【写真日記】白山神社を求めて、奥美濃・郡上白鳥をゆく③石徹白の白山中居神社へ
白山信仰の「美濃番場」である長滝白山神社を参拝した私たちは、次に、もう一つの聖地へと向かうことにしました。
〈前回までのお話はこちら〉
美濃禅定道の途中に位置する白山中居神社
さて、次に訪れるのは、白鳥町内にある「石徹白」地区です。「石徹白」と書いて「いとしろ」と読みます。
この石徹白地区にある「白山中居神社」へ今から向かいます。こちらも、白山信仰に深い関連がある聖地です。
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Googleマップで場所を確認してみましょう。
今居る「長滝白山神社」から、次の目的地「白山中居神社」までは、車で約30分くらいです。
この白山中居神社は、下の地図の「緑色の〇で囲った所」になります。
岐阜県側の白山登山道である「美濃禅定道」は、長滝白山神社から始まりますが、途中で、石徹白地区を通って、霊峰白山の御前峰へとつづきます。
つまり、この白山中居神社は、登山者たちが必ず立ち寄る大切な聖地だったのです。
白山中居神社がある石徹白は「御師」の里
昔、この美濃禅定道は、「上り千人、下り千人」と言われるほどの賑わいぶりだったそうですが、それを陰で支えたのが、「御師」と呼ばれた人たちでした。
御師とは特定の寺社に所属し、その社寺の参拝者を案内したり、参拝・宿泊などの世話をする者のことです。この白山においても、「御師」と呼ばれる人々が信者や登山者のサポートをしていました。
そして、今から向かう石徹白地区は、かつて美濃禅定道の御師が多く住んでいた里なのです。
彼らは、神社の管理や参拝者の道案内、宿泊の世話などを行う一方、冬の間は日本各地を巡回し、信者に護符や薬草を届けたり神社整備のための寄付を集めたりしながら信仰を広めました。
深い歴史を有する山奥の里。
さて、どんな所なんでしょう。
…ということで、車に乗り込み、いざ出発です。
石徹白へと続く道・県道314号線
私達は、石徹白方面へ向かうため、車を走らせました。
長滝白山神社を出た後、国道158号線から、県道314号線へ入ります。ここから、どんどん山の方へと入っていきました。
人家がある集落を過ぎて、更に登っていきます。
石徹白は、かなり山の上の方にあるらしく、県道に入って以降、ずっと上り坂です。ひたすら坂を登り続けます。
ずんずん進んでいくと、左方奥の山の中から滝が見えてきました。
これは、もしかしたら阿弥陀ヶ滝かな?
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更に山道(登り坂)を走ります。すると…。
目の前に、突如、大きな滝が現れました。
滝の近くにある小さな待避所に車を停め、車から降りて滝を眺めました。
滝の上部を見ようと思うと、かなり首を伸ばして見上げないと目線が合わないくらい、高くて大きな滝でした。すごいねぇ…。思わず拝みたくなる迫力。この辺りは、滝が多いです。
今は雪どけ時期だから、滝の水量も相当多い様子。水音と水勢に圧倒されました。
石徹白の里に到着
延々と続く急な坂道を登り続け、ようやく平坦な場所に辿り着きました。
ここが石徹白です。
スキー場や温泉ホテルがある地区を通り過ぎ、民家があつまる集落に辿り着きました。
こじんまりとした静かな集落です。
調べてみたら、この石徹白地区は、昔は福井県の村だったそうです。しかし、当時の住民の意向により、昭和33年に岐阜県に編入されました。(Wikipedia「石徹白村」)
福井県側から入るにしても、また、岐阜県側から入るにしても、非常に道が険しかったこともあり、そのおかげで、この地区の特殊性が、長い間守られてきたとのこと。
小さな山の中の集落ですが、古くから歴史的にかなりの要所だったようです。
なんと、白山信仰を介して奥州藤原家との関係が深く、源義経が逗留した地とも言われています。
また、この地区に鎮座する白山中居神社は、古くから天皇や武将たちからの寄進や奉納等があり、非常に篤い信仰を受けてきました。
歴史の表舞台には出てこないけど、実は隠れた名所なのです。
田んぼのわきを走ると、農業用の用水路から轟々と激しい音が響いていました。かなり大量の雪解け水が流れ込んでいる模様。
この冬、白山周辺はかなりの大雪だったため、小さな水路ですが怖いほどの激流ぶりです。
でも、これも、この里の「春を知らせる音」なのでしょうね。
雪の白山中居神社を参拝する
途中、しめ縄の結界が張られた地点を通過し、白山中居神社に到着しました。
駐車場に車を停めて、鳥居をくぐります。
…が、雪がすごかった!
うっかりと普通のスニーカーを履いていったため、雪で足元が滑る滑る…。
転ばないように気を付けて、ソロソロと歩きました。
雪深い参道を歩きながら、ふと「まだ神様は冬の眠りについていらっしゃる。」そんな感じがしました。
山開きをする前に訪れてしまい、時期早々でしたね。申し訳ありません。
でも、とりあえず本社まで行ってみます。
坂道を下っていくと、橋に辿り着きました。
この川は「宮川」というそうです。
橋の上から、宮川を眺めます。やはりここでもゴーゴーと川音が激しく響いていました。豊かな水量です。
橋を渡り、石段を登ります。
石段を登り切ったところで、右手に建物が見えてきました。
神社らしくない、普通の民家っぽい建物ですが、これが白山中居神社です。
近くに行ってみましょう。
手前の大きな建物が拝殿です。建物の入口は「雪囲い」がされてあり、中に入れないよう閉鎖されていました。
ようやく訪れることができたのに、やはり神様はお休み中でした。
拝殿横の道を通って、奥の本殿まで行ってみることにしました。
本殿もしっかり雪囲いがされてあり、また、建物の周囲にかなりの残雪があるため、近寄ることもできません。人払いされているのですね…。
石段のところから、そっとお参りさせていただきました。
拝殿から本殿までは、こんな感じです。かなり急な石段です。
この石段を通るとき、横の方に大きな岩があることに気が付きました。
雪に埋もれていますが、とても大切なもののよう…。
拝殿外に設置された案内板によると、この岩は「磐境」というそうです。
縄文時代もここは聖地だったんですね。
この磐がある場所で祭祀が行われていたようです。
この岩の方角に、霊峰白山が聳え立っているのですね。
境内をぐるっと回って歩き、鳥居がある所に戻ってきました。
神様、呼んで下さりありがとうございます。
ここに来ることができて、本当に良かったです。
さて、帰ることにしましょう。
◇
帰路は、県道314号線をひたすら下り続けました。
美味しいコーヒーと贅沢プリンで一息
延々と続く下り坂をくだり切り、ようやく下界に下りてきました。
疲れたので、「美味しいコーヒーを飲んで一休みしたいね~」と夫と相談。Googleマップで検索し見つけたカフェで一服することにしました。
私達が寄ったのは、good cafe and factory・グッドカフェさんです。
こちらのカフェは、道の駅「清流の里しろとり」の駐車場の横にあります。
ドアを開けて入店した瞬間、中にいるお客さんの客層が「イケてる20代独身」という雰囲気だったので、「えっ?もしかして場違いだったかしら?」と不安に陥る私達(←全然イケていないシニア夫婦)。
しかし、そのまま勢いで入っちゃいましたw。
おススメのスイーツは「GOODプリン」と呼ばれる、ちょい固めのプリン。もちろん、いただきましたよ~。
このプリン、今まで食べてきたプリンの中で、ダントツの食べ応えでした。卵感がしっかりある上に、固めで美味しい~。風邪をひいて寝込んだ時に食べたら、バッチリ栄養補給ができそうな贅沢プリンでした。これは癖になりそう…。
もちろん、コーヒーも美味しかったです!
大きなマグカップにたっぷり入っていて、お得感満載なのも嬉しい~。
帰路へ~白山の三つの馬場を振り返る~
さて、おやつを食べて元気が出たので、家に帰りましょう。
白鳥インターチェンジから東海北陸自動車道に入ります。
さっきの山道と比べると、これくらいの傾斜は大丈夫。
今日は、白山の岐阜県側の聖地を巡りましたが、これで三つの馬場(石川県の白山比咩神社・福井県の白山平泉寺の・岐阜県の長滝白山神社&白山中居神社)を参拝したので、無事に目的達成!コンプリートです。
実際に訪れてみた感想ですが、この三つの聖地を振り返ると、
①清らかで美しい自然のエネルギーに感銘を受けた白山比咩神社
②ディープな歴史と廃仏毀釈の闇にショックを受けた白山平泉寺
③正統派・白山信仰の真髄に触れて圧倒された長滝白山神社&白山中居神社
…こんな感じでしょうか。
三つの馬場を訪れたことで、今に続く信仰の様子や白山の歴史など、いろいろ深く学ぶことができました。
◇
そういえば、神仏研究家&文筆家の桜井識子さんが長滝白山神社と白山中居神社と訪れていらっしゃいましたね。
下の著書で、この二つの神社について紹介されているそうですよ。
◇
いやはや、とても濃い一日でした。
遠くに見えるのは乗鞍岳。
ただいま!です。
〈おわり〉
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