着物のお仕立て　既製品と誂えの違い

海外縫製(ハイテクミシン)の着物が市場に出回るようになって
国内の手縫い仕立てとの値段の差は
歴然としていますが、
自分のお財布事情を考えると
安い海外縫製で我慢しておこうかなと思う
皆さまはたくさんいらっしゃるかもしれません。

そこで今日は、ミシン仕立てと手縫いとの違いについてお話します。

ハイテクミシン仕立てについて

◯良いところ

・ある程度決まったサイズに
裁断された生地をミシンで縫うので、
一つひとつの工程が早いです。

・ミシン縫製なのでしっかりしていて
多少乱暴な動きをしても
縫い糸が切れることはありません。

・ポリエステル系の素材で
出来ているものは洗濯が簡単です。
　
◯残念なところ

・決まったサイズで縫うので
細かい調整ができない。

・ミシン縫いなので、縫い直しのとき
解きにくい。
裁断縫製によってはお直しが
できないものもあります。

・しっかりミシンで縫い合わさっているので
どこかで引っかけた場合、糸は切れずに
布が裂けます

和裁士による誂えについて

◯良いところ

・自分の体型に合わせて
着やすいサイズに仕立ててもらえる

・反物の柄をよく理解して
美しい柄合わせに仕上げる努力をしてくれます。

・後々の事を考えてなるべく多く
生地を縫い代の中に残します。
身幅、身丈出し、裾の擦りきれ時の調整
どうしても取れないシミ汚れ等の対策

◯残念なところ

・手縫いのため、一枚仕立てるのに
ミシンより時間がかかります。

・身体に合わせて着やすさを追及して
仕立て上げるので、技術料金が高くなります。

ハイテクミシン縫製も
会社と国により様々です

上記の説明だけでは誤解を招く恐れが
ありますので海外縫製の内容を少し
付け加えさせていただきます。

ミシン仕立てだからと言って
全てがミシンと言う訳ではありません。
海外進出した会社により、
コストのかけ方も様々なようで
手縫いを中心に、縦縫いをミシン
別の箇所で手縫いを併用する形式を取られているそうです。

海外縫製は皆さん分業で
縫われているということと
その国ではきちんとした正当な報酬で
成り立っている事業ということです。
　
日本文化を下支えいただいている
海外の縫製会社の皆さまには
感謝したいと思います。
と同時に国内の着物産業に
関わりを持つ皆さまは
なかなかきびしい状況におかれています。

着物を着たくても
よくわからないと言う
着物ユーザー様には
たくさんの情報がある中
自分にふさわしいものを見つけて
身の丈に合わせた着物生活を
楽しんでいただけたらと思います。