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遠藤良二の短編小説集

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短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
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2022年3月の記事一覧

白紙の紙

白紙の紙

#短編 #離婚届け #夜泣き #虐待

 俺は昨夜、我が子をたたいた。まだ、1歳に満たない女児を。子どもの名前は、松山心、0歳。今年の1月に産まれた。

 心は夜泣きが酷く、夜中に何度も泣く。だから睡眠不足。いらいらしている。なので、思わず掌で頭を軽くたたいた。すると心は泣き出し、もっとうるさくなった。アパートなので1階の住人にも迷惑。当然だが心は泣くのが近所迷惑など、思うわけがない。乳児だから

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【短編小説】病死

【短編小説】病死

 僕は今日もストレスの溜まる仕事をしている。この仕事は約二十年続けてきた。事務系。

 以前も胃腸の調子が悪く、検査をするために胃カメラを飲んだ。検査中、カメラが胃の壁に触れるたび、えづき、が起きる。このえづき、というのは「オエッ」となる現象。

 僕の担当医は胃カメラの操作が下手なのか頻繁にえづきに襲われた。結果はピロリ菌がいることが判明した。これは、抗生物質を飲んで菌を殺しましょう、と医師は言

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自死

 自死の別な言い方として「自殺」「自害」などがあると思う。昔の人が言うには、自死をすると地獄に落ちるという。迷信だろ、と僕は思う。
 
 僕の名前は霧島学、二十六歳。職業は小説家。家族は妻・純菜、二十八歳と娘の瑠衣、三歳の核家族。純菜は専業主婦。瑠衣は保育所に行っている。妻も働きたいと言っているが、僕が家を守って欲しいと言っているので、無職。

 先月、僕の親友の、高田岳、二十六歳が自死した。自死

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