マガジンのカバー画像

🖌

24
おはなし
運営しているクリエイター

記事一覧

tutorial

下書きにあったすっかり忘れていた書きかけの話を発掘した。 ひどい台風の日、カーテンを閉め…

望乃奏汰
11か月前
4

添付:夜空.pdf

帰りの電車の中でネットニュースを見ていて今日は流星群の見頃だと知った。 でも外は雨が降っ…

望乃奏汰
4年前

鯨の椅子

この町に越してきてしばらく経つ。 海のそばに住みたいと思いこの町を選んだのだが、僕がこの…

望乃奏汰
4年前
3

crash cover

クラッシュカバーとは、交通機関の事故に遭遇した郵便物のことだ。 沈んだ船、落ちた飛行機、…

望乃奏汰
4年前
4

残像

職場のコピー機が古くなったので新しい機種のものを導入することになった。 しばらく古い機種…

望乃奏汰
4年前
1

submerge

窓際に巨大な水槽を置いている。 普段は水を入れていない。 むしゃくしゃしたことがあったとき…

望乃奏汰
4年前
4

シベリア

暗い部屋にテレビだけが点いていた。 画面には遠い外国の風景が映しだされている。 どこまでも続く永久凍土と針葉樹林。 「なんかさ」 僕の肩に頭を預けたまま彼女がぽつりと呟いた 「こういう場所、いくらでもテレビで見るでしょ。南の島のビーチとか、北極とか、中国の奥地の村とか、アンデスの集落とか、中東の寺院とか、鏡みたいな湖とか。そういう場所があることを私たちは知っているのにこの先一生そういう場所に行くことってないんだろうなって。きっとどこにも行けない。」 僕はそれをすぐに否定

フェイクファー

僕はぬいぐるみだが、素性を偽り社会生活をおこなっている。 ある日、昼休みに公園のベンチで…

望乃奏汰
4年前
5

山羊

コンビニで買った昼食のたまごサンドを食べながら封筒を開ける。 知らない遠くの町に住む知ら…

望乃奏汰
4年前
1

蜃気楼

花が盗まれた。 朝起きて水をやろうと表に出ると昨日まであったチューリップが全部なくなって…

望乃奏汰
4年前
4

かみさま

小さいころから私のそばには神様がいる。 私が勝手にそう呼んでいるだけなのだが。 神様は7歳…

望乃奏汰
4年前
2

水引

ビルの2階のコーヒーショップ、この時間の窓際の席はいつも空いている。 そこから行き交う車を…

望乃奏汰
4年前
4

地下鉄出口を出て、頬に冷たいものが当たった。 朝の天気予報ではこれから天気が崩れるらしい…

望乃奏汰
4年前
3

三題噺「空」「作家」「テープ」

3日後、空から隕石が落ちてきて世界が滅びるそうだ。 落ちてくる隕石が観測されたのは半年も前らしいが、なんでそんなギリギリになって発表するのだろうか。 朝の情報番組で流れていたなんかよくわからない偉い人の記者会見では混乱を避けるためだとかなんとか。 とにもかくにもあと3日後に僕は死ぬらしい。 3日、どうやって過ごせばいいのだろう。   おいしいものを食べる? 会いたい人に会う? 行きたい場所に行く?   どれもしっくりこない。 僕のやりたいこととは一体なんなのだろう。   とり