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【ぐるっとパス2024で行ってみた 3】東京都庭園美術館/旧朝香宮邸を読み解くA to Z

以前から気になっていた「東京都庭園美術館」へ「ぐるっとパス」を利用して行ってきた。

いつもだったら終了間際の人気のある展覧会、それも土日には絶対行かないのだが、思い立ったのがこのタイミング。ある程度の混雑は我慢しよう。
チケット売り場にあった「年間パスポートは売り切れました」の表示。行ってみてわかった、近所に住んでいたら絶対、絶対買っていた
都の施設だけあって「年間パスポート」のお値段も6,000円。

東京都庭園美術館が開催する展覧会と庭園に、何度でもご入場いただけるパスポートを販売しております。ご本人だけでなく同伴の方1名様も無料でご入館が可能です。さらに、当館のミュージアムショップとレストラン、カフェの料金が5%引き(ご本人のみ・書籍を除く)になるという、とてもお得なパスポートです。

東京都庭園美術館

とてもじゃない、とてつもなくお得、破格の安さだと思う。

気持ちよく晴れ上がった美しい日
2024年5月11日(土)


「来客用化粧室」の上の階段
「次室(つぎのま)」にある「香水塔」

「香水塔」は、アンリ・ラパンがデザインした磁器製のオブジェ。上部の照明部分に香水を注ぎ、熱で香りをただよわせたエピソードから「香水塔」の名で呼ばれている。

東京都庭園美術館
「大客室」からの「香水塔」の眺め

「小客室」

壁紙かと思ったら、アンリ・ラパン(Henri Rapin)が描いた油彩画が4枚壁面に張られている。ラパンの名前も。アンリでH?と思ったら、ああ、フランス語だからね。

「第一応接室」の壁紙

第一応接室の壁紙は、竣工当時の壁紙の品番や近い色味のものが生産可能だった等の条件がそろい、1994(平成6)年に再現された。

東京都庭園美術館
「第一応接室」の壁紙だが、壁紙のふちにこんなふうに装飾がされている施工初めて見た!


「大客間」ルネ・ラリック(Rene Lalique)作 シャンデリア《ブカレスト》

シャンデリアの名前にルーマニアの首都名、ブカレストとつけたのは何故なんだろう。それとも首都名と関係ないのかしら?

「大客間」マックス・アングラン(Max Ingrand)作 エッチング・ガラス扉と、
その上部のタンパンと呼ばれる半円形の装飾 レイモンド・シュブ(Raymond Subes)デザイン


「大食堂」庭園を望む南向きの円形に張り出した窓


「大食堂」ルネ・ラリック(Rene Lalique)作 シャンデリア《パイナップルとザクロ》


「大広間」

格子状の天井に配された40個の照明。2つのアーチ型がマントルピースを挟んでシンメトリーの空間を構成。普段はカーペットで覆われている床がこの展覧会中マントルピース前の区間は床材の美しさを見てもらえるよう、四角く露わになっている。

ラジエーターのレジスターの模様が「青海波」。デザインに青海波を採用した理由が知りたい~。

この邸宅を建てるにあたって、殿下妃殿下はお二人の審美眼をいかんなく発揮したことだろう。それこそラジエーターのカバーのような細部に至るまで。日本にもこんなに素敵な意匠がある、と確たる矜持をもって「青海波」を採用したのではないだろうか。


「合いの間」床も美しい。


「書斎」隅の飾り棚や柱の配置等で、正方形の部屋を円形に見せている。天井はドーム型の白漆喰。
アンリ・ラパン(Henri Rapin)デザインのデスク、椅子、絨毯。デスクは台座のレールが回転する構造で、向きを自由に変えられる。


「ベランダ」

建物の南面に位置し、大きな窓から庭園の緑を望むことができるベランダ。シャープで端正な照明に、純白の壁、国産大理石を使用した市松模様の床。殿下と妃殿下の部屋のみから行き来が可能だった。

東京都庭園美術館
「ベランダ」から庭の眺め。(消火器の存在が悲しい。)


「妃殿下寝室」允子妃殿下デザインのラジエーターレジスター(換気口)がある壁面。(画は東京都庭園美術館フライヤーから)
「妃殿下居間」壁面の上の方にあるラジエーターレジスター。
「妃殿下居間」壁面の下の方にあるラジエーターレジスター。
「アネモネ」朝香宮鳩彦王妃允子(あさかのみや やすひこ おうひ のぶこ)1924年


「第一浴室」この写真では分かりづらいが、
第一浴室はベランダに面している。窓が開いている先に、庭の緑が垣間見える。なんと贅沢な空間だったのだろう。こんな浴室なら私だったら毎日、朝風呂だわ。


「殿下寝室」床


「北の間」床

床一面に敷き詰められた涼しげな色彩のタイルは、京都の泰山製陶所(たいざんせいとうしょ)で製造された布目(ぬのめ)タイルと呼ばれる建築用装飾タイルの一つ。その美しさから美術タイルとも言われる。布目タイルで屋外のような開放的な雰囲気を演出したこの部屋は、夏を涼しく過ごす空間として設計された。

東京都庭園美術館


「妃殿下居間」

もっとキラキラしたものを紹介すべきところなのだろうが、棚がデッドスペースに「シンデレラフィット」!。この棚の作りの見事さというか、合板じゃなくて傷のつき方や使い込まれた木材の艶からみて無垢材を使用しているんだろうな。叶うものなら、触って使ってみたい!

一枚ものの大きな鏡、実用的な造り付けの棚やデッドスペースを利用した収納等が造られ、自身の美学をつらぬいた允子妃殿下の視点がそこかしこで感じられる。

東京都庭園美術館
「妃殿下居間」の一枚ものの大きな鏡。
人がたくさん映り込んでいるが、この日はほんと私が普段いく展覧会より人出が多かった。


「姫宮寝室」造り付け収納の扉には、短冊や色紙を飾るための浅いくぼみがある。お気に入りの詩をディスプレイし、インテリアとして楽しまれたらしい。
「姫宮居間」円形の鏡。マントルピースは紅霰(べにあられ)というサーモンピンクに近い色味の大理石。その内側には紫がかった濃いピンク色の布目(ぬのめ)タイルを飾っている。
「姫宮居間」愛らしい天井の透かし模様や花が咲いたような照明デザイン


3階「ウインターガーデン」(画は東京都庭園美術館フライヤーから)
「ウインターガーデン」からの庭の眺め
「ウインターガーデン」黒と白の市松模様が美しい。


「小食堂」床の間。この部屋は和のテイスト
「小食堂」杉を使用した天井。
「小食堂」からの庭園の眺め
「小食堂」ラジエーターレジスターのデザインは源氏香図(げんじこうのず)。源氏物語の巻名から取った日本古来の幾何学文様。

「源氏香図」を見て、徳川美術館に行った際に購入した「雲母唐長(きらからちょう)文様レターブック」の中の「松寿好 源氏香(しょうじゅごのみ げんじこう)」を思い出した。

同じパターンで色違い。左が「花散里」で右が「須磨」じゃないかしら。


それぞれの部屋に、キーワードとその解説が書かれたカードが置かれていて、それらを集めると最後に新館のギャラリー1で、
こんなふうにまとめて一括りにできる。

わたしはこの展覧会を「ふらっとパス」を利用して行ったが、ここに行く前に既に「ふらっとパス」の購入代金2,500円を超える展覧会に行っていた。
展覧会そのものも素晴らしかっただけでなく、このように美しく楽しい気持ちになるお土産まであり、会期が終了していなかったら後1回は行きたかった。

今年は9月14日(土)~11月10日(日)に「建物公開2024」がある。この展覧会には前半、平日に、併設してあるレストランでのランチ付きで必ず行く!と固く心に誓った。

ぐるっとパス2024で行ったよ
1.郷さくら美術館 800円
2.ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 600円
3.泉屋博古館東京
4.五島美術館
5.東京都庭園美術館 1,400円

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