アリノママ

紆余曲折の和裁職人 結婚するまで和裁技能士として 着物を仕立てていました。 出産、育児…

アリノママ

紆余曲折の和裁職人 結婚するまで和裁技能士として 着物を仕立てていました。 出産、育児、子どもの手が離れ リサイクルショップで着物の買取査定をしていましたが、行く店行く店閉店して行くので、和裁技能士一本に。 主婦業×和裁職人時々ブログの生活を楽しんでいます。

最近の記事

着物ができるまで【その4】〜染め

お話の前に、知っておきたい“染め”のはじまりを紹介します。日本の染色の歴史は縄文時代に始まったとされています。「摺り染め」と呼ばれる手法で染色が行われていました。摺り染めは、植物や花、土などをそのまま繊維に摺り込んで染める作業でした。弥生文化が日本に入ってきたところから浸し染めの技法が伝わったとされ、奈良時代に入り「天平の三纈」という染色技術が大陸からもたらされます。三纈とは、﨟纈(ろうけち)、夾纈(きょうけち)、こう纈という三つの模様染めの総称を言います。﨟纈のろうは蝋から

    • 着物ができるまでその3

      図案のお話し【第3回】 今回は2週に渡って豪華ゲストのや万本遊幾先生と成願義夫先生をお招きして伺いました。いきなり図案とは…ではわかりにくいので、作家の先生にご依頼するというところからお話しは始まります。一般庶民からするとかなりハードルの高そうな“お誂え”ですが、ひと通りの着物が揃うと一枚は欲しくなる世界に一つだけの自分の着物を描いてもらうにはどうしたらいいのでしょう?先ずは作家さんとお会いして、色々なお話しをしながら自分の想いを伝え共有していきます。自分の世界観をお話しす

      • ​着物ができるまでその2

        繊維の種類と生地が織り上がるまで 前回と同じproject you禅のメンバーから下村正美さん西岡裕史さんや万本遊幾さん登喜蔵さんをお迎えして専門的なお話しを伺いました。着付け師の吉原幸子さんにはユーザー目線からの質問をお願いしました。一回目の復習として繭から取り出す座繰りとずり出しという方法で糸に撚りをかけていく作業があります 画像資料提供登喜蔵さん 撚糸の基本は右撚りがs左撚りをzとして双撚り•諸撚り(意味は同じ)撚糸を2工程にかける(2回目の撚りを逆方向にかける)

        • 着物ができるまで

          第一回お蚕さまの話 SNS からはじまったprojectYou禅のメンバーから、下村正美さん西岡裕史さんをお迎えしてお蚕さまの生態を教えていただきました。お蚕さまは卵から孵ると食べて寝て起きることを4回繰り返し、幼虫期を経て繭を作ります。これを四眠蚕(よんみんさん)と言います。三眠蚕(さんみんさん)のお蚕さまもおられ、小ぶりで細くしなやかな繭ができます。 その繭から取れた糸を一般的に生糸と言います。繭の命は1ヵ月半、およそ2700〜3000頭のお蚕さまの命をもらい、5㎏の

        着物ができるまで【その4】〜染め

          着物のお仕立て 既製品と誂えの違い

          海外縫製(ハイテクミシン)の着物が市場に出回るようになって 国内の手縫い仕立てとの値段の差は 歴然としていますが、 自分のお財布事情を考えると 安い海外縫製で我慢しておこうかなと思う 皆さまはたくさんいらっしゃるかもしれません。 そこで今日は、ミシン仕立てと手縫いとの違いについてお話します。 ハイテクミシン仕立てについて◯良いところ ・ある程度決まったサイズに 裁断された生地をミシンで縫うので、 一つひとつの工程が早いです。 ・ミシン縫製なのでしっかりしていて 多少乱

          着物のお仕立て 既製品と誂えの違い

          和裁士さんをお探しの皆さまへ

          最近はリサイクルショップで売られている 着物、反物が安価で手に入る時代。 呉服屋さんで反物からお選びになる場合は 呉服屋さんが全部やってくれますが 手持ちの反物を呉服屋さんに持ち込むのは 気が引けるという方もいらっしゃると お聞きしています。 そんな中、ファッションの多様化で 洋服と合わせて和モダンにしてみたりと 自由な選択肢もありますが 着物は着物のままに仕立てたい方もおられる訳で、どこへ持って行けば良いのかわからないと言う方に仕立て、直しを依頼するまでの流れをお伝えしよ

          和裁士さんをお探しの皆さまへ

          和裁士さん全員集合

          私が和裁に帰依してから3年間 Facebookで和裁相談広場という グループコミュニティを立ち上げ 知らないうちに700人超えのグループになっていました😅 元々の目標は、まわりを見渡すと 知り合いの和裁士さんはおらず 着物離れが進むばかりなのが不安で 横つながりになれる方を 探していくところからでした。 着物好きさんのお話を聞いていると お直しのできる人 お仕立てのできる人、探しているの❗ っと言った声はよく聞こえてきました。 ただ皆さん、どう見つけて良いのか わからな

          和裁士さん全員集合

          失敗を認める自分になる

          まだパート片手間に 仕立てをしていた時のこと。 小紋と長襦袢の反物を預かり 着物の寸法だけ付けてもらって 襦袢の寸法は自分で割り出しました。 着物、長襦袢を仕立て上げ納品して数ヶ月 お客さまから長襦袢の身幅が狭く 着にくいとの連絡がありました。 とても細い方だったので 加減しながら身幅を出して 再度納品時、身体のサイズに合うか 着ていただきました。 本人さまより 「うん、大丈夫みたい」と お返事をいただき帰ってきました。 そしてまた数日後、 やっぱりまだ着にくいとの連

          失敗を認める自分になる

          これから和裁をする人へ

          私は、Facebookで和裁相談広場という グループ管理者をしています。 メンバーさんの中には プロもいればアマもおり 和裁を習おうかな、または はじめたばかりの初心者さんもいる。 器用な人なら、独学で袷の着物まで 縫ってしまう人もいると思う。 自分の着物を自分で縫う人だけなら良いのですが わぁそれ、自分で縫ったの? いいね、お金払うから私にも縫って😀 って人も出てくるかもしれない訳で 誉めてもらえたことに気を良くして 縫ってあげるのは良いことだし 着物人口も増えるね🥰

          これから和裁をする人へ

          それぞれの選択

          最近SNS の個人メッセージに 相談がよく入る。 似たような進路相談が多い。 最初に和裁という時給ではない 仕事の説明を軽くしておきます。 和裁という職業は、自分の立ち位置を 自分で明確にしないと難しい。 分かりやすく会社にたとえるなら 正規雇用と非正規雇用者(パート、バイト)では 労働時間の違いと責任の度合いになるかと思います。 前者の方たちは、国家資格1級保持者で 自分の仕立てに誇りを持ち クオリティの高いお仕立てで 決められた日時までに納期を守り 忙しいときは徹

          それぞれの選択