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【帰りの電車で展覧会寸評!】♯12大阪中之島美術館「大阪の日本画」


いとさんこいさん

やっぱ恒富はいいですね。
ポスターになっている「宝恵籠」ももちろん素晴らしかったですが、やはり「いとさんこいさん」は名品です。
この微笑ましい感じは、東京や京都にはありません。情感もたっぷりで、個人的には恒富の最高の一作と思っています。
3代目米朝を聴きながら、見たいような作品です。

深田直城の凄み

この人も、今回光っていました。
ここまでの力量を備えた人はなかなかいないでしょう。
大阪というには京風にすぎる気もしますが、四条派の正統後継者の感あり。円山派の森寛斎と比肩する素晴らしさでした。いや、比較するなら同世代で同じく膳所出身の山元春挙でしょうか。
なぜこうも優れた絵描きが埋もれてしまうのでしょうか?もちろん、同時代的には評価されたようですが…。

深掘りもできるが

〜会、〜派、〜展…
近代絵画を語る上で必ず出てくるこの用語。今回の展覧会も、そうした「画系」を軸にしており、会場内にはいたるところに系図が貼り出されており、大阪の近代絵画史を順を追って知りたい人には打ってつけです。
しかし、もちろん、ただ絵を楽しみたい!100年前の大阪の空気を味わいたい!という人の方が多いはず。そんな人は、流れを気にせず、ただ好きな絵を見つけてみましょう。気になる絵描きが見つかったら、その人の師匠と弟子くらいは、系図で確認してみてもいいかもしれません。それが、美術のたしなみの入口ですから。

最新の美術館で見る昔の大阪

近年完成した、モダンな美術館である大阪中之島美術館。この最新の建築で、ぜひありし日の大阪に触れてみてください。
週末を残すばかりとなりましたが、とくに大阪在住の方。今もその余薫をただよわせる、他のどこにもないかつての大阪の空気を味わうチャンスです。
わたしは、菅楯彦の「春秋難波人 堀江阿弥陀池」(大阪市立美術館)を見て、なんとも狂おしい慈しみの念に駆られました。


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