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短所7、長所3

中学の国語の教師が話していた事を、なぜか頭の片隅に置いている。

なんの授業をしていたかは、全く覚えていない。尾崎放哉なのか、古今和歌集なのか。そもそも、国語の授業中に、なぜこんな事を言ったのか。教え子相手に、調子に乗ってカッコつけちゃったのかな?

第一、国語は嫌いだった。活字は読みにくいし、シンプルに地味だったから。中学から高校までの6年間ノートを取らなかった。最後の方は意地でも取らないようにした。何度も怒られたので、取ったフリはしなければならなかった。僕は工夫して、ノートからルーズリーフに変えた。無感情で黒板を写し、授業終わりに紙飛行機に変体させた。おかげで紙飛行機を作るのは得意だ。紙に文字は書いているが、脳みそには入ってないから僕の勝ちだ。だって英語の方がかっこいいし。まあ、若気の至りだ。

授業態度の悪さが原因で、真ん中の列、一番前の席に移動させられた。恥ずかしい。みんなに見られてるみたいだ。目の前には教師。こんなのほぼ、マンツーマンじゃないか。口臭がキツい彼は、カバ顔の教師だった。



『長所と短所は表裏一体。長所である事は、同時に短所である』



すぐ怒鳴るタイプで、歩き方が偉そうな先生だった。だから一才信頼していなかった。名前すらもよく覚えていない。なのに、なぜかこの言葉が頭から離れない。15年以上覚えていると言う事は、定期的に考えさせられる内容だったのだろう。


今でも考える。

自分の長所かもしれない個性を見つけたら『同時に短所だ』と考え、調子に乗らないようにした。短所かもしれない個性を見つけたら『同時に長所でもある』と思い、救われた。

だから、僕に取って、いい言葉だったんだと思う。匂いのキツい良い言葉だったんだと思う。




今の僕の1番の短所は『なんでも喋ってしまう事』だと思う。

とにかく喋らないと気が済まない。我慢ができない。全て曝け出す事が青春だと思い込んでいる。だから、なんでも話してしまう。言ってはいけない事。言わなきゃ良かった事。言って後悔する事だらけ。確実に短所だ。

そして、それに比例し、非常に口が軽い。

相方の坂西が、真剣な顔で相談してくる事がたまにある。誰にも言えない事。秘密。悩み。その都度、真剣に受け答えし、後日ラジオとかで全部ぶちまけてしまう。

最近は、めっきり相談されなくなった。

僕は、相談に乗ってあげたい。そしてマウントを取りたい。僕の方が立場が上だと思わせてほしい。あれが堪らなく気持ち良いから。

なのに、相談してくれなくなった。

そして坂西が『遠藤は口が軽い』と告げ口をする所為で、誰からも相談されなくなった。

めちゃくちゃ、短所だと思う。


でも、同時に僕の長所は『なんでも喋ってしまう事』だとも思う。
とにかく喋らないと気が済まない。我慢ができない。だから、なんでも話してしまう。

だから、あまり忖度しない。と言うか、出来ない。

最近は、如実に現れている。

元々、迎合癖がある自分が嫌いだった。そんな性格を、微調整をしていたら、ある日、弾け飛び、忖度できなくなった。人に失礼で嫌な事を言えるようになった。だから、あまり嘘をつかない。

本当に長所か疑わしいが、僕は長所だと思っている。と言うか、そう言い聞かせている。



最近思うのは、長所を伸ばして、短所を補う事は正解なのかな?と。

これは多分、世間一般でいう『正解』なんだろうな、とは思う。

そりゃそうか。社会に馴染む事が『絶対的正解』で、人間性を出せば弾き出す。だから、個性を消せば、生きやすくて恥ずかしくなくて皆んなから愛されやすい、そんな世界なんだから。

みんな、自分の嫌いな所や人に嫌われるような部分は直したいし、人に褒められる事は伸ばしたい。だから『正解』なんだろうな、と。

補正したら上にあがれると思ってんだろうな。

そんな人たちに言いたい。自惚れんなよ、と。

優秀とされる人、人から羨ましがられる人、長所を持て囃されている人をよく見てみなさいよ。その人たちは、褒められ続けなければいけないから、長所を前面に売り出し、裏面の短所を必死に隠し続けているのよ。で、最終的にバレて問題とか事件とか起こすんだから。

その人たちが『本音です』とか言って喋ってんのを見ると『あ、この人、結局飾ってるな』って分かるじゃない。そんな人、信用しませんがな。

短所を隠さない方が良いって。面白いって。

綺麗なだけの世界に面白さなんてないって。



まあ、何が言いたいかって言うと

『人の短所を面白がれる世界の方が、面白いし、優しくないっすか?』

『短所7、長所3くらいの塩梅が良くないっすか?』

『そのバランスで手を打ちませんか?』


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