまったゲームが何本あるだろう。ポケモンだけでもHGSS、XY、ORASは完全なクリアはできていない。ガッツリやりこむほど遊んだのはBWが最後だった。(HGSSの方が時系列的には先だが、確かカントー地方の部分をプレーできていない記憶がある)

ゲーム機をずっと充電もせず遊ばないまま放置していると中のバッテリーが爆発する? みたいな話をSNSで見かけてヒエッ……とは思ったのだが、取り出しづらい場所にしまいこんでいたのを取り出す気力がなく、結局そのままなのだ……
もし爆発するなら私ごと飲み込んでくれ。などというのはまあ半分冗談だが(半分?)

コンシューマーゲームからすっかり離れてしまった私だが、大学生の後半から音ゲーにハマり、ゲーセンでアーケードゲームをプレーすることは格段に多くなった。
新しいことにハマるのがすごーく楽しかった時期だ。だいぶ活動的だった。
超インドア派の私が、誰かと遊ぶ約束以外で休日に出かけるなんて、音ゲーマーになるまでは考えられなかった。言語化するのが難しいが、それほどゲーセンの音ゲーには言い知れぬ”魔力”があった。
生活の変化や、かつてお世話になったゲーセンの閉店や筐体撤去なども相次ぎだいぶプレー頻度が落ちてしまい、かつてのような情熱は燃やせずにいるが、今でも好きだし細々とは続けている。

漫画の方はというと、高校生以降だんだんと読まなくなっていた。なんだかわからないが「漫画を読む」という行為に疲れるようになってしまったのだ。当時10代だし、そんな年齢でもない気はするのだが。
大学生の頃、アニメ化から大ヒットした作品にハマった時に久しぶりに漫画を買って読んでいたのだが、漫画の方は1年ちょっとしか追えていなかったと思う。近年最終回を迎えたとの事でちゃんと見届けたいなという気持ちはある。
しかし、小中学生の頃に夢中になっていた漫画の中で、きちんと最終回まで追えた作品の方が少ないことに気づいた。長期連載となるとよほどの大ファンでない限りこれも仕方ない気はする。

大学生になってもアニメは相変わらずたくさん見ていた。録画の容量がHDDを圧迫するようになり、早く消化することに追われてやや疲れている節もないとは言えなかったが。しかし時間のある学生だったのでなんとかやれていたしまあ楽しめていた。

社会人はつらいよ編

さて、社会人になったらどうだろう。
頻度こそ落ちたもののゲーセンでの音ゲーは続けていた。仕事がつらくて「仕事帰りにゲーセンに行って音ゲーができる、そんな日常が欲しい、ただそれだけなんだよ」と切なく思っていた記憶がある。通勤時間が長くてなかなかそれどころではなかったんだな。休日にプレーしている最中にも「明日は仕事なんだよな、と思うと滅入って楽しめない……」と思うこともあった。なんとも悲しい社会人である。

漫画読んだり、CSゲームやったりは全然しなくなったし、
2、30本と見ていたアニメもついに視聴本数がグーッと減った。時間がないから。これはもう物理的に仕方なかったのである。
しかしアニメ好き芸能人でかつての私かそれ以上の本数のアニメを見ていると語る人もいるが、売れっ子で忙しいだろうにどこからそんな時間が……!? と驚くばかりである。時間の使い方が上手くない凡人な私は、昔から見ていた長期シリーズ物のアニメ以外はバッサリ切り捨て、本数を絞った。

社会人になってから、大学時代にハマったアニメの続編が始まったのだが、ちゃんと消化できずに溜め込んだ録画を年末年始休暇中にやっとまとめて消化する、といった過ごし方をした思い出もある。
社会人って、つらいな……(そもそもの休日が少なかったのだが、私の時間の使い方が下手というのもある)

のちに私は退職して無職生活を経験するのだが、時間ができてもアニメの視聴本数が学生時代のように戻ることは無かった。かつてのようにたくさん見たい! という気持ちも特になかった。気になってはいるけど見れてないんだよなぁというアニメも色々あったし、今もあるけど結局見ていない。
「時間があるか」ではなく「気力があるか」なのだなぁと思い知る機会のひとつだった。


同人活動編

漫画、アニメ、ゲーム。それらに触れて沸き起こるパッション「二次創作したい!」
私には二次創作の趣味もあった。実に小学生の頃から。
ずっと憧れであった「実際に同人誌を出す」というオフの同人活動を始めたのは大学生の終わり頃、社会人になる数ヶ月前だ。

自分が日々狂っている推しへの妄想を形にすることは達成感があったし、こりゃあ中毒性があるぜ! やめらんねぇ!
社会人になったら時間なくてできないかも……という不安はあったが、実際に活動は続けることができていた。
出したい本のアイデアはいっぱいあった。遅筆なのでなかなか出せないが。

同人活動を始めてから1年に1冊は出すことを目標にしていて、それをクリアできていた。やがてコロナ禍になり現地イベントに行けなくなっても、オンラインイベントの登場により同人モチベは保たれた。
しかしその記録も止まりそうである。今年は本を出せていない。あと3ヶ月くらいで本を出せなければ1年に1冊記録はストップだ。

どうしたものかなぁ……と悩んでいる。そりゃあできることならせっかくの記録は止めたくはない。しかし行動に移しにくい理由はやる気が起きないこと以外にも、参加するイベントを定めにくいことがあった。今まで使っていた某オンラインイベントサイトは色々ゴタゴタしてもう難しそうだし……似たようなサービスの候補はあるようだけれど新しいことを覚えるための気力もあんまりない。これも歳を取ったからなのかな。
まあイベント参加にこだわらなくたって自分の好きなタイミングで本を出すのも普通にアリだ。それで見てもらえるのかどうか自信はないが……

今は一枚絵を描いたりSSを書くことすらかなりエネルギーを要する。なので「原稿なんてとんでもない、無理でーす!」と思ってしまうのが本音だ。
決して趣味が嫌いになった訳ではないのだ。
「楽しい!やめらんねぇ!もっと本出したい!」と、かつてあんなに夢中になってきたことに対し何故こんなにも億劫になってしまったのかわからないが、元々の私の本質は”怠惰”なのだから、なんら不自然ではないのかもしれない。加齢と共に気力体力が落ち始めただけに過ぎないのかもしれない。

社会人になりたての頃に仕事と両立しながら毎日コツコツと原稿して本を出したり、退職後しばらく無職生活をしていた時に自分史上最多の冊数の本を出したり、やがて時間はあるのに全然本を出せなくなっていったり……
休みの少ない会社員、時間のある無職、両方経験してわかったことがある。

「時間があっても体調が悪くなくても気力が起きなかったら何もできない」ということ。
最近の私はそんな状態が増えた。何かに没頭することも少なくなった。
どうすりゃいいのかわからないが、どうもしなくてもいいんだとは思う。そのうち何かやりたくなった時にやればいいんだし、くらいの気持ちでいればいいのだと。そう言い聞かせてはいるが、やはりかつての楽しめていた日々を思い返すと虚しく、切なくなることもある。出したい本のネタも、もう形にするのは難しいと思ってしまう。熱いうちに打てなかった鉄たち……ごめん。
20代で既にこれって、この先どうなっちゃうんだろう。何にも熱中できなくなってもっと無気力になっちゃうのかな……と正直不安である。
べつにそれでもいいはずなのに、楽しかった時を知ってしまっているから怖いのかな。
元々まったくの無趣味だったらこういう感情にならなかったのだろうか。 何の疑問も無く仕事だけして生きて、それが苦じゃない人もいるだろうし。
いっそ元から趣味が無ければ良かったのだろうかと悩んだこともあった。
働くことが苦で、趣味も楽しめなくなったら私に何が残る? 無趣味でオタクと呼べるものじゃなくなってしまっても、「オタクじゃない人間」には戻れないんだよな!!!

(時系列的に会社員→無職なので、会社員時代の方が若くて気力体力共にあったから活動できていたと考えられなくもない。時系列が逆だった場合どうなっていたかわからないが、「忙しくても気力があれば創作できる、時間があっても気力が無ければ何もできない。
”時間さえあればできる”など大間違い!」
が真理だと思う)

二次創作も何をかいていいかわからないな、と思うことが増えた。
大抵は「その時一番ハマっているジャンル」があってそのことばかり考えてしまうものなのだが、かつてのように熱狂的にジャンルにハマるということも少なくなってきたと感じる。
今でもアニメは見るし楽しいけれど、どうにも気力が湧かない。元々聴覚情報を拾うことが不得意な部分はあったかもしれないが、アニメやドラマなどの映像作品を視聴しても頭に入って来にくくなった。
学生時代から10年以上追い続けているアニメシリーズもついに放送が無くなってしまいロスを感じていたのだが、そこからちょっと力が抜けてしまった所もあるのかもしれない。

長いこと読まなくなっていた漫画はというと、近年主流にもなってきた電子書籍というスタイルが自分に合っていることに気づき読む機会が増えたのだが、面白い! と思ってハマったつもりでもその熱がかつてのように長期間続くことは滅多になくなってしまった。

では一次創作に挑戦するのはどうだろう? そう考えたこともある。
小説を少し書いてみたりはしたのだが、自分で一から考えるオリジナルというのはなかなかに難しい。「自キャラに萌える」ということも意外と難しい。自分が萌えられるようなキャラを生み出すというのがこんなに難しいのかと思い知った。
自分好みな設定や関係性でキャラとストーリーを考えていってるはずなのに、なかなか激萌えには至らない。
二次創作小説なら結構自萌えできるタイプなんだけれども……

今年、初めて長めの一次創作小説を書いた直後はハイになって次々とエピソードが浮かんできたりもしたのだが、上手くまとめる自信が無く結局そのままである。私の悪い癖なのだが「きちんと仕上げられないならやらない」になりがちだ。そうして日の目を見ないネタが二次創作でも数知れず……
いやいや、「出ない神本より出るクソ本」と言うじゃないか。粗削りでも不格好でも形にする方がすごいぞ!!と喝を入れたいところである。
この一次創作ネタをちゃんと書き起こして同人誌にしてみるというのもアリな気はしているのだが……
あるいは完全新作で短編集を作ってみるのもいいかなとか。

印刷にかけられる予算も今はあんまり無いし在庫を抱える不安からも解放されるし、DL形式の電子で出してみるのもいいかな、一次創作なら。
初めてだから調べないといけないけど。(DL販売サイト等のおすすめがあったらアドバイスくださると嬉しいです)

もし年内に何か出せたら自分を褒めたい。


【総括】

アラサーになって、同じような悩みを持つオタクはきっといることだろうと思う。
それでも人生は続いていく。趣味があろうとなかろうと、楽しかろうと楽しくなかろうと。
どうせ過ごすなら楽しい方がいいに決まっているが、わかっていてもそう思い通りにはいかないもの。

この記事で度々強調したのは、オタ活におけるインプット・アウトプット作業で共にカギとなるのは「気力」の有無。気力がいかに大事かということだ。
きっとオタ活に限った話ではない。
いくら時間があっても心が元気じゃなくて気力が無ければ、趣味はできない。逆に忙しくても気力さえあれば何かができる。
もっとも、ただでさえ加齢で衰えゆく心身で忙しくなったら、余力なんて残らないだろ……という不安が大きいが。

やる気を出すためにはどうしたらいいだろう。これ自体は老若男女が悩む問題かもしれない。
やる気を出さなくたってべつにいい。何もしなくたっていい。そう割り切るのもまた良き道かもしれない。

良い答えは見つからないが、私は「とりあえず辞めないで続けること。細々とでもいいから」のマインドで過ごしていこうかと思う。
一昨年から毎週イラストか小説を1作品を投稿するというチャレンジをしているのだが、それはなんとか続けていきたい。目指せ100週。

私含め、アラサーオタクの未来に幸あれ。

応援したいと思ってもらえたら、サポート頂けると励みになります。限界生活の糧にします。