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【雑感日記】 「我が国のクリスマス」

 今日はクリスマスイブ。町中そのムードに浸って人々はみな楽しい時間を過ごしている。たとえ今年はCOVID19のパンデミックで例年のような楽しみ方はできないとしても、ケーキや特別な料理を用意したり、ツリーを飾ったり、そうでない人たちでもそんなデコレーションやイルミネーションを見れば多少なりとも気持ちは晴れることだと思う。


どうして日本ではクリスマスが受け入れられるのか

 クリスマスというのはキリスト教の行事だ。本来ならキリスト教とは無関係な人たちには無関係な行事なはずだ。ところが日本はこれを巧みに利用してビジネスチャンスとして利用している。もともと日本人は宗教に関しては寛大なところがある。それは古の時代から神道と仏教が習合した生活を送ってきたからだ。

 これを読んでいる人でも神社とお寺の違いがよくわからないという人もいるかと思う。お参りの仕方も本来は異なる。しかしながらたとえお寺にお参りに行って柏手を打ったところでお咎めはない。日本はそんな寛大な国なのである。

 寛大な故に異なるものを上手に取り入れて自分のものにすることに長けている。なのでクリスマスもいつしか日本の行事の一つとなってしまったと考えてもいい。ここで何か不都合があるのなら異論もでるところだか、楽しいから誰もが疑うことなく受け入れている。

中東のクリスマス

 ところがひとたび日本の外に出ると事情は異なる。例えば中東に行けばクリスマスは異教の祭りと捉えられ日本のようにビジネス利用が難しい。トルコでクリスマスを過ごした事があるがクリスマスツリーの一つも飾られてはいなかった。

 ただしここ数年ではイスタンブルなどの大都会だとツリーやイルミネーションも見かけられるらしい。トルコのクリスマスはイスタンブルでもアンカラでも同じ、ただの日なだけだった。イスラム文化圏でのクリスマスの扱いは非常に限定的だ。

ヨーロッパのクリスマス

 方やキリスト教文化の国々、ヨーロッパはどうか。その盛り上がり方や楽しみ方は日本以上。サンタ帽をかぶって町中をそぞろ歩く人を目にしたり、中にはサンタになりきっている人までいたりと彼らにとってはやはり特別な日なのである。

 ところが同じヨーロッパでも北欧はちょっと違う。デンマークで迎えたクリスマスは実にというか不気味なほどに静かだった。12月24日から三連休になるのだが24日は人っ子ひとり外に出ていない。あまりに人がいないので商店はほぼ全ての店がお休み、公共交通機関は5時で運休になる。

 これには驚いたが、北欧では家の中で家族と一緒に過ごす習慣がある。そしてお昼頃に近所の教会に祈りに行き、また家に帰って過ごすのだ。なのでお店を開けているだけ無駄なことらしい。ただし家の中にいるのは夕食までで夜も10時くらいになると皆んな町に繰り出して賑やかになる。運休していた電車やバスも再開して終夜営業となる。

韓国のクリスマス

 お隣韓国はクリスチャン率が高く、アジア諸国の中ではフィリピンに次いでクリスチャン率の高い国である。それだけクリスマスは盛り上がる。日本も相当な盛り上がりを見せるが韓国はそれ以上だ。デンマークとは違ってイブの晩はどうしても出かけたくなるのだと思う。とにかく町中人に溢れて賑やかだ。またテレビやラジオでもこの時期は特番が組まれ、そのクオリティも高い。

日本独自のクリスマス

 日本にも日本独自のクリスマスというものがある。どうして日本はこれだけクリスマスが重要視されるのか、先ほども少し書いたがまずは宗教に対して寛大な事と、楽しい事ならなんでも取り込んでしまう柔軟性が他国よりも強いことがあると思える。地震をはじめとした天災も多く、生活の中には常に変化というものがあり、適応力も手伝っているのであろう。受け入れられるものはなんでも自分たちのものにして、それによって移りゆく季節を感じながら生活しているのだと思う。

年内にクリスマスが終わるのは日本だけ

 そのうち日本独特の風習も出来上がってくる。ひとつはクリスマスの終わりがハッキリしている。12月25日が終わるとまるでスイッチを切り替えるように町中からクリスマス飾りが消えてしまう。こればかりは日本だけでお隣の韓国でさえ年末まではクリスマスを引きずる。ヨーロッパ諸国でも年明けまではクリスマス飾りはそのままだ。日本はこの後に控えている年末年始を「年越し」という重要なイベントとして捉えているので、クリスマスは25日が終了すると同時に終わってしまう。

 日本とは逆に国によっては年明けからクリスマスが始まるところもある。正教の国とユリウス暦文化の国は年明けの「オーソドックス・クリスマス」を迎えるのだ。具体的にはロシアだ。

 どちらにしても世界にはいろんなクリスマスがある。そもそもクリスマスが全くない国、盛り上がる国、カレンダーがずれる国と様々。日本はそんな中でも外国から見たらクリスマスが「途中で終わる」国でもある。

チキンが定番なのは日本だけ

 もう一つ日本のクリスマスならではの風習はチキンを食べることだ。ヨーロッパでは牛や豚がメイン、鳥類もヨーロッパではガチョウ、アメリカでは七面鳥がメインだ。日本のチキンの始まりはこの七面鳥の代わりと言われているが、そもそもアメリカの七面鳥は感謝祭の時に食べられる。

 クリスマスに七面鳥が現れるのは感謝祭の時期に七面鳥を振る舞われた人たち(ネイティブアメリカン)がその返礼としてクリスマスに七面鳥を出したからだとも言われている。チキンは日本では庶民的な肉だが、アメリカ大陸、特に南米では高級食材でもある。日本では当たり前のチキンはよその国では珍しいものなのである。

サンタクロースの衣装

 最後にサンタクロースのあの赤と白の衣装。知っている方も多いと思うがあれは伝統的なものではなく、コカ・コーラが考案したものである。あの色はコカ・コーラの商標の色である赤と白から来ている。それも歴史は思いの外新しいものらしい。

 さらに中東諸国のコカ・コーラの広告では似たような白髭の爺さんが緑色の服を着て登場し、帽子はかぶっていない。この違いもまたあの衣装がサンタクロースのために考案されたものだと物語っている。

 ほぼトリビアで片付けても良い世界のクリスマス事情ではあるが、知っている事で想像力を働かせて今年はいつもと違うクリスマスを過ごしてみるのも良いかもしれない。否が応でも明日には強制終了されてしまうクリスマス。大いに楽しみたい。■

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