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【第3回】イランと絵本と旅の話

(この記事はnoteマガジン「だれも知らないイランの絵本を日本で出版する話」の第3回目の記事です。)

こんにちは。みしまです。はじめての翻訳絵本の出版を目指して、日々、奮闘しております(マガジンはこちら↓)。

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イランの絵本に魅了されて、日本での出版を目指すこととなったものの、私は決してイランに詳しいわけではない。

つい最近まで、世界的に著名なイラン人の映画監督、アッバース・キアロスタミ監督(1987年に『友達のうちはどこ?』というタイトルでブレイクし、1997年には『桜桃の味』でカンヌ映画賞でパルム・ドール受賞)のことも知らなかった。

でも、イランに詳しくなくても、イランの絵本が好きなんだからしょうがない。プロジェクトを開始してしまったし、絵本の版権も買ってしまったので、進むしかない。イランの絵本やイランという国について、多くの人に知ってもらいたいし、自分ももっと知りたい。そんなわけで、イランについて感じているとりとめのない思いを書き出してみることにした。

イランに関する情報が少なすぎる!


私の中でイランという国は、言ってみれば「未知」に近い国。教科書に載っている程度のことは知っている。古代に栄えたペルシャ帝国、世界最古の宗教ともいわれるゾロアスター教、大詩人ウマル・ハイヤーム、それから、現在の政権を生むことになったイラン・イスラム革命……。

あとは、テレビのニュースで流れてくる情報もあるが、画面に映っているイランの人は、皆たいてい男性で、黒っぽい服を着て怖い顔をしているように見える。耳にする話題も、最近では「経済制裁」や「核合意」といった物騒なワードが多い。

今のイランの普通の人たちがどんな暮らしをしているのか知る方法はないものか。もちろん、実際にイランに行ってみるのが一番なのかもしれないけれど、「じゃあ、今週末行ってみようか」というわけにはいかない。

それに。ネットをググったり、図書館で本を調べようとしても、なんだかとっても難しい情報や文献しか出てこないのだ!私はイランの研究をしたいわけではないのに…。

そんな時に出会ったのが『イラン・ペルシア日記』という1冊の本だった。

イラン・ペルシア日記を読んでみた

『イラン・ペルシア日記』は、「Blood Tube Inc.」というデザイン会社の、金子敦さん・泰子さんご夫婦がイランを旅した記録である。執筆、イラスト、写真、本のデザインをなどをはじめ、実際に書店に納品するところまですべての工程を、全部ご自分たちでされている。

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【出典:『イラン・ペルシア日記』/金子泰子(文)・金子敦(絵)/Blood Tube Inc. (2016年4月)】

表紙や裏表紙、そして小口(ページをめくる部分、背表紙の反対側)に施された模様がとってもすてき。表紙にはペルシャ語で「イラン」と書かれている。ペルシャ語を習いたての私でも読み取れたのがうれしくて、即買いした。

テレビとは違うカラフルな世界が紙面に

『イラン・ペルシア日記』は、お二人が見たイランの普通の人々の生活が細かく書かれている。

読んでいて感じたのは、ニュースで見るイランと違って、ものすごくたくさんの美しい色があふれているなということ

ムスリムの女性が顔や体を覆う布ヒジャブは、勝手に黒いものだと思い込んでいたけれど、華やかな柄や、ビビットな色のおしゃれなものもあり、まるで天女が羽衣をまとっているかのような女性のスナップショットが多数収録されている。

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【出典:『イラン・ペルシア日記』/金子泰子(文)・金子敦(絵)/Blood Tube Inc. (2016年4月)】

イランの人は、人懐っこい性格の人も多いようで、道ですれ違うたびに話しかけてきたり、一緒に写真を撮ろうなんて言ってくる人もいるようだ。

世界遺産のエマーム広場では、人々はレジャーシートの代わりにペルシャ絨毯を広げてピクニックを楽しむという。なんて優雅なのだろうとうらやましくなる。

ニュースからは決して知ることのできない、普通の人々が営む彩り豊かな生活の一部を垣間見れた気がしてうれしかった。

お二人の旅物語を読んでみて改めて思う。「旅」は必要なのだ。まだ見ぬ世界を知りたい、自分と違う環境で生きている人々のことを少しでも理解したい。話しかけてみたい。そういう気持ちが「旅」への原動力となっているから。

おっと、話が絵本とだいぶかけ離れてきた。でも、私がイランの絵本を届けたい理由も、究極的にはそこなんだろうな、と最近では思っている。

(この記事でお写真を使用させていただくことを快諾してくださったBlood Tube Inc.さん。ありがとうございます!『ウズベキスタン日記』という旅日記も出されていて、こちらも興味深いです)

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次回もイランについてとりとめのない思いを綴っていきます!お楽しみに。

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