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久保建英とスーパースターの18歳のシーズンを比較してみた

チーム内でも別格のテクニックを見せつけ、マジョルカの主軸としてプレーしている久保建英。今回はここまでのシーズンの記録をもとに、現在のサッカー界を彩る各国のスターの18歳当時の成績と比較していきます!(成績は2020.6.25現在のものです。)

はじめに

今季開幕前、レアル・マドリーへの移籍で日本中の人々を驚かせた久保建英

その後ラ・リーガでの実戦経験を求めてRCDマジョルカにローン移籍を果たし、現在は下位に沈むクラブを1部残留に導くために奮闘中です。シーズン開幕当初は監督からの信頼をなかなか得られず、なかなかスタメンに名を連ねることができませんでした。しかし現在では完全にクラブやチームメイトにも認められ、世界的にも注目を集める若手選手となった彼の今後に期待せずにはいられません!

(今月4日に19歳の誕生日を迎えた久保建英選手、おめでとうございます!!)

今回は主にFBref、また一部Transfermarktというサイトのデータを用いて、久保建英と他のスター選手の18歳のシーズンをリーグ戦のスタッツをもとに比較していきます!



また、18歳のシーズンの定義は、以下のFBref記載されているものに従います。

Age at the season start for league play                                                                Given on August 1 for winter leagues                                                              and February 1 for summer leagues.

つまりリーグ開幕時点での年齢ということになります。(ウィンターリーグでは8/1、サマーリーグでは2/1の時点)

ヨーロッパはウィンターリーグ(秋に開幕、翌年春に終幕・シーズンの表記の例は"2019-20")を採用している国が多く、一方、日本やブラジルなどはサマーリーグ(春に開幕、秋に終幕・シーズンの表記の例は"2020")となります。

選出基準

今回データを見ていく「スーパースター」と呼べる選手を絞っていくにあたり、インスタグラムのフォロワー数が多い選手から順に以下の条件を全てクリアしている選手を9人選定しました。

①守備的なポジションではない選手

→守備的なポジションの選手はアタッカーとでは求められる数字が大きく異なるため。

マルセロ、ラモス、ダニ・アウベスはここで外れました。


②18歳の時点でスタッツが残っているリーグでプレーしている選手

→スタッツが見れなければ比較しようがないため。

残念ながらスタッツを参照できなかったイブラヒモビッチ、スアレスは外れてしまいます。


③900分以上のプレータイムを記録している選手

→プレー時間があまりにも少ないと比較しづらいため、フル出場×10試合となる900分以上という基準を設けました。

プレータイムが足りないベイル、ポグバ、イニエスタは外れてしまいました。


登場選手紹介

久保建英に、以上の基準をすべてクリアした9人を加えた計10選手は以下の通りです。


(名前:シーズン・当時の所属クラブ・先発試合数(途中出場数)・出場分数・ゴール数・アシスト数)

久保建英:2019-20・マジョルカ(スペイン1部)・17(11)試合・1758分・3ゴール・2アシスト

まだシーズン途中!!(全38試合中31試合消化・2020.6.25現在)

C・ロナウド:2003-04・マンチェスターU(イングランド1部)・15(14)試合・1548分・4ゴール・7アシスト

メッシ:2005-06・バルセロナ(スペイン1部)・11(6)試合・911分・6ゴール・3アシスト

ネイマール:2011・サントス(ブラジル1部)・21試合・1882分・13ゴール・5アシスト 

ハメス:2009-10・バンフィエルド(アルゼンチン1部)・29(1)試合・2340分・4ゴール・6アシスト

ムバッペ:2017-18・モナコ→PSG(フランス1部)・25(3)試合・2169分・13ゴール・9アシスト

ディバラ:2012-13・パレルモ(イタリア1部)・11(16)試合・1261分・3ゴール・0アシスト 

ベンゼマ:2006-07・リヨン(フランス1部)・13(8)試合・1156分・5ゴール・2アシスト

グリーズマン:2009-10・Rソシエダ(スペイン2部)・30(9)試合・2583分・6ゴール・5アシスト

アザール:2009-10・リール(フランス1部)・31(6)試合・2678分・5ゴール・7アシスト

若手ということもあり途中出場が多い選手もいる一方、バリバリ主力とみなされてかなり多くのプレータイムをもらっている選手もいますね。

それでは、以下では表や図から以上の選手の活躍ぶりを見ていきます!

ゴール・アシスト数とプレータイム

まずは先ほど文面で紹介したゴール数とアシスト数を図示してみます。

(なぜか日本語だと文字化けしてしまうので、図の中では慣れない英語を用いています。)

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横軸は選手のゴール数縦軸は選手のアシスト数を表しており、右にいくほどゴール数、上にいくほどアシスト数が多いという解釈になります。そのため右上にいるほど活躍度が高いと言えます。

これを見ると、得点に関与した絶対数は久保建英はディバラに次いで10人中2番目に少ないということになります。(当然比較対象はバケモノばかり)

一方で、ムバッペネイマールは他を大きく突き放すゴール数を記録しており、特にムバッペはアシスト数も10人中のトップに位置しています。また、ここ10年以上圧倒的なゴール数を記録してバロンドールを寡占してきたロナウドメッシも立派な数字は残しているものの、18歳時点での得点数は物足りなく映ります。


次にゴール数とアシスト数の合計とプレータイムによる散布図を見ていきます。

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横軸はゴール数とアシスト数の合計縦軸は選手のプレータイムを表しています。右下であればあるほど効率よくゴールに関与している選手だと言えます。

ここから久保建英はプレー時間が比較的近いロナウドやネイマールと比較しても得点への関与数は少ないと言えます。

先ほどの散布図ではあまり目立っていなかったメッシですが、プレータイムを考慮するとハイペースでゴールとアシストを重ねていることが分かりました。

またアザールグリーズマンハメスムバッペ2000分以上プレーしており、チームに欠かせない存在であり、かつ怪我も少なかったと考えられます。久保もリーグ戦を7試合残している現時点で1668分プレーしており、今のペースで出場を重ねていけばこのメンツに名を連ねるでしょう。

90分あたりのゴール関与数

上ではゴール数とアシスト数、その合計とプレータイムの2つの散布図を見てきました。

ここでは、

(ゴール数+アシスト数)÷出場分数×90

という式を用い、ゴール数とアシスト数それぞれの90分のプレータイムにおける期待値を求めてみます。

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横軸は90分あたりの得点数縦軸は90分あたりのアシスト数を示しています。

こちらの図から、ゴールとアシストの絶対数において圧倒的だったムバッペネイマールに加え、やはりメッシが効率的に得点に関与してきたという事実が明らかになりました。

また、ここまで特筆すべき点が全くなかったロナウドですが、90分あたりのアシスト数においては誰よりも多いことが分かりました。

所属チームの攻撃力を加味してみる

上記の分析から、ある程度公平な数値を出すことができました。

しかしそれでも、所属チームによって得点の難易度が大きく異なるという事実を反映できていません。つまり選手がプレーしているのがリーグで支配的な強さを誇っているチームか、逆に苦戦を強いられ1点が遠いようなチームかでは選手の得点のしやすさに大きな差があるということです。

そこでまずは以下の図をご覧ください。

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横軸は選手が所属するチームの1試合あたりの平均得点数縦軸は選手の90分あたりのゴール&アシスト数となります。横軸については、今シーズンのマジョルカが全試合消化していないこと、グリーズマンがプレーしていたスペイン2部は他よりも試合数が多いことを踏まえ、チームの総得点ではなく1試合あたりの平均得点数にしました。

この図から分かることは、チームの1試合の平均得点数と、選手が90分あたりにゴールに絡む数はある程度比例しているということです。また久保の所属するマジョルカはこの中で2番目に攻撃力が低いチームだと分かります。


次に、

(選手の90分あたりのゴール数+アシスト数)÷所属クラブの総得点数×100

という式を縦軸に採用し、選手がチームの攻撃においてどれほどの存在感を持っていたかを見ていきます。

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横軸は先ほどと同じ選手の所属チームの総得点数、縦軸はチームの総得点のうちのゴール関与の割合(%)となります。上にいけばいくほどチームの攻撃の鍵を握る選手だと言えます。

これを見ると、久保がゴールに絡んでいる割合は全体の約17%と比較的高く、ゴール関与の絶対数では大きな差をつけられているロナウドやアザールをわずかに上回り、10人中5番目に位置していました。

また私自身はあまり南米のリーグに馴染みがないのですが、ネイマールがチームの全得点のなんと3分の1近くに絡んでいることからも当時からスーパースターとして扱われていた理由が分かった気がします。

おわり

最後までご覧いただきありがとうございました!

今回は得点、アシストやプレータイムといった成績から久保建英と世界のスーパースターの18歳当時の成績を比較してきました。

今回紹介した選手たちの当時の詳細なスタッツは手に入れることができなかったため、守備やドリブル、パス、レーティングなどといった数値は一切考慮しておらず、ゴールやアシスト数のみで判断しています。そのため今回の分析は断片的なものであり、選手の実力を多方面から把握することはできていませんので、そこはご理解いただければと思います。

単純なゴール数やアシスト数ではそれほど大きなインパクトを残せているとは言えないのが久保の現状です。それでもチームの得点力を考慮すれば、今季の久保は現在世界の最前線で活躍するスターにも引けを取らない活躍を見せていると言えます。残りのシーズン、そして来季以降のさらなる活躍に期待してしまいます!

次回の記事もよろしくお願いいたします!

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