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日記

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後ろ暗い日記のような何か
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人生何度目かの『きらきらひかる』を読んで

人生何度目かの『きらきらひかる』を読んで

 私は江國香織の『きらきらひかる』という本が大好きだ。
 人生のトップ3に入る(前にも書いたかもしれないけど)本で、なにかあった時、なんでもない時、本棚を眺めていてふと背表紙のタイトルが目に入った時。今、私は『きらきらひかる』を読んで、泣いている。
 本当に大好きなので、冗談抜きで10回以上読みなおしているはずなのに、それでもさっき泣いてしまった。

 江國香織の本は読み手の心情を反射してこちらに

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『HUNTER×HUNTER』を読んだ素人小説家の感想

『HUNTER×HUNTER』を読んだ素人小説家の感想

 昨晩、冨樫義博先生がTwitterを始められ(本物かどうかさまざまな憶測が飛んだが、村田雄介先生が答え合わせをしてくれたのでおそらく本物だろう。ということにしておく)、『HUNTER×HUNTER』が連載再開するのでは!? と浮き足立つファンがとても多い朝である。

 私は、『HUNTER×HUNTER』を去年読み終えたばかりなので、正直あまり感慨深さはない。しかし、古参のファンからしてみたら狂

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江國香織と私

江國香織と私

 江國香織と私の付き合いはもう本当に長い。
 中学の頃に出会って、それから事ある毎に読んできた。同じ本を何回も。
 出ている作品はたぶん殆ど読んでしまったし、本棚の1段だけ全て江國香織で埋まっている。
 私の人生で一等を決めるとしたら、『きらきらひかる』と『すいかの匂い』だと思う(おかしいことは分かってる。一等なのに2つなのは)。この2冊は何度も何度も読み返した。数年に1度、大抵心がおかしくなって

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識字障害だけど小説書いてます

識字障害だけど小説書いてます

 この前、カウンセラーに識字障害じゃない? と言われた。
 識字障害とはディスレクシアの別名で、字を読み書きすることに困難があるという障害だ。日本では難読症、読字障害、読み書き困難……とさまざまな名称で呼ばれている。その症例は、小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や伸ばし棒の「ー」が読めない、文字がにじんだりゆがんだりして読めない、など人によってめいめいに違う。
 私は、2文字以上のカタカナをうまく認識

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ピアスの話

ピアスの話

 私の耳にはピアスが7つほど開いている。
 左耳の軟骨に3つ、右耳の軟骨に1対(という表記で合っているのだろうか…)、両耳たぶに1つずつ。

 まず始めに耳たぶに開けた。高校を卒業した後の春休みだったと思う。友達と遊んだ際、駅ナカの雑貨店でピアッサーを買った。自分で開けるのは怖かったので、友達にその場で開けてもらった。トイレの前のベンチに座り、慣れない手つきで耳たぶを触る友達。パチン、というよりガ

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今年の話

今年の話

 あっという間に年の瀬だ。
 今年はたくさんのことがあった。年頭に体を壊し、半年以上の休職の末、先月付けで仕事を辞めた。元々疑っていた病気が改めてはっきりと認定され、手帳を取得した。三度の恋愛をし、三度の失恋をした。大好きなアーティストが薬物所持で捕まった。
 あんまりいいことなかったな、と毎年思って、来年はいい年になるといいな、と静かに願う、そんな年の瀬だ。今年もすっかりそんな風になってしまった

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リョナラーの苦悩

リョナラーの苦悩

 私はリョナラーだ。
 リョナとは、対象の痛がる姿や悲鳴などに性的興奮を覚える癖のことで、「猟奇的なシチュエーションでオナニーする」という行為に起因する。この単語は2003年頃にネット上で誕生し、リョナを好む者をリョナラーと呼んだ。しかし、一口にリョナラーといってもその種類は様々で、対象が泣いたり悲鳴を上げたりする様子だけで充分なリョナラーもいれば、四肢切断や内臓露出などのグロテスクな状態にならな

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平成の終わりに恋人ができた話

平成の終わりに恋人ができた話

 平成の終わりに、恋人ができた。
 

 Facebookに「もし良かったらやりとりしませんか?」というコメントが来ていた。所謂出会い厨だ。
 普段の私だったらスルーしていた。ネットでの出会いなんて言語道断、会った事もない人間と文面だけでやりとりするなんて…しかし、その時の私は妙に強気だった。いやただ無気力だっただけかもしれない。「いいですよ」、軽い気持ちでLINEを教えた。
 しばらくその人とぼ

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ピエール瀧が捕まって元カノが号泣した話

ピエール瀧が捕まって元カノが号泣した話

「本当に辛い」
 ある日の午後、彼女はそう言いながら泣いた。春先とはいえまだ寒さの残る3月上旬、外からの光をカーテンで遮断した部屋で、通話口から彼女の泣き声が洩れている。ピエール瀧が捕まって一晩あけた午後、電気グルーヴのファンである彼女と私はお互いを慰める為に通話をしていた。

 私と電気グルーヴとの出会いは、恋人である彼女が『富士山』を歌っていたところから始まる。当時高校生だった私たちは、カラオ

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