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着物ができるまで

第一回お蚕さまの話

SNS からはじまったprojectYou禅のメンバーから、下村正美さん西岡裕史さんをお迎えしてお蚕さまの生態を教えていただきました。お蚕さまは卵から孵ると食べて寝て起きることを4回繰り返し、幼虫期を経て繭を作ります。これを四眠蚕(よんみんさん)と言います。三眠蚕(さんみんさん)のお蚕さまもおられ、小ぶりで細くしなやかな繭ができます。

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その繭から取れた糸を一般的に生糸と言います。繭の命は1ヵ月半、およそ2700〜3000頭のお蚕さまの命をもらい、5㎏の繭が取れます。そのお蚕さまたちは100㎏ある桑の葉を食べるのだとお聞きしました。蚕の飼育も色々あり、室内で飼うお蚕さんから家の外で飼う野蚕というお蚕さんは希少価値があります。繭からとれるお蚕さまの吐く糸は、1㎞から1.5㎞太さは3デニール、人間の髪の毛の30分の1の太さで長繊維です。3本の糸を繰り合わせたものを三中(さんなか)と言い、3中×7本、3中×9本のものを一綛(ひとかせ)として市場に出回ります。また、2工程以上の撚りをかけた糸を双糸(そうし)と言い、ニ子(ふたこ)三子(みこ)という糸の構成を表す表現がなされています。右撚りがs左撚りがzと言われてます。主にニ子は織物用に使用され、隙間に入りやすく、滑りにくく、緯糸が詰まりやすい性質なのに対して、三子はミシン糸などに使われます。上記で述べたように、生糸とは精練前の単糸、真綿、絹紡(けんぼう)など副蚕糸(ふくさんし)を除く蚕を原料として作られた糸の総称です。
中には間違えて仲良く二頭のお蚕様が作った繭をたま繭と言い、糸を繰り取る作業でできるフシが絹織物の風合いを良くすると言われています。中には不良の繭から出た糸の破片を微塵切りして、糊で固め堅紡糸として繊維にしたそうです。このようにお蚕さまの繭からクズ糸まで使用したお湯の中で死んでしまったお蚕さまも、粉にして余すことなく食したとお聞きしました。過去の歴史を紐解きながら、学んだ日本への養蚕技術が伝わったのは紀元前200年くらい稲作と一緒に中国からの移住者から伝えられたとしています。195年には百済から蚕種が、283年には養蚕と絹織物の技術が伝えられたということでした。太古の昔から根付いている養蚕業ですが、産業用に品種改良を繰り返し、吐糸能力に優れたお蚕さんの食べる餌も近年では桑の葉からペレットに取って代わっているのだとか。美しい絹織物に感銘しながらもまだ、欲深くお蚕さんへの負担を強いている人間のエゴを見ないふりしている自分がいます。そちらのお話しはまた別の機会にできればろ思います。お二人に語っていただいたお話しの一部で、解説できてない部分も多々ありますが絹を知っていただくきっかけになれば良いかな?と思います。着物に仕立て上がるまでのお話しは、始まったばかりなので次回は布になるまでのお話しを楽しみにこのページを閉じたいと思います。








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