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3月3日、みゆきは小学校から家までの20分の道を、走り通した。嬉しくてはずんでしまうのと…
時計は約束した4時の5分前だった。やっぱり明美のことが気になってならない。 みゆきはボト…
2階の自分のへやにかけこんだ。淡いピンクのベッドカバーの上に身を投げる。窓ぎわの机とその…
ちらしずしの味がどうだったか、他に何を食べたのか思い出せないまま、 翌朝、みゆきはひと…
それからの1週間は、家でも学校でも悪夢のようだった。 みゆきのへやは、ママたちの寝室の隣…
その後の数週間は、天地がひっくり返るような目まぐるしさだった。 父も母も、それぞれの高校…
入学式の朝。トントントン、ふすまをノックする音。どうじに、ガタガタとふすま全体がゆれて、みゆきは目をさました。真っ暗だ。 ここはどこ? 最初に頭に浮かぶのは、このところ決まってそれだ。 首をまわすと、戸のすきまにひとすじ光が走っている。ああ、朝か、ここは〈さくらアパート〉の押し入れの中だった、とがっくりする。 パパとの2人暮らしが始まって数日目だ。 「入学式は9時だったね。遅刻するなよ。夕食は7時ごろかな、焼き肉に しよう。買い物はたのむ」 父のかすれ気味の低い声
何もかもが、ほんのひと月あまり前の、あの3月3日の大事件の日に つながってい…
「ほうら、大事なもの」 目の前で、カギがゆれていた。さっきのでっかい奴だ。みゆきはカギを…
昼すぎ、みゆきはさくらアパート101にかけこむと、内側からカギと チェーンを2重にかけ…
たぶん、エイがクラス1背が高く、重いだろう。そして1番声高く笑っているのが、栄子自身だっ…
お姉ちゃんは、今まで通り、好きな清美学園に通って、生徒会長の仕事と ブラスバンドと勉強…
駅の南口にリサイクルショップを見つけたのだと、父は土曜日の午後、 みゆきを連れ出した。…
自転車売り場にも、子ども用自転車からママチャリから、マウンテンバイクまで、いろいろある。父はここで念入りにタイヤやブレーキを調べ始めた。 その時、後ろから声が聞こえた。 「ここだ、ここだ、雅彦。こんどこそ盗まれないよう、目立たないのを 選べ」 やっと見つけて、ほっとしたような父親の声だ。さっきの男の子が、ふり むいたみゆきの目に、赤くなって照れているのが見えた。 「え? 知りあいか?」 声をひそめてたずねる父親に、息子の方も小さく答えている。 「1組でいっしょ