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短編小説集(創作)

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#物語

雨>涙

「好きな人ができた。もう終わりにしよう」
 外の雨がうるさすぎて、電話の声がよく聞こえない。
 何を言ってるかはわかった。でも彼がどんな気持ちなのか、どんな声で、どんな息遣いで話しているのか、全然わからない。
 ただ、それを知ってどうなるわけでもない。どんな理由で、どんな気持ちでいたって、私が振られたことには変わりないんだ。
「うん。仕方ないね」
 物分かりのいいフリなんかじゃない。私は本当に物分

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見つけた才能

私「物語とか、書いてる?」
 突然そんなこと聞かれたのは初めて。
 何でもない合コン。人数合わせ。それなのに、こんな核心的なことを聞かれるなんてありうるのだろうか。
 隠すなら、一瞬で判断しなければならない。うろたえたり、迷ったりしたら隠していることがばれてしまう。
 ずっと誰にも言わず、書き続けてきた小説。彼はまるでそれを見透かすように、質問を投げかけてきた。
 ただ、予想はできた。私を見透かす

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朝に現れるキズ

朝起きて、いつものようにラジオを付ける。いつものパーソナリティ。明るい声で、テンション高く。――ありがたい。

2週間前、津村が会社を辞めたいと言ってきた。1年前に一緒に会社を立ち上げた共同経営者。会社はようやく僕たちの他にバイトを雇えるくらいになって、これから社員も雇いたいと考えていたところだった。

理由は、深く聞かなかった。僕も悪いし、津村にも悪いところはある。お互いにこんなに同じ時間を過ご

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