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過去の恋愛 〜Rくん編〜 #1

この人はちょっと話し始めたら少し長くなりそう。Rくんのことを初めて知ったのは高2の時だった。私の部活の同期の女の子の彼氏だった。その同期の女の子がいわゆる肉食系で、文化祭の時に「かっこいい人を探そう」と色んなクラスを回って見つけたらしい。

運動部のRくんは確かに爽やかで、面白くて、かっこよかった。程よく筋肉の付いた胸板が好きだなんて嬉しそうに話していた。2人とも部活が忙しいにも関わらず、必ずと行っていいほどお互いの大会には応援に行っていた。そのため、お互いの部活のメンバーは彼らが付き合っていることをみんな知っていた。

私がRくんと仲良くなったのは高3になってからだ。私の高校は自分の進路に合わせて時間割を組むのだが、Rくんと私は隣のクラスだったため、とある科目の座席が隣になった。私が来る前に私の座席にブーブークッションを仕掛けてあったり、班活動の時に率先して準備をしてくれたり、そんな些細な接触が積み重なり、少しずつ好意を抱くようになった。

人の彼を奪うほどのエネルギーもなかったため、しばらくはこの甘酸っぱい楽しさを漫喫していたのだが、転機が訪れたのは夏の大会が終わり、受験勉強に本腰を入れ始めた頃だ。同期の女の子の方は推薦で早くに進路が決まり、部活に戻っていたのだが、その頃に後輩の男の子と親密になり、付き合い始めたのだ。

何も知らず受験勉強に打ち込むRくんは、突然、理由も告げられずに振られた。私はここで女の子に対する少しの怒りとRくんに対する同情の感情が生まれた。あんなに仲良さそうにしていたのに所詮その程度の繋がりだったのか。

Rくんは毎日放課後に自分の教室で自習をしていた。それを知っていた私は、自分も同じ部屋で受験勉強をするようになった。そこで少しずつ距離を縮めていった。一緒に勉強を切り上げ、駅まで帰る日々がとても楽しかった。

ある日ついに、帰りの電車を待つ駅のホームで元カノちゃんが後輩と付き合い始めたことを告げた。Rくんは驚いてはいたものの、「理由が知れてすっきりした、ありがとう。これで諦めが付いたよ」と言った。そこで私の中で何かの感情が芽生え始めた。まだはっきりとはしていなかったものの、この人のことが好きなのかもしれないと自覚した。

ただやはり、卒業を目前に控えて、部活の同期との関係をこじらせるつもりはなかった。何より、共に戦ってきた仲間であり、ライバルでもあるその子が元カノと知っている状態ですぐに付き合いたいと思えるほどの神経の図太さは持ち合わせていなかった。

次回に続く

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